「貧困削減のための地域開発」に関する龍谷大学の取り組み

JICA課題別集団研修コース

JICAにて講義
JICAにて講義

2003年から5年間、人材育成プログラムとしてJICAから「地方自治体行政(参加型地域開発)」プログラムを受け入れた。本プログラムを受け入れた。本プログラムは、開発途上国における中央政府・地方政府などの開発政策立案関係者を対象とした現場アクション指向のプログラムで、地方自治体、大学・研究所、農業共同組合、NGO、集落などの社会経済的地域資源がどのように地域発展に寄与しているかを講義、ワークショップ、視察により把握し、日本での参加型地域開発の在り方に基づいて自国の問題を解決することを目的としている。2003年からアルゼンチン、バングラデシュ、ブータン、ボリビア、ブラジル、チリ、ペルー、モルドバ、ソロモン諸島、タンザニア、ガボン、ガーナ、ホンジュラス、インドネシア、ラオス、マダガスカル、カンボジア、中国、イラン、ジャマイカ、モロッコ、フィリピン、イエメンなどの研修生を1プロジェクト平均11名・合計55名受け入れてきた。

PCMワークショップ

PCMワークショップ

PCMワークショップ

PCMワークショップ

JICA課題解決促進型集団研修コース

2008年から3年間、JICA課題解決促進型集団研修コース「地方自治体行政強化(参加型地域開発)」で研修員を受け入れる。上記のプログラムに事前と事後の強化をはかったフォローアップ体制をより充実させることに重点を置く。具体的には、派遣国で課題解決に向けてのプロジェクト・プロポーザルと作成させ、課題を明確化する。研修期間中に学んだことをインプットすることによって、研修終了後、派遣国で具体的な参加型地域開発プロジェクトの実施を実現させることを目的とする。研修員の国籍は2008年、アルゼンチン、カンボジア、ガーナ、ラオス、ニカラグア、パプアニューギニア、シエラレオネ、ソロモン諸島、スーダン、東ティモール、ウガンダ、2009年は、カンボジア、ガーナ、ラオス、ニカラグア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、タンザニア、タイ、ウガンダ、2010年は、アルゼンチン、カンボジア、ガーナ、ラオス、モルディブ、ニカラグア、ソロモン諸島、スーダン、タンザニア、東ティモール、ウガンダであった。

南西アジア地域地方自治体行政(参加型地域開発)

2008年から3年間、JICA課題解決促進型集団研修コース「南西アジア地域地方自治体行政(参加型地域開発)」として人材育成短期プロジェクトを受け入れる。コンセプトは上記の「地方自治体行政強化(参加型地域開発)」プログラムと同じであるが、受入れ研修員を南西アジアに絞っている。研修員の国籍は、2008年、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、スリランカ、2009年はバングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ、ブータン、2010年はアフガニスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカであった。

カントリーレポートプレゼンテーション
カントリーレポートプレゼンテーション
京都市役所訪問
京都市役所訪問
現地視察:大原
現地視察:大原
講義の様子
講義の様子
京都府農業総合研究所訪問
京都府農業総合研究所訪問
日本の農村訪問
日本の農村訪問

JICA長期研修(プロジェクト派遣)

「インドネシア・スラウェシ貧困対策支援村落開発計画」プロジェクトおよび「スリランカ参加型開発方法研究」プロジェクト実施中、若い研究者を日本で育成することを目的とした長期プロジェクトを、龍谷大学で受け入れた。プロジェクト実施中の1998年から2001年にかけて延インドネシア3名、スリランカ1名、ガーナ1名の研究生が龍谷大学で修士、博士号を取得した。

国費留学生

「インドネシア・スラウェシ貧困対策支援村落開発計画」プロジェクト終了後、プロジェクト派遣による長期研修ができないために、国費というかたちで龍谷大学にインドネシア1名、カンボジア1名、中国1名からの留学生を受け入れた。

JICA長期研修(プログラム派遣)

