新棟紹介 スチューデントコモンズ活用術

2015年2月、深草キャンパスに新しく、和顔館が竣工しました。和顔館には、新たに学生さんたちの学びや諸活動の活性化の拠点となるラーニングコモンズを開設。
ラーニングコモンズには、スチューデントコモンズ・ナレッジコモンズ・グローバルコモンズの3コモンズがあり、各コモンズの機能を強化するために、「学修支援・教育開発センター」や「グローバル教育推進センター」が設置されています。今号では、そのなかの一つ、スチューデントコモンズの活用術について紹介いたします。

■ スチューデントコモンズの特徴

大学生の学習とは、一人でもくもくと机に向かうものだけではありません。他者の意見を聞き、自分はどう考えるのかという過程から気づくことも立派な学習です。これまで龍谷大学には静かに個人学習できるスペースは完備していましたが、3 ~ 4人で集まって議論しながらレジュメをまとめたり、ゼミ発表の準備をしたりするような場所が少なく、多くの学生が放課後の空き教室等を利用していました。

そこで、可動式の台形机やホワイトボードを多数用意し、学生が集まって学習する場としてスチューデントコモンズを開設しました(瀬田学舎は9 月より開設予定)。開設以降、多くの学生が毎日遅くまで勉強している姿が見られます。別のグループが学習している姿が見えることも良い刺激となっているようです。

■ スチューデントコモンズの利用方法

開室時間中は自由に利用することができます。
ただし、多くの学生に学びの場として利用してもらうため、以下4 つの規則を設けています。

1. 立ち飲み歩きはしないこと
2. 机が汚れるのでフタ無しの飲料や汁物の飲食はしないこと
3. 音楽活動はしないこと
4. 周りの学習グループに配慮して話すこと

■ コモンズチューターの紹介

大学では、定期試験の他にレポート課題も多く課されます。しかし、参考文献の引用方法やレポートの構成等の細かな決まりについて、 多くの学生が正しく理解できているとは言えません。そんな多くの学生達を助けるべく、深草学舎の龍谷大学ラーニングコモンズの開設に伴い設置されたのが、大学院生によるコモンズチューターです。

コモンズチューターは、スチューデントコモンズ・グローバルコモンズ・ナレッジコモンズの3 コモンズにそれぞれ配置されており、共通のライティング支援が受けられます。コモンズチューターである大学院生には適切な支援を行うため、定期的にライティング指導に関する講習を受けることを義務づけています。既に多くの1 ~ 2 回生がコモンズチューターを利用し、レポート作成に自信をつけています。

■ ライティング支援を受けた学部生の声

・「レポートの作成方法が理解できていませんでした。レポートの組立て方を詳しくおしえていただきました。大変参考になりました。 ありがとうございました(文学部1 回生)」
・「具体的にレポートをどうまとめたらいいのか把握できました。もう少し調べて、まとめてみます。ありがとうございました(国際学部 1 回生)」
・「質問が曖昧だったのにも関わらず、丁寧におしえてくださってわかりやすくてありがたかったです。本当にありがとうございました(短 期大学部1 回生)」

学修支援・教育開発センター長からのメッセージ

今年4月に深草学舎に設置され、9月からは瀬田学舎にも展開する「龍谷大学ラーニングコモンズ」は、スチューデント、グローバル、ナレッジの3つの機能別コモンズで構成され、全体のコンセプトを「学生による多様な学びの空間」としています。

3つの機能別コモンズには、ライティング支援を中心に行うコモンズチューター(大学院生)を配置し、毎日、熱心に学生の文章指導を行っています。また、各コモンズの運営に携わるコモンズサポーター(学部生)の協力のもと、教員・職員・学生が連携し、新たな学修空間を作り上げています。

特に「学生による『学び』の創造と交流の空間」をコンセプトとするスチューデントコモンズは、深草学舎では和顔館の西側1階に位置し、ゼミ教室、講義教室、図書館からの動線に位置することから、学生が集まって自由に学修しやすい空間となっています。メインフロアに位置するコラボレーションエリアでは、組み合わせが自由にできる机や可動式ホワイトボードを配置し、状況に応じた学修環境のアレンジができるようにしています。コラボレーションエリアの奥にはクリエイティブエリアがあり、メディア機器の貸出・技術サポートやライティング支援を受けることができ、ゼミ発表の準備やグループディスカッションに適した環境となっています。また、発表の本番練習や成果発表等の会場として利用できるアクティビティホールや、プリントスポット、メディアスタジオ、ギャラリーも整備しています。

スチューデントコモンズの最大の特徴は、様々な学生(学部生、大学院生、留学生等)の学修活動を可視化しているということです。可視化することによって、学生は相互に刺激し合いながら様々な学修スタイルを身につけることができ、教職員も多様な学生の学修活動を自然と目にすることができるようになっています。

自慢するつもりはありませんが、スチューデントコモンズをはじめとする「龍谷大学ラーニングコモンズ」は国内でも有数の規模を誇ります。本学にお越しの際は是非とも、充実した学修支援環境と「学び」の活気にあふれた学生の姿をご覧ください。

コモンズスタッフの紹介
コモンズチューターとしてのやりがい

松岡 奈々
龍谷大学大学院 文学研究科哲学専攻修士1年

私は今年の4月から、コモンズチューターとして学部生の学修支援活動に携わっています。活動が始まった当初は、その活動にやりがいを感じることよりも、不安を感じることのほうが多かったように思います。というのも、相談に来てくださった学部生が、その後どの程度、自分自身で納得のいくレポートを書くことができたのかということまで把握するのは難しいですし、対応をした私自身も、分かりやすく伝えられただろうか、的確な助言ができていただろうか、と反省することが多いからです。しかし、活動を開始してから数か月が経ち、ようやく少しやりがいを感じるようになってきました。それは、2回目、3回目と、繰り返しコモンズに足を運んでくれる方が増えてきたからです。何度も訪れてくれるということは、それまでのアドバイスがその学生の手助けになったのだろうと思います。これからもより的確な学修支援ができるように、精一杯努めたいです。

伊庭 将也
龍谷大学大学院 経済学研究科特別専攻生

まず初めに私がコモンズチューターとして働こうとしたきっかけは、自身の大学院における研究の経験を多くの学生、特に龍谷大学生と共有したいという思いがあったためです。コモンズチューターとして学生と接する中で感じることは、大学での自主的な学修に不安を持っている学生が数多くいるということです。大学で学ぶことの大きなメリットは、誰もが学びたいことを学ぶことができるという学修の自由度にあります。しかし、コモンズチューターを利用する学生は、新入生などは自主的な学修に対して右も左も分からない人が多く、また学部の上回生においても同じ悩みを抱えている人が少なくありません。このように学修の自由度によって孤立させられている学生が数多く存在しているのです。こうした実態の中で、私にとってコモンズチューターのやりがいというのは、学生をサポートすることで、学修への不安を取り除くことができ、学修に対して前向きになってもらえるということです。自分自身も学修する身分ではありますが、これからも多くの学生の背中を押すことができればと考えております。

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