龍谷 2005 No.60


文学部
未来の教員を目指して、
教育実習生が全国にはばたく
出身中学校で英語を教える英語英米文学科の吉田麗佳さん(大阪薫英女学院高校出身)
出身中学校で英語を教える英語英米文学科の吉田麗佳さん(大阪薫英女学院高校出身)。工夫した授業の進め方に、生徒の笑顔がこぼれ、教室の雰囲気が和らぐ。
 教員免許状取得を目指す学生にとって、その集大成となる教育実習が6月から本格的に始まった。本学では今年度、教育実習生361名が北海道から沖縄まで全国各地に飛び立ち、そのうち文学部では、187名とその半数以上を占める学生が母校などで教壇に立った。
 実習期間中(高校2週間・中学3週間)は、教科指導をはじめ学級指導や部活動の指導にも汗を流す。実習生は、昼は生徒と過ごし、夜は学習指導計画を作成するなど「寝る間もないほどハードだった」と感想を漏らすが、その多くは「授業がうまくいった時の生徒の笑顔に励まされた」「『絶対先生になって、この学校へ戻ってきてね』と言われ、教師一本で頑張る決意が固まった」と口をそろえて言う。
 また、「職場に龍大の先輩がおられて心強かった」という声が相次いだが、本学ではここ最近、卒業生を含めると約100名程度が公立学校教諭として採用されている。大宮学舎で教職課程を担当し、「教壇で活躍する龍谷大学卒業生の会(教龍会)」を運営する小寺慶昭教授は「教育界は団塊の世代が定年となり、今後は大量採用時代を迎える。教育課題が山積する現代こそ、『龍大魂』を身に付けた教員が、1人でも多く教壇に立てるよう、本学教職員も全力で支援していきたい」と話している。


経済学部
学生がまちづくり積極的に参加、
経済学部と京都市伏見区が
インターンシップ協定を締結
「伏見リサイくるっとフリマ」(11月5日開催予定)について、ボランティアと話し合うインターンシップ生
「伏見リサイくるっとフリマ」(11月5日開催予定)について、ボランティアと話し合うインターンシップ生
 6月21日、京都市伏見区と学生が区の事業に参加し、単位を修得するインターンシップ・プログラム「きらり伏見区まちづくりプロジェクト」の協定書に調印した。
 これまでも、地元商店街の活性化など地域に根付いた教育活動を展開しているが、今回は自治体と連携することで、実習を通して地域の実情を知るとともに、地域住民との交流の中から、まちづくりに関する基礎知識の体系的な学修ができると判断。
 一方、伏見区は、まちづくりに学生の視点を生かすことで、今後の市民参加型の行政の実現に向け、問題点等を浮き彫りにし、より充実した持続可能なまちづくりの実現が可能とみて、今回の調印へとなった。
 伏見区役所で行なわれた調印式では、西垣泰幸・経済学部長と水田雅博・伏見区長が協定書にサイン。西垣学部長は「学生には政策提案型の能力を高める絶好の機会」と述べると、水田区長は「学生さんのまちづくりへの参加で、新しい動きが実感できる雰囲気が漂ってきた」と話し、双方ともに相乗効果を期待する。
 7月21日に伏見区役所で行なわれた第1回プロジェクトに参加した1〜4年生21名は、事業の企画・運営について協議。当日、テレビ取材を受けた横手佑美さん(4年生)と金岡吾有子さん(3年生)は「区民のボランティアと一緒に元気な伏見を考えていきたい」と話していた。

平成17年度
伏見区まちづくり支援事業に決定
伏見区が地域の活性化などに貢献する事業を助成する「伏見区まちづくり支援事業」に、経済学部の学生らでつくる「京都南部研究会」(代表:藤川真紀さん・3年生)が申請した「伏見の子ども意識調査」が選ばれた。同研究会では、子どもの暮らし方や悩み、将来の夢などの項目で伏見区に暮らす子どもの意識調査を行ない、まちづくりについて提案していく。