大学を受入れ機関とするJICAの長期人材プロジェクトの一環として、龍谷大学が2008年に博士2名(エチオピア・スリランカ)、修士6名(カンボジア・ネパール・中国・スリランカ・ベリーズ・ラオス)、2009年に博士1名(スリランカ)、修士4名(アフガニスタン・スリランカ・東ティモール・ザンビア)、2010年に博士1名(インドネシア)、修士3名(インドネシア・フィジー・カンボジア)の留学生を受け入れた。本プログラムは、開発途上国の課題解決(貧困削減のための地域開発)について学ぶため、講義、フィールドワーク等に参加することを通して、留学生の研究を促進する。各留学生に対して龍谷大学院で個別対応体制を整え、充実した研修体制を作りながら現在動いている。同時に、上記の短期JICA集団研修への参加が可能になり、理論と実践を伴った研修も取り入れることができている(参加留学生のコメント参照)。2009年9月にも4ヶ国、5名の留学生が新たに龍谷大学院に派遣される予定である。

Udaya(ネパール)

In overall, the Enhancement of Local Government administration and Public Services (Participatory Local Development) is very useful including time allocation and subject details are also well done. This training is well managed with very interesting manner. The training has arranged in seven weeks which is consists of lectures, field visit and interaction programme, especially the interaction programme we have a chance to co-working with the villagers which is provided a useful experience for all participants. I am strongly believed that, this training course is imperative contribution to my study and working in the future.

Houn Chanratana (カンボジア)

It is really my great opportunity to join this wonderful training program. Even thought, it is short period but it provided me lots knowledge and experiences not only theory but also empirical study include explication of field visited. The courses were very well designed plus the experienced lecturers so it makes me easy to understand the concept of each lesson. Another impressive point of this training program is the courses did not held only in the class room but it occurred at many different places which allowed me directly to interact with other people who are responsible for different organizations and institutions. To me this training program is really useful for government officer especially to whom is working for the local government office. By seeing the structures, operating system, and integration with local people of Japanese local government, I can say that Japanese local government has done a good job to serve their people. Thus, through this empirical study I have learned so much from Japanese experiences in which I wish to implement at my home country.
So in my opinion, I believe this training program is really worth for me and also for other participants from different country to learn and to share knowledge as well as experiences in order to promote not only ability but also friendship. Last but not least, I hope to join such kind of useful program in the future if I have opportunity. Thank a lot to JICA which organized this program.

中主町農村地域社会現地調査

2010年7月から9月にかけて龍谷大学が受託機関として行っているJICA課題別解決促進型地方自治体行政強化(参加型地域開発)プログラムの一環として、8月11日に滋賀県野洲市中主町五条地域を15名の研修員、2名の龍大留学生が訪れました。2009年夏の研修に続いて2度目の訪問となります。

小川事務局長の御子息、正覚寺の総代(世話役)の方に集落全体のことについてお話していただきました。
小川事務局長の御子息、正覚寺の総代(世話役)の方に集落全体のことについてお話していただきました。
研修員が質問している様子。お寺のこと、宗教のこと、組織のこと、集落が抱える問題等様々な質問があがりました。
研修員が質問している様子。お寺のこと、宗教のこと、組織のこと、集落が抱える問題等様々な質問があがりました。
集落の一般家庭を訪問させてもらいました。
集落の一般家庭を訪問させてもらいました。

