広報誌「龍谷」2026 No.102

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Connect, Unlimited

龍谷大学先端理工学部准教授
知能情報メディア課程
(2027年4月より情報学部)

藤本 雄一郎

×

龍谷大学先端理工学部
数理・情報科学課程3年生
 
二宮 音乃

×

株式会社平和堂
DX戦略部
アシスタントマネージャー

荒川 季紗

×

ソフトバンク株式会社
法人事業統括 AXソリューション本部
ビジネスプロデュース第3統括部

真田 潤平

龍谷大学×ソフトバンク×平和堂
地域のスーパーの課題に挑む「ハッカソン」

龍谷大学は、2024年からソフトバンク株式会社とともに「ハッカソン※1」をスタートさせた。2026年は株式会社平和堂が参画し「スマートライフ」をテーマに開催。そこで、今回のメンターを務めたソフトバンクの真田潤平氏と平和堂の荒川季紗氏、サポート教員の藤本雄一郎准教授、学生を代表して二宮音乃さんが座談会をおこなった。

荒川:平和堂ではデータやAIを活用し、新しい買い物体験を作る取組を進めています。そのなかで、40代以下の若い世代の来店を促すアイデアを求めて、今回初めてハッカソンに参画しました。

藤本:本学にとってハッカソンは実社会の課題解決に向けて、学部や学年、専門の異なる学生が協働する貴重な実践の場です。今年度も、先端理工学部の学部生・大学院生、農学部の学部生から30名を選抜し、多様な5チームを編成することができました。

二宮:私は、ハッカソンが短期間で仲間と一緒にアイデアを形にし、成果を競い合うイベントだと知り、これまで積極的に行動を起こすことが少なかった自分を変えたいと思い、挑戦しました。

真田:当イベントは2週間ごとに4つのSTEPで開催します。STEP1〜3で企画を出し合うアイデアソンとモノづくりをおこなうハッカソンを実施します。今回は40代以下の来店促進のアイデアをカタチにするため、ソフトバンクからLINEヤフーのビッグデータを活用・分析する「DS.INSIGHT」、AIでペルソナを設定し、数千人規模の回答を生成できる「爆速アンケート」というツールを提供しました。

二宮:提供された「爆速アンケート」を使って私たちの考えを分析すると「子連れでは安心して買い物をすることが難しい」という課題がわかったのです。そこで、私たちは30代の子育て世代の課題解決をめざすことにしました。

荒川:私と真田さんは二宮さんのチームのメンターを務めたのですが、当初は平和堂の課題と二宮さんのチームのアイデアがマッチしていない部分もありました。ただ、私たちから答えを示すのではなく、自由な発想を大切にすることを意識しました。

藤本:マッチしていないのは他チームも同様で、自分たちの目で課題を確かめるように平和堂でのフィールドワークを実施しました。

荒川:確かにフィールドワーク以降、全チームとも考え方が明らかに変わり、私たちの課題感とも合うようになりましたね。

二宮:私たちの考えを実際の売り場で確認することで、安全・安心への配慮の大切さを改めて感じ、子どもが走り回った際に従業員の方が声を掛けるなどして対応されていることも知りました。そこで企画を練り直し、遊びと学びを取り入れた『はとナビ おつかいクエスト』というプロダクトを開発しました。スマホに登録した買い物リストに沿って子どもが売り場を回り、提示された食育クイズに回答するとポイントをもらえます。保護者の方の安心、従業員の方の負担軽減を図るため、店内での安全ルールも設けたことがこだわりです。

広報誌「龍谷」2026 No.102

ソフトバンク本社での最終発表に臨む学生たち

真田:プロダクトの開発では企画内容に加え、ユーザーがサービスを知り、便利に使ってもらうためのプロセスを考えることも大切ですね。

二宮:はい。ソフトバンク本社での最終発表会に向けては、子どもたちが使いやすいよう表記を平仮名に変える、何度も動作確認するなど改善の繰り返しで、大変でしたが、完成したものにはチーム全員が手応えを感じ、自信を持って発表に臨みました。

荒川:『はとナビ おつかいクエスト』を通じて、お買い物中に子どもは楽しく学ぶことができ、保護者は安心して買い物ができる。さらに店内で見守る従業員にはゆとりが生まれる。また、地産地消への興味を育むことで、街全体の豊かさへと広がっていく。この循環は、平和堂の「三方よし」の精神とも重なり、とても感動しました。

真田:ハッカソンでは課題や目的がぶれる場合が少なくないのですが、二宮さんのチームは「店内での子どもの過ごし方・接し方」という軸が一貫していたことも良かったですね。

二宮:ありがとうございます。私たちの『はとナビ』が第1位に選ばれた時は本当にうれしかったです。私自身は挑戦することの大切さを実感し、この約2カ月で得た経験をこれからの学びや将来に活かしていきたいと思っています。

藤本:二宮さんのチームの提案は、店舗での課題と解決策の繋がりが明確で、サービスとして展開することになった時も比較的障壁が少ないのではという評価もありました。

荒川:実装の可能性は大いにあります。他のチームの提案も素晴らしく、社内では気づいていなかった課題も明確になったので、今回のアイデアの種を大切に育てていく予定です。また、私は龍谷大学出身なので、後輩たちの姿が頼もしく、同じ滋賀にある平和堂の魅力を伝えられたことも大きな励みとなりました。

真田:今回、5チームの提案を受けて、これからは荒川さんがおっしゃったように、学生のアイデアを社会実装に繋げる仕組みを築いていくことが必要だと感じました。龍谷大学のハッカソンは、より新しく質の高いアイデアを生み出すことはもちろん、その先へと進めるものにしていきたいと思います。

藤本:2027年4月、瀬田キャンパスは農学部、理工学部※2、情報学部、環境サステナビリティ学部の4学部が集う「びわ湖大津キャンパス」となり、これまで以上に幅広い学びの環境が整います。このハッカソンをはじめ、多様な背景と専門性を持つ学生たちが切磋琢磨し、社会実装に繋がる研究やプロジェクトをより充実させていきたいと思います。さらに、企業や地域との連携を一段と深め、社会課題の解決に向けて学生のアイデアを社会に繋ぐハッカソンをめざしていきます。

※1 ハッカソン(Hackathon)
プログラムの改良を意味するハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語。IT技術者がチームを組み、与えられたテーマに対して、定められた期間に集中的にソフトウェアやサービス、モノを開発し、アイデアの斬新さや技術の優秀さなどを競い合うイベント。

※2 2027年4月、「先端理工学部」から名称変更

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