三浦 励一
京都大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。専門は雑草学、植物保護科学、生態・環境、農業技術史、文化人類学・民俗学。京都大学農学部助手、京都大学大学院農学研究科助手、同講師を経て2015年に龍谷大学農学部准教授就任。2026年より教授。日本雑草学会に所属。
インドボダイジュを観察する横田准教授(左)と三浦教授(右)
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農学部
三浦 励一教授
先端理工学部
横田 岳人准教授
2026年5月に、龍谷大学とインドとの交流の歴史を伝える一株のインドボダイジュが約70年ぶりに本学に帰ってきた。今後は、龍谷IP事業の一つである、学生主体で瀬田キャンパス※1に植物園づくりを進める実践型学修プログラム「Ryukoku Botanical Garden」にて大切に育てられていく。同プログラムは、2021年より農学部と先端理工学部※2が連携して実施している。
このインドボダイジュは、1958年9月に国賓として来日したインド初代大統領ラージェンドラ・プラサード氏が龍谷大学を訪問し、本学が第1号となる名誉博士号を授与した記念として贈られた苗に由来する。当時、大宮キャンパスに植樹されたが、越冬管理のため大阪市立大学理工学部附属植物園(現:大阪公立大学附属植物園)に移植。1976年に温暖な気候で知られる鹿児島県指宿市の乗船寺に株分けされ、長く守り継がれてきた。同寺院は本学出身の藤岡義尚氏が住職を務め「ぜひ母校へ里帰りを」と提案があったことから、再び本学で受け継ぐことになったのだ。2026年7月に瀬田キャンパスの樹心館で開催された記念講演会には、入澤崇龍谷大学理事長が登壇し「インドボダイジュ(菩提樹)は、釈尊(お釈迦さま)がその下で悟りを開かれた樹木で、ムユウジュ(無憂樹)、サラソウジュ(沙羅双樹)と並ぶ仏教三大聖樹です。釈尊の誕生、成道、初説法、入滅という重要な場面には樹木が深く関わっており、浄土真宗の精神を建学の精神とする本学にとっても植物は大変重要な存在です」と語った。
インドボダイジュをはじめとする植物は、信仰の対象として人々に安らぎを与えてきただけでなく、光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで、地球環境や生物の命を支える役割も果たしている。だからこそ、本学は自然共生社会をめざして様々な取組を展開してきた。「Ryukoku Botanical Garden」もこの自然共生の理念に通じている。プログラムを担当する横田岳人准教授は「以前から瀬田キャンパスには自然博物館のような場の必要性を感じていました。植物園づくりは生物系教育の充実と学生の環境意識の醸成、キャンパス全体の活性化も図るためにスタートしました」と語る。同じく担当の三浦励一教授は「プログラムでは龍谷大学らしい植物園をめざし、いつかは仏教三大聖樹を迎えたいと考えていたので、インドボダイジュの帰還には大きな喜びを感じました」

2026年7月に樹心館で開催された記念講演会「仏教と植物」の様子
「Ryukoku Botanical Garden」は、農学部の「農学部特別実習A」、先端理工学部の「プロジェクトリサーチ」として実施。専門家が整備した植栽などを利用するのではなく、学生自身が設計、施工、管理に携わることが特長である。「活動当初はキャンパス内の様々な場所の土壌や日照時間といった生育条件を調査し、整備を重ねました。また、様々な植物園を訪問し、園の特色や展示方法なども学びました」と三浦教授。
植物の管理方法や本学らしさの表現を試行錯誤するなか、1号館正面の噴水周辺に仏教と縁の深いハス園を整備。次々にハスが開花すると学内でも評判となり、学生たちの意欲向上にも繋がった。現在はハス園をはじめ、仏教の精神を象徴する色の植物をテーマにした「仏教五色の庭」、植物の進化をたどる「4.7億年の庭」の整備が進んでいる。その一つである「ユニバーサル植物園」は、本学が重視するインクルーシブな学びを具体化したもの。全盲の研究者を招いたワークショップをもとに、植物の香りや感触を全身で味わえるよう、座ったり寝転んだりできる植栽空間を設けるなど、学生のアイデアを取り入れた。
これから学生たちが生育に関わっていくインドボダイジュは寒さに弱いため、現在は農学部の研究用温室で育てられているが、観賞しながら育てるための新しい温室の整備にも動き始めている。「このプログラムは普段生物に触れる機会の少ない数理系の学生も受講しています。大学は専門分野を縦糸として深め、異分野を横糸として広げながら、自分自身の思考を紡いでいくことが大切です。インドボダイジュはこういった学生の学びに効果をもたらしていくはずです」と横田准教授。続けて三浦教授も「インドボダイジュはもちろん、キャンパスの庭を、様々な学びや人が集う場所にしていきたいと思います。他の植物園では、インドボダイジュは熱帯植物として展示されることが多いですが、本学では釈尊がその下で悟りを開いた樹木であることや、受け継がれてきた歴史も伝えていきたいと考えています」と展望を語った。
※1ᅠ2027年4月から「びわ湖大津キャンパス」に名称変更
※2ᅠ2027年4月から「理工学部」に名称変更
三浦 励一
京都大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。専門は雑草学、植物保護科学、生態・環境、農業技術史、文化人類学・民俗学。京都大学農学部助手、京都大学大学院農学研究科助手、同講師を経て2015年に龍谷大学農学部准教授就任。2026年より教授。日本雑草学会に所属。
横田 岳人
名古屋大学大学院農学研究科修了。博士(農学)。専門は森林生態学、保全生態学、自然再生・環境修復学。国立環境研究所、奈良女子大学理学部助手を経て2003年に龍谷大学理工学部講師に就任。2006年より理工学部准教授。2020年より先端理工学部環境科学課程准教授。日本生態学会、日本森林学会、日本植物学会に所属。