お昼には、野菜カレーを作ってくださり、おいしくいただきました。
お昼には、野菜カレーを作ってくださり、おいしくいただきました。

当日のプログラムは下記のとおり。

  • 場所:野洲市中主町5条247 正覚寺(住職:小川信正氏)
  • 10:00 正覚寺到着
  • 10:05 挨拶・趣旨説明(河村)
  • 10:10 挨拶(集落住民代表団)
  • 10:15 中主農村地域社会説明(集落住民代表団)
  • (1) 集落社会の概要
  • (2) 過去10年間の大きな変化
  • (3) 地域の稲作システム
  • a. 水利慣行と水利組合
  • b. コメ生産と農業実行組合
  • c. コメ保管と出荷
  • d. 農協生産者部会(蔬菜など)など
  • (4) 集落社会の構造
  • a. 宗教(神社・寺)集団と社会結束
  • b. 属性(性別・年齢別)集団と社会活動
  • c. 目的的集団(自治会と村3役、消防団など)と村自治
  • (5) 行政とのかかわり
  • 11:45 質疑応答
  • 12:30 昼食休憩
  • 13:30 一般家庭 訪問研修
  • 13:45 こめ 精米機場 見学
  • 14:00 大農家訪問(保冷庫・農業倉庫等々)
  • 14:30 農業用水場見学(びわ湖逆水ポンプ場)
  • 15:30 兵主大社見学
  • 16:00 正覚寺集合(御礼の挨拶)集合写真
  • 16:15 JICA大阪国際センターへ

平成21年度ベトナム国別研修 「中部高原地域における貧困削減のための参加型農業農村開発能力向上計画プロジェクト」龍谷大学経済学部教授 河村能夫

国際協力機構(JICA)が、ベトナム政府と協同で実施する「貧困削減のための参加型農業農村開発能力向上」プロジェクトを龍谷大学が10月19日から11月2日の間受託しました。本プロジェクトのチーフアドバイザーである木下雄介さんは、龍谷大学経営学部の卒業生です。本プロジェクトでは、プロジェクト実施地域であるベトナム国ザーライ省政府の職員、郡政府の職員、省および郡レベルの人民委員会関係者等の7名を受け入れることになりました。受入れ目的は、ベトナム政府関係者に「日本で行われている地域開発における地方行政の役割」の意味や実態を理解してもらうことにより、今後のプロジェクト実施を円滑に行う基盤造りです。

ベトナムでは、ドイモイ政策を通してある程度の国家レベルでの経済成長を成し遂げ、社会経済に大きな変化が起きているのは事実ですが、同時に、共産党による社会主義体制も厳然として維持されています。したがって、地方政府による参加型地域開発の必要性が認識されながらも、その必要条件のひとつであろうと考えられる分権化は進んでいるとはいえない状態です。ようやく省レベルでの裁量権限が委譲される過程にあり、郡レベルにいたっては機関委任事務の一部移譲が検討されようとしている事情です。その意味では過渡期的状況にあります。

このような分権化の過渡期にあるベトナムで、プロジェクトを遂行する意味からも、また、当地での地方行政官の能力強化の意味からも、地域レベルの行政トップに対する研修プログラムを緊急に組む必要性が出てきたわけです。主旨は、「日本で行われている地域開発における地方行政の役割」で、日本の農村開発・地域開発における行政の役割、住民・農業従事者・企業などの地域主体が行政・大学などの外部資源とどのように係わり、地域開発をどのように実現しているかを理解してもらうことです。

<詳細>
JICAマンヤン郡プロジェクト事務局
ザーライ便り

日程実施表 2009年10月19日〜11月02日

対象者:括弧内はプロジェクトでの役職
  1. Mr. Phung Ngoc My:ザーライ省人民委員会副委員長(JCC副議長)
  2. Mr. Le Tien Anh: ザーライ省計画投資局国際経済協力室室長(PMUメンバー)
  3. Mr. Van Phu Bo: ザーライ省農業農村開発局農業技術室室長(PMUメンバー)
  4. 農業農村開発省国立農業計画立案研究所から1名
  5. Mr. Luong Ngoc Thiep: ザーライ省マンヤン郡人民委員会委員長(プロジェクト実施機関)
  6. Mr. Tran Van Hieu:ザーライ省マンヤン郡人民委員会事務室長(プロジェクト実施機関)
  7. Mr. Pham Ngoc Co:ザーライ省マンヤン郡人民委員会農業農村開発室室長(プロジェクトコーディネーター)

