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挑戦~from.Ryukoku~ vol.85 角本 知史さん

Introduction

皆さんは中小企業に対して、どのようなイメージを持っていますか?数のうえでは日本の全企業の約99%は中小企業であり、労働人口の約7割を占めています。今回は、中小企業の経営者が自分たちの会社や地域をより良いものにしようと集まり創立された京都中小企業家同友会に勤めている角本知史さん(政策学部2014年3月卒業)にお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのですか?

私の勤務先は普段皆さんにとって馴染みのある株式会社とは違うもので、中小企業家の方々が「こういう会が欲しい」と集まって創立されたた経済団体です。京都には中小企業が約3万社あって、そのなかの経営者1700人が会員となり会を運営しています。どのような会かと言いますと、京都の中小企業の経営者の方々が共に学び、経営者としてのスキルアップや会社の発展、地域の活性化を目指しています。会員同士が自分たちの経験をシェアしてグループ討論したりすることで、経営の良いヒントを見つけて自社に持ち帰ってもらう。そしてまた誰かが経験を報告して…というサイクルをつくっています。

中小企業には色んな課題があります。例えば、学生が就職活動の際に、大企業ばかりに目がいきがちで中小企業がなかなか視野に入らないという課題は、1つの会社がいくら頑張っても一社だけでは解決できることに限界があります。そこで、みんなで色んな勉強をして良い会社になろう、みんなで経営環境を変えようとするのが団体の目的です。私たちは、「よい会社をつくろう」、「優れた経営者になろう」、「経営環境を改善しよう」ということを理念の一つに掲げています。

角本様はこの団体でどのようなことをされているのですか?

会の運営では、新しい会員を増やす手続きをしています。会員が増えれば増えるだけ、「良い会社になろう」という会社も増える、そうしたら「経営環境を変えよう」という声も大きくなる。なので、支部でゲストの方を紹介してもらえそうな方はいますかと聞いて実際に自分が入会手続きをしに行っています。社員共育求人委員会では、どうやったら中小企業に学生が興味を持ってくれるかと取り組んでいることの一つとして、来てくれるのか分からないということで、合同企業説明会を京都中小企業家同友会の会員で開いたり、「京都滋賀しごとNavi」という冊子を作って大学に置いてもらったりしています。 大学に経営者を講師派遣して、「なんのために働くのか、どうやって経営者になったのだろうとか、キャリア観を養うようなことに取り組んでいます。

仕事をしている中でやりがいを感じたエピソードを教えてください

ある大学のPBL(課題解決型演習)という授業の一環で学生に経営者へインタビューに行ってもらいました。最初は、「そもそも中小企業ってなんやねん、どこにあんねん」と思っていた学生たちが実際に企業にインタビューをしに行き、今までの「社長室でふんぞり返っている経営者のイメージ」から、実際に「社員と同じフロアで椅子を並べ、顔が見える関係性で仕事をしている経営者」を目にして、「あっ、こんな人が経営者なんや。」と中小企業を見る目線が変わったとか、「中小企業ってこんな感じなんや。」と就職の時に中小企業も見てみようかなと、中小企業のことを意識してもらえる、ということが嬉しかったです。そしてまた自分が親になった時に、息子が中小企業に行きたい!と言った時、後押ししてあげられるというように、どこで繋がってもいいので、その人の人生の中で、「中小企業って良いところなんだよ。」という意識を持ってもらえるというところにやりがいを感じています。

私は仕事を通して、人の正当な努力が報われる社会を作りたいと思っています。京都中小企業家同友会で学ぶ会員は、「社員はパートナー。経営者と社員で役割は違うけれど、人としては同じ」と風通しのよい企業づくりがきちんと評価される社会を創りたいです。

会員様の中で印象深い人などはいらっしゃいましたか?

一人親家庭の方を雇用している不動産屋さんの方ですね。「生活保護受給の方はなかなかそのスパイラルから抜け出せない現状。そこで自社でそういった方の雇用に取り組み、自社で働くことを通じてそこから脱してもらう。そんな方を増やしたい」と頑張っておられる姿は感銘を受けました。

最後に、在学生にメッセージをお願いします

バイトをするな、というのは今の子達には無理だと思うけど、今しかできないことや時間を大事にしてほしいなと思います。大学生活はチャレンジできることがいっぱいあると思います。それに全力で取り組んでほしいです。そこで得た経験が生涯生きると思っています。バイトをするなら目標を持ってやったらいいと思います。僕はバイトしてなかったので、やりたかったこと全部やりました!せっかくの4年間、自由にできる時間なので、何をしてもいいけど、何か一生懸命になるっていう体験をしてほしいと思います。

【取材・記事】
門井 理紗(国際学部3年)
【取材】
高橋 正道(文学部4年)

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