ryukokuTALK

メールマガジン登録

挑戦~from.Ryukoku~ vol.88 都築 美萌沙さん

Introduction

私たちが今当たり前のように海外へ渡航できているその後ろには、どのような方々の支えがあるのか。日本で二番目の利用者数を誇る関西国際空港。ここを職場とし、日々多くの外国の方をお相手に働かれている都築美萌沙さん(国際文化学部2018年3月卒)に今回はお話を伺いました。

高校から国際教養科に入学されているご経歴から、英語への関心の強さが窺えます。いつ頃から英語に興味を持つようになったのでしょうか。

中学の時から英語が好きでした。両親が英語に精通しており、特に父が数年間アメリカに住んでいたこともあり、潜在的にその影響を受けていたと思います。
そのため、大学でも英語をもっと勉強がしたいと思い国際系の学部を選択しました。大学のBIEプログラムでアメリカに半年間留学へ行き、今思えば英語と関わる機会が非常に多かった大学生活のように感じます。

大学生活での一番の思い出は留学でしょうか。

はい。三回生の前期にアメリカへ半年間留学に行った事です。特にアメリカの小学校に行ったことが思い出に残っています。語学学校に行って、その後、実習として地元の小学校に行かせていただきました。皆さんがネイティブの中に入って、先生のサポートをしたり、子供達と遊んだり、日本語のない世界はかなり刺激的でした。最後には子供達の前で全て英語で日本の文化を紹介したり、折り紙を一緒にやったり。すごく心細かったけど、その経験で強くなったと思います。

留学ではどのような点に苦労されましたか。

英語が喋れないことで周囲からプレッシャーのようなものを感じることはありました。英語が喋れないことで素っ気なくされたりするのはつらかったですね。でも頑張って英語を使ってお店に入ると、気さくに話してくれたりなど、使ってみるもんだと思いました。うまい、下手は関係ないです。逆の立場になって、異国の地で少しでも自分の知っている言葉を話してくれると安心感ありませんか?それと同じものではないのでしょうか。

日本人の英語教育のレベルは低いと感じますか?

以前パイロットの方とお話しする機会があったのですが、「日本人はもう少し英語を喋れると思っていたんだけど、喋れない人多いよね。それはなぜなの?」と言われました。世界から見るとそうかもしれないですね。使う環境の差だとは思います。日本で生活する分には英語はなくても問題なく過ごせます。日本人は正直シャイですし、自分の気持ちを出すことがあまり得意な国民ではないかとも思います。英語を話し、使う環境が少ないからこそ英語を話すことに対してなじみがないので余計に英語を話す、使うことに、できるかな?間違えたらどうしよう?という気持ちが生まれてくるのではないかと私は思います。英語教育にもっと力を入れていくならば、ただ文法の勉強をするのではなく、英語を使う環境を日本でももっと作り出すことが必要なのでは?と思います。私も完璧な英語は喋れていませんが、伝えたい、伝え合いたいという気持ちがあれば互いの気持ちを理解する事はできます。それはスキルではなく、経験するかどうかだと今改めて思っています。

英語と関わり続けてきた都築さん。就職活動はどのように動かれたのでしょうか。

就職活動では、かねてより働いてみたいと思っていた航空系の会社を中心に受けていました。英語に関わる仕事がしたいという軸もあり、大学でも英語教育コースを選択していたことから民間の英会話教室なども視野に入れて受けていました。その結果、空港における航空会社の旅客サービス業務や、航務サービス業務を行っている株式会社Kスカイにご縁をいただき入社を決めました。

Kスカイでの仕事内容について教えてください。

私は関西国際空港にてフィリピン航空、カンタス航空(オーストラリア)、中国東方航空のチェックイン業務を中心に担当しています。業務の流れとしては、出社後カウンターを開けて、チェックイン業務を完了し、お客様と同じ流れでゲートに行き、飛行機を見送るというのが一般的です。当日担当する飛行機の便によって出退勤の時間が異なるのも特徴的だと思います。担当する航空会社の飛行機の機材の大きさや予約数によりますが、平均的にみて、私が担当する便で一番大きい機材、多い予約のときで一便約300人を6名で搭乗手続きを行います。また、多い時には1日4便ほど担当しますので正確さと早さは非常に求められますね。

すごいハイペースで、しかも日本語が通じない方々の対応を次々するのはとても大変ですね。

そうですね。搭乗手続きの際、例えばオーストラリアの方がオーストラリアに帰るといった自国に戻るだけならスムーズですが、違う国籍の方が旅行をしていて日本がたまたま滞在先だった、そしてそこからオーストリアにまた旅立つ際は、渡航書類を満たしているのかの判断が必要です。また、飛行機に乗るお客様の国籍と行き先の国によって必要渡航書類が異なるのでそこが最も難しいと感じています。
加えて飛行機の到着や出発の遅れ、もともと違う空港(成田や羽田等、さらには海外の空港)に到着予定だった便が天候などの影響により関空に着陸する際のイレギュラー対応なども行います。その際、お客様数百人の宿泊先の確保などの対応を数人で対応しなければならないことがあり、そこは苦戦しました。

やりがいはどのような点に感じますか。

物凄い人数が同時にいらっしゃるのですが、それを対応できた時にお客様からありがとうと言ってくださることが、やりがいになっています。
どれだけその便の予約を見て、事前準備をしていても、実際にカウンターを開けると予想できないことが起こります。この人は車椅子が必要なお客様だ、そういう場合は許可証を取りにいったり、ビザなど必要書類が不足している場合などの対応は必要になります。業務を全て終えて、お客様を全て乗せて、無事に出発させることができた時に日々達成感、やりがいを感じます。

今後さらに挑戦してみたいことはありますか。

英語からは離れたくないですね。就職活動時に民間の英会話教室を選択肢に加えていた背景からも、子供たちがどのように英語を勉強して、英語を生かしていくのかという英語教育に興味があります。今の航空会社での経験を生かして、いつかその環境にも飛び込んでみたいです。

最後に在学生に向けてメッセージをお願いします。

学生の時間は本当に貴重です。本当に。今できることを何でもいいので思う存分考えてやっていただきたい。社会に出てから大学に戻ってくると「自分はここで勉強していた、ここから社会に出たんだな」と感じます。何か自分の心の中に残るものを作ってほしいです。そればきっと社会に出てからも励みになると思います。

【取材・記事】
肥田真男(経営学部4年)、倉田栞里(経営学部3年)

このページのトップへ戻る