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挑戦~from.Ryukoku~ vol.82 武長 藍さん

Introduction

大学時代に学んだ学問を、自分の夢である漫画家として恩師と共に出版する…このようなことを実現できる人はどれだけいるでしょうか。
文学部臨床心理学科の東豊教授と、文学部の卒業生であり現在漫画家として活動する武長藍さん(文学部臨床心理学科2018年3月卒業)がタッグを組み、「家族療法」についての漫画を出版されました。この2人が発表したこの漫画は大きな反響を呼び、今般、2作目が出版されるということで、東豊教授と武長さんにお話を伺いました。

どのような経緯でこの漫画を出版することになったのでしょうか。

武長さん:学生時代私は東先生のゼミ生の一人でした。大学に入学して時間があったので、趣味の絵を描いていて、それを東先生に見てもらったところ、家族療法の漫画を一緒に作ろう!と誘っていただきました。

東教授:武長さんはとても熱心なゼミ生でした。そしてある時、武長さんが漫画を描いているというので少し見せてもらったところ思っていた以上に本格的で、これだ!と衝撃が走りました。以前から、私の専門の家族療法を漫画にすることで、今までよりもっと分かりやすく多くの人に伝えることができるのではないかと自分の中で思い描いていました。そして、ただ漫画が描ける人ではなく、家族療法を学んでいた武長さんだからこそお願いしたいと強く思い、家族療法についての漫画を一緒に作ろうと誘いました。「思えば通じる」このことを実感した瞬間です。

漫画を出版するにあたり、東先生からどのようなアドバイスがありましたか?

武長さん:キャラクターの表情についてたくさんアドバイスを頂きました。実際のカウンセリングでは細かな表情は大切な情報の一つです。例えば、先生の専門書を読んでここは考え込む表情にしようと思って描いたところを、先生に、この場面は苦笑いの表情が適しているよ、というアドバイスをいただいたこともありました。

東教授:このような点が活字では表せない、「行間」です。漫画は臨場感やメリハリが出せるところが利点です。そして、活字では数行で終わってしまう大切なシーンも、漫画なら絵で伝えて何コマも伸ばせるところが魅力です。そして、実際のカウンセリングでは声の大小、間合い、テンポなどがとても重要になります。これは漫画でしか表現できないので、その点活字は適わないと感じました。

漫画出版後の周囲の反響はどうでしたか?

武長さん、東教授:とても強い反響がありました。1番多かったのが専門家の方々で、内容が飲み込みやすかったと言ってもらえました。そして一般の方々も、マンガだとわかりやすいと満足してくれていました。作成するときに、専門家の人も一般の人もどちらにも役に立って、勉強になるものを作ろうと努力したので嬉しかったです。
世間の人は家族療法のことを難しいものだと思っていることが多いと思いますが、今回マンガにしたことで、より一般の方との距離を縮めることができたのではと感じています。

お二人のこれからの目標を教えてください。

武長さん:今後も、カウンセリングや心理学についての仕事に携わりたいです。その専門性を自分の画で多くの人に伝えていきたいと思います。

東教授:教員として、難しいことを分かりやすく伝える、このことが大事です。そこで、私たちだけではなく他の教員も一緒に、龍谷大学の全学部の漫画を作っていけたらいいと思っています。今では、漫画は日本の文化の一つであり、我が国のツールです。龍谷大学の学びを漫画にすることで、学生たちが興味を持てて、様々な分野に手を出しやすい環境を作ることができれば素晴らしいと思います。家族療法に関する漫画はこれからも出版する予定なので、楽しみにしていて下さい。

龍谷大学の学生に一言メッセージをお願いします。

武長さん:何でもいいので、好きなことを続けてください。他のことはやめてもいいので、何か1つ、これだけは譲れない!捨てられない!というものを、見つけてください。そしてそれを続けてください。

東教授:夢を諦めるな!ということを伝えたいですね。諦めたところで夢は終わってしまいます。You, unlimited。自分でリミットをつくらない。社会に出ると諦めなくてはいけないことも出てきますが、学生のうちは可能性は無限大です!一生懸命に挑戦してください。一生懸命に行動すると、自然と良いことが自分に集まってきます。

作品情報

  • 「マンガでわかる家族療法-親子のカウンセリング編-」 日本評論社 (2018/2/10)
  • 「マンガでわかる家族療法2-大人のカウンセリング編-」 日本評論社 (2018/12/10)
【取材・記事】
門井 理沙 (国際学部2年生)

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