経営学部
スタートから11年、
生産システムサロンを開催
生産システムサロン
講演する島川立命館大学教授(中央)。司会は経営学部長の由井浩教授(右端)
 経営学研究科では、毎年6月と11月の2回、「生産システムサロン」を開催しており、今年で11年目を迎える。
 「生産システムサロン」は、経営学研究科ビジネスコース(MBA)を開設した1994年の翌年、生産システム工学の世界的権威である人見勝人教授(当時)が大学院生同士、あるいは外部の研究者や実務家と交流する場を提供しようと始めた会。登録メンバーは在学生や修了者ら240名以上にのぼる。人見教授の退職を機に、経営学研究科の付置機関である京都産業学センターがサロンを引き継いでいる。
 6月11日に行なわれた第21回「生産システムサロン」は、寺島和夫教授が「私たちの見たスコットランド」、柏原秀明・京都情報大学院大学教授が「中国・上海世界技術者会議への参加報告」とそれぞれ海外報告を行ない、現在は京都産業センター顧問を務める人見氏が「生産システム技術センターΠΣTニューズレター」に基づいて話題を提供した。メインの特別講演では、島川博光・立命館大学教授が「データ工学の産業・教育への利用」をテーマに解説した。
 最近では、MBA取得後も「特別専攻生」として学修を継続する社会人が増えてきている。「生産システムサロン」は、今後も多種多様な異業種交流の場として重要な役割を果たしていく。


法学部
法学部シンポジウム
「戦後60年の意味を考える」を開催
法学部シンポジウム
パネリストの(右から)西倉教授、毛氏、真鍋氏、木坂氏とコーディネーターの川端教授
 「戦後60年の意味を考える」をテーマにした法学部主催のシンポジウムが、6月27日深草学舎で開かれ、パネリストがそれぞれの視点で報告を行なった。
 報告をしたのは、共同通信社で記者の経験を持つ西倉一喜教授と香港週刊誌『亜洲週刊』特派員の毛峰氏、関西大学法学部教授の眞鍋俊二氏と本学名誉教授の木坂順一郎氏の4名。
 西倉教授は中国での取材経験を生かして「日本から中国のナショナリズムを見る」と題して問題提起すると、毛氏からは「中国から日本のナショナリズムを見る」と中国側の視点を強調。 
 一方、ドイツ外交史を専門とする真鍋氏は「歴史認識と戦後補償における日本とドイツの比較」を、日本政治史に詳しい木坂氏は「歴史認識と靖国参拝問題」についてそれぞれ報告した。
 報告終了後、パネル・ディスカッションと質疑応答が行なわれると、参加した学生や一般来聴者からは盛んに質問が飛び、会場では熱心な討論がなされていた。
 コーディネーターを務めた川端正久教授は、「東アジアの平和と協力において、日本と中国の役割は一層重要になっていることがこのシンポジウムで明らかになった」と締めくくった。


理工学部
ロボットテクノロジーの総合展示会
「ROBOTREX2005」に出展
大学院生による「可変翼車輪ビークル」の実演を興味深く見入る子どもたち
大学院生による「可変翼車輪ビークル」の実演を興味深く見入る子どもたち
 理工学部機械システム工学科でロボット工学を専門とする岩本太郎教授と渋谷恒司講師の研究室は、7月13日〜17日にインテックス大阪で行なわれた「ROBOTREX2005」に研究成果を出展した。
 「ロボット機構の創生」をテーマに、車輪の外側に周期的に翼を展開することによって踏破性を高めた「可変翼車輪ビークル」や、路面状態に適応するように形状を変える「形状可変クローラビークル」、バネで倍力した「4足走行ロボット」など7種類のロボットを展示。岩本教授と大学院生らは、見学者にそれぞれの機能を説明した。
 会期中は、「ロボカップ2005大阪世界大会」も同時開催され、会場には家族連れや外国人も多く来場。実際にロボットを動かす公開実演で「可変翼車輪水中ビークル」や「4足走行ロボット」を動かすと、多くの人々が足を止め、展示ブースは大盛況となった。 スタッフとして参加した理工学部4年生の有松伸也さん(大阪府立三島高等学校出身)は「初めての展示会で緊張したが、とてもいい経験ができた。多くの人に注目されてやりがいも感じた。この展示会の経験を励みに、もっと精進したい」と話すなど、今後の学修と研究成果に益々の期待が高まる出展となった。
 なお、10月29日・30日に開催する理工学部研究室公開(龍谷祭と同時開催)では、瀬田学舎1号館334実験室にて「ROBOTREX2005」で公開したロボットの展示を予定している。


