Challenger07

理工学部

大津研究室
宇宙飛行は安全!の時代をつくる。
宇宙航空研究機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)で、新しい概念に向けた研究

2015.12.08宇宙航空研究機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)で、新しい概念に向けた研究

理工学部 大津研究室

現在、宇宙輸送の分野において大気圏再突入時に宇宙機が大気圏へ高速で突入する為に宇宙機の周辺の空気が圧縮されて熱が発生し宇宙機が高温環境に晒されるという問題があります。この現象を空力加熱といいます。現在では空力加熱に「耐える」と行った概念で研究が行われていますが、私達は熱の発生を「避ける」という新しい概念に着目し、折りたたみ可能な構造を持つ減速装置として“バルート”の研究を行っています。


バルート(Ballute)とはバルーン(balloon)とパラシュート(parachute)から成る造語で、使用時以外には折り畳んで格納することによってロケット打ち上げ時の限られたスペースを効率よく利用することが可能となります。また使用時には格納していたバルートを宇宙機の背後に展開することによって空気抵抗を増大させて、通常の飛行体よりも高い高度で減速し、宇宙機が高温環境をさけることが可能になります。これにより宇宙機の安全性の向上が期待されています。


本実験では、折り畳み可能な構造を持つ模型が超音速気流中でどのような挙動を示すのか、また模型形状が空力特性に与える影響を調べるために、宇宙航空研究機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)にて超音速風洞実験を行いました。実験前には、研究室の学部生・大学院生が直前まで徹夜で試験模型の作成および予備解析に取り組みました。ISASには1週間滞在し、模型製作・設置・測定などに取り組みました。風洞実験では、シュリーレン法による衝撃波形状の観測、試験模型の挙動観測を行いました。


その結果、形状を工夫することにより、飛行体の姿勢が安定し、十分な空気抵抗が得られることが確認できました。今後、極超音速飛行環境での風洞実験とコンピュータを使った流体解析により、詳細を明らかにする予定です。