広報誌「龍谷」

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「自分なくし」からはじめよう

イラストレーターなど

みうら じゅん

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龍谷大学学長

入澤 崇

『見仏記』シリーズで仏像ブームを巻き起こした“イラストレーターなど”のみうらじゅんさん。幼い頃から仏像めぐりが趣味、仏教系の中学高校で学び、『アウトドア般若心 経』、『マイ仏教』などの著書があり仏教ファンとしても知られている。2018年には仏教伝道文化賞沼田奨励賞を受賞。そんなみうらさんと入澤学長が、仏教観や若者への思いをユーモアたっぷりに語り合った。

入澤:2018年にみうらさんが仏教伝道協 会の賞を受賞されたでしょう。日本仏教界の最高峰レベルの、東大名誉教授が受賞されるような賞、そこに“みうらじゅん”がポンと入った。

みうら:いや、その授賞式で奥さんを介添人としてって言われたんですけど、ここは仏友のいとうせいこうさんにお願いしました。かなりの違和感が会場に漂ってましたよ(笑)。それは仏教伝道協会の存在をアピールする役も担っているのかなと思い、その年の『みうらじゅん賞』を勝手に仏教伝道協会に贈らせていただきました(笑)。『見仏記』も当初は、髪を真っ赤に染めたロン毛の男が仏像見て好き勝手なこと言ってましたので、よく「けしからん」とお叱りを受けていたもんです。みんなカタチから入ってますからね。常識が変わるためには、その時代の非常識も重要だと思います。怖がらないで非常識なことを、というのは若い時に流行ってたロックから教えてもらったことなんです。「カッコイイ!」と言われる、あの現象は仏像にもあるんじゃないか。仏教も、根底に流れる真理を知る前に仏像の姿カタチから入ってもいいんじゃないかと思ったんです。その内、仏像にはまり込んでいけば、徐々にその教義がわかってきますからね。

入澤:あれで、お堅い仏教界に風穴が開いたと思うんです。仏教伝来の経緯を見ても、ガンダーラでの仏像誕生や、日本に来てからの神仏習合は、まさに非常識が流れを変えてきた。「キャーッ」となる仏像の肉感的なリアルさも仏教を広めた一因となったはず。思想をありがたがるだけでは、若者との距離は縮まらないでしょうね。思想面での接点と言えば、みうらさんが出演されていたドキュメンタリー番組「最後の講義」(NHK)では、若者に「“自分探し”しすぎ、“自分なくし”を」とおっしゃっていましたね。あれこそ仏教を伝えるのに必要なことだと強く思いました。

みうら:自分など、探しても見つからないから苦しい。だったら、あると思い込んでいる自分とやらを消していき、ひとつずつ諦めて、それでも残ったものが自分なんじゃないかと。自分にやれることがたくさんあるんじゃないかって鼻息荒くするから、CO2が増えて問題になってるんじゃないでしょうかね(笑)。「自分探し」の言葉の呪縛からみんなが探さなきゃいけないような気がしてるだけですよね。たいしたことない自分を認めると、すごく楽になりますけどね。

広報誌「龍谷」2019 No.88(Ryukoku University Digital Libraryへ)


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「無料スーパー」から始める
持続可能な社会づくり

政策学部 政策学科

深尾 昌峰 教授

食品ロス問題の啓発のため自分たちができることを探る

6月のある日、本学深草町家キャンパス。通りに響くのは「いらっしゃいませ」の声。近隣に住む人が覗きにやってきた。白シャツに揃いのスカーフの学生スタッフが出迎える。並べられた商品は一見何の違和感もないが、実は寄付で集まってきた賞味期限前の食品たち。入り口には「無料スーパー」の看板が。

ここは、廃棄直前の商品を集めて無料で提供する、関西では初の無料スーパー「Kyo 0 マーケット」。食品ロス削減の啓発を目的に、政策学部深尾ゼミの学生たちが企画し、5度目の開催となった。前回の開催では近隣住民が70人近く来場し、101品が完売。約28kgの食品を循環させた。

日本国内の「食品ロス」、すなわち売れ残りや期限切れの食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの食品等がゴミになる量は、年間約646万トンにものぼるという。これは世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量を、大きく上回る量。深尾ゼミでは生ゴミ処理施設を見学する機会があり、学生たちは食べられる食品が大量に廃棄されている現実を目の当たりにし、ショックを受けた。

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よりよい観光の在り方を探って祇園でアンケートを実施

異文化コミュニケーションを学び渡る、私の大きな旅

政策学部 政策学科 3年生

遅 嘉懿 さん

中国瀋陽大学から、政策学部へ編入

本学の留学生別科(JCLP)は、日本の大学へ進学したい留学生が、そのステップとして日本語・日本文化を学べる1年間のコースである。日本語能力のレベルに合わせた日本語関係科目、文化や社会に関する特別講義などが受講でき、課外授業では京都に残る伝統文化や芸能を学ぶ機会も用意されている。別科の留学生たちは本学の一般学生が使用できる全ての施設(図書館・情報処理施設等)が利用でき、本学の大学院・学部・短期大学部への推薦入学制度もある。

そんな留学生別科を経て、今年4月に政策学部3年生へ編入して学んでいるのが、遅嘉懿(チ・カイ)さん。中国遼寧省瀋陽市の瀋陽大学で2年学び、昨年度、本学の留学生別科へやってきた。

「小さい頃から、世界のいろんなところに行ってみたいという思いがあり、瀋陽大学に入ってから、まずは地元の歴史や言語を学んで観光ガイドの資格を取りました。使える言語を増やして、ガイドできる地域を1つずつ広げていきたいと。そんなときに参加したある日本語教室で、多様で優秀な日中の学生達に出会って刺激を受け、私も『無難に収まらず、挑戦する人生にしていきたい』と思い、龍谷大学への留学をめざして日本へやってきました」

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グローバルクライシスゲームで育む交渉力

広報誌「龍谷」2019 No.88 最新号

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