
龍谷大学は2023年、京都信用金庫と大阪ガス都市開発株式会社(代表事業者)の3者で「共創HUB京都コンソーシアム」を組織。2027年、京都駅前に大学・金融・不動産デベロッパーがタッグを組むイノベーションハブ拠点「共創HUB京都」が完成する。この共創HUB京都について、本学の特別講義にもお招きする京都信用金庫榊田理事長と入澤学長が今後の期待を語り合った。
入澤:龍谷大学は、社会課題解決に向けて、官民学の連携を強化しています。連携には「同じ志」が重要なことから、御庫の企業理念には大変共鳴している次第です。
榊田:ありがとうございます。我々が掲げる企業理念は「地域のコミュニティ・バンク」です。金融機関の本来の使命は、融資促進や利益追求ではなく、京都の街や人に寄り添い、ともにより良い社会を築いていくことです。とくに現代社会においては、世の中全体が共同体となってチャレンジしていかなければ、山積する課題解決やSDGsの目標達成を実現することはできないのではないでしょうか。
入澤:おっしゃる通りです。そういった意味では、共創HUB京都は理想的な共同体であり、ソーシャル・イノベーションを次々と起こすはずです。多様な学生や社会人などの交流を促す本学のサテライトキャンパス、スタートアップ支援に特化した御庫の支店や、交流型の学生寮と賃貸マンションを備える点が画期的です。
龍谷大学には日本の大学で唯一の刑事政策に関する教育・研究機関「矯正・保護総合センター」がある。浄土真宗本願寺派の教誨師 ※の歴史を踏まえ1977年、本学は法学部に「矯正課程(現在の矯正・保護課程)」を開設。刑務所・少年院などで社会復帰を手助けする専門職やボランティアを育成する。その後2002年に「矯正・保護研究センター」を開設。2010年にはこれらを統合し、教育・研究・社会貢献を総合的に推進する一大拠点として本センターを設立した。学生・社会人合わせて、これまで4万人強が受講。警察官や刑務官、法務教官、保護観察官などの専門職業人を輩出するとともに研究年報等の出版、矯正・保護教育の講師派遣、政策提言などをおこなうことにより社会貢献を果たしている。
本センター長を務める浜井浩一教授は法務省所属時に少年鑑別所、少年院、少年刑務所、刑務所、保護観察所など矯正・保護のほぼ全ての現場を経験した「実務家」出身。国内外の研究機関やアメリカの大学院で犯罪学や刑事司法の領域から矯正・保護を追究してきた「研究者」でもあり、現場と研究の両軸を持つこの分野では希有で貴重な存在だ。
※教誨師(きょうかいし):矯正施設で被収容者の希望に応じて宗教的説話をおこなう宗教者。浄土真宗における教誨師の歴史は古く、明治5(1872)年に真宗大谷派の僧侶が名古屋監獄で在監者の改過遷善のために説教をおこなったことに始まる。
2023年12月15日、龍谷大学は本学のDXの連携・共創を目的にソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)と包括連携協定を締結。第1弾の連携事業として瀬田キャンパス3学部による「ハッカソン ※」を2カ月にわたって開催した。企画・主催にあたったソフトバンクの村田氏と松木平副学長がハッカソンでの学生の様子や連携・共創の展望を語り合った。
松木平:私は瀬田キャンパスが本学のDXを主導していきたい思いがあり、村田さんに相談したところ、本学初の開催となるハッカソンを提案いただきました。
村田:瀬田キャンパスには3Dプリンタなどが揃う施設・STEAMコモンズがあり、アイデアを実際のカタチにできます。プレゼンテーションで終わりではなく、面白くて達成感のある「モノづくりのハッカソン」になると思ったのです。
※ハッカソン(Hackathon):プログラムの改良を意味するハック(hack)とマラソン(marathon)を合わせた造語。IT技術者がチームを組み、与えられたテーマに対して、期限内にソフトウェアやサービス、プロダクトを開発。画期的なアイデアや技術などを競い合うイベントのこと。