社会学部
入学直後のフィールドワーク体験で
学生の学修意識を高める
地元の歴史を聞き取る学生たち
友ヶ島で旅館を経営する塩路康男さん(左端)から地元の歴史を聞き取る学生たち
 社会学科1年生は、6月4日、5日の1泊2日の日程で現地実習を行なった。これは社会学科の必修科目である「社会学入門実習」の一環で、例年この時期に実施しているもの。
 社会学のデータは人々の生活に接し、それを見聞きし、そこにいる人に質問することによって得られる。社会学への入門として位置付けられているこの科目では、自らが現地に赴き、積極的にデータを収集し、得られたデータを分析することで、新しい知見を広げることが目的。今回は、約230名の学生が11班に分かれて各地の現状を調査した。
 そのうちの1班は、和歌山県の友ヶ島と和歌浦を訪問。友ヶ島は紀淡海峡に浮かぶ小島。大阪湾の要衝として灯台や軍事施設が置かれた歴史があり、今でも砲台跡や火薬庫、兵舎など戦争のつめ跡が残る。また、和歌浦は、古くから景勝地として知られる場所。高度成長期には数多くの観光客が訪れ、盛況を極めたが、バブル崩壊後は多くの旅館が廃業に追い込まれ、そのいくつかは廃墟として残存している。
 現地を訪れた学生は、地元住民への聞き取りなどから「生」の情報を収集。このゼミを引率した津島昌弘助教授は、「情報提供者から運良く話が聞けた学生や途方に暮れる学生など格差があったが、必死に何かを引き出そうと行動していた。社会学は、現地に足を運び、実際に体験することが重要。この現地実習は、これからの学修や大学生活の基点となったのでは」と、その成果を実感したようだ。


国際文化学部
キャリア支援科目
「現代社会と経営
 ―経営者の経験に学ぶ」を開講
西沢恵利氏の話を聞き入る学生
「素人発想」と言いながらも順調に業績を拡大させる西沢恵利氏の話を聞き入る学生
 滋賀県産業支援プラザの協力を受け、キャリア支援科目「現代社会と経営―経営者の経験に学ぶ」を開講した。
 講義を受け持ったのは、滋賀県内を中心にさまざまな業界で活躍する経営者ら12名。「働くとはどういうことか」「社会人になるとは」「企業を経営するとは」といった質問に、自らの実体験を交じえ、具体的に分かりやすく学生に語りかけた。
 7月5日に講義をした西沢恵利氏は、滋賀県高島市で「西近江湖風菓とも栄」を営む若き専務。和菓子のほか洋菓子店を併設し、地域一番店となった経緯を披露。そのほか毎週登場する経営者らは、脱サラして無肥料・無農薬野菜の生産・販売のビジネスモデルを立ち上げた話や、社員一人ひとりに起業を薦めていることなどユニークな語り口で学生を引き付ける一方で、「夢や希望、目標と人生の志を持つことが重要」と説くと、受講した学生は「生きてゆく上で大切なヒントをもらった」「就職試験で落ち込んでいたが、やり直す元気が出てきた」などと感想を述べた。
 この一連の講義を企画したのは、国際文化学部でキャリア開発主任を務める吉村文成教授。履修した学生の一部は、工場や店舗見学も行ない、を実地でも学んだ。吉村教授は「フリーターやニートと呼ばれる若者が増える中、未来に向けて生きる力を獲得してくれることを期待する」と話している。


短期大学部
実習旅行や福祉体験活動
今年度も多彩な取り組みを展開
活動風景
社会福祉(左上)・児童福祉(右上)・健康福祉(左下)の3コースの学生はそれぞれの方法で実習を行ない、健康福祉コース2年生は障がい者のマリンスポーツをサポート(右下)
 6月7日、8日の2日間、1年生を対象にした実習旅行を実施した。これは社会福祉科の必修科目である「社会福祉援助技術現場実習T」の一環。社会福祉科では、社会福祉、児童福祉、健康福祉と3つのコースに学生が所属するため、今回の実習は、各コースの特徴に見合った独自のプログラムを用意した。
 社会福祉コースの学生は、知的障がい者との交流教育プログラムであるオープンカレッジ『ふれあい大学課程』の受講生とともに岡山県の蒜山国民休暇村に宿泊。聖マーガレット生涯教育研究所(大阪市)顧問の西田真哉氏がファシリテーター(促進者)となり、人間関係づくりと福祉的感性の養成をねらいとしたワークショッププログラムに取り組んだ。
 一方、児童福祉コースは、京都・大原へ。ここでは価値観の多様性とその発見を目的としたワークショップを開催。保育士を目指す者同士でも、さまざまな価値観を持っていることや、相互理解のためにコミュニケーションが不可欠であることなどを確認し、熱心な議論を展開した。
 また、健康福祉コースの学生が訪れた淡路島の国民休暇村では、NPO法人の自然スクールトエック(徳島県)理事長の伊勢達郎氏らの講師陣を迎え、導入教育の一環として、集団の中での信頼関係の築き方やコミュニケーションの取り方、個別カウンセリングや集団カウンセリングの基礎などを学んだ。
 また、健康福祉コースの2年生11名は6月22日〜26日にかけて、「福祉体験活動U」として、沖縄で開催された「第8回バリアフリーダイビング全国大会」にボランティアとして初参加。事前研修を受けた後、さまざまなハンディを持つ参加者がスキューバダイビングを楽しめるようにサポートをした。



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