  月日 研修課題 担当者 研修形態 研修場所
第1週 2009        
01 10/18(日) 来日      
02 10/19(月) 研修オリエンテーション JICA ブリーフィング JICA-OSIC
03 10/20(火) 日本の地域農業開発 河村 講義 龍谷大学
04 10/21(水) 自治体の農林行政と農業・農村開発 京都府(河村) 講義 京都府庁
05 10/22(木) 現地視察:農業生産技術開発と普及
(府研究所・農業普及所)
京都府(河村) 視察 京都府内
06 10/23(金) 現地視察:農業生産と市場(市場・農家・農協・市役所) 河村律子 視察 京都府内
07 10/24(土) 週末休日     ホテル
第2週          
08 10/25(日) 週末休日     ホテル
09 10/26(月) 日本の参加型地域開発 河村 講義 龍谷大学
10 10/27(火 参加型地域開発の理論と方法 大濱 講義 龍谷大学
11 10/28(水) 現地視察:大学連携農村開発(同志社大大原プロジェクト) 渡辺 視察 京都市
12 10/29(木) 現地視察:大学連携農村開発(龍大大津プロジェクト)
参加型農村開発のJICAプロジェクト−タカラール・モデル
筒井

河村
視察

講義
大津市

龍谷大学
13 10/30(金) 移動(京都→岡山)
農家ホームスティ
原口・木下 ホームステイ 岡山
14 10/31(土) 農家ホームスティ 原口・木下 ホームステイ 岡山
第3週          
15 11/01(日) 移動(岡山→東京) 原口・木下 移動  
16 11/02(月) JICA本部訪問
農林水産省訪問
JICA本部
農林水産省
  東京
17 11/03(火) 帰国      

中部高原地域における貧困削減のための参加型農業農村開発能力向上プロジェクト

月日 曜日 時間 研修形態 研修場所 宿泊地 内諾連絡先
5月11日 AM 移動 ザーライ→ホーチミン市      
PM 会合 ブリーフィング 南部事務所    
5月12日 AM 来日 ホーチミン市→関西空港−JICA大阪      
PM       JICA-OSIC JICA-OSIC
5月13日     研修オリエンテーション(JICA) JICA-OSIC JICA-OSIC JICA-OSIC
5月14日 AM   研修参加者によるプロジェクト、所属先、自己紹介 JICA-OSIC JICA-OSIC 河村・木下
PM   研修オリエンテーション(龍谷大学)   JICA-OSIC
5月15日   休日     JICA-OSIC  
5月16日   休日     JICA-OSIC  
5月17日   講義 日本の地域農業開発 龍谷大学 JICA-OSIC 河村
5月18日   講義 自治体農政と地域農業開発 京都府庁 JICA-OSIC 京都府(河村)
5月19日   視察 視察1:農業技術開発と普及(府研究所・農業普及所・農家・保冷庫) 京都府内 JICA-OSIC 京都府(河村)
5月20日   視察 視察2:農産物流通と行政支援(農協・市役所・農家) 京都市内 JICA-OSIC 京都市(河村)
5月21日 AM 講義 日本の参加型農村開発の事例と理論的枠組み JICA-OSIC JICA-OSIC 河村
PM 講義 1週間のまとめ(振り返り)
翌週の予定
JICA-OSIC JICA-OSIC 木下(河村)
5月22日   休日     JICA-OSIC  
5月23日   休日     JICA-OSIC  
5月24日   講義 参加型地域開発の理論と方法 JICA-OSIC JICA-OSIC 大濱
5月25日   講義 参加型農村開発と行政の役割 JICA-OSIC JICA-OSIC 長畑
5月26日   視察 視察3:生活改善(農作物加工・産直・道の駅) 京都府 JICA-OSIC 京都府(河村)
5月27日   視察 視察4:大学連携都市開発(龍大大津エンパワー・プロジェクト、龍大) 大津市内 JICA-OSIC 渡辺(河村)
5月28日 AM 講義 参加型農村開発のJICAプロジェクトータカラール・モデル(インドネシア) JICA-OSIC JICA-OSIC 河村
    PM   1週間のまとめ(振り返り)
評価会(JICA−OSIC/龍谷大学)
JICA-OSIC JICA-OSIC 木下(河村)
5月29日 AM 移動 大阪→岡山   JICA-OSIC  
PM 視察 農家との意見交換、ホームステイ   森田家
ホテル(岡山)
木下、原口
5月30日   視察 農家との意見交換、ホームステイ 岡山県 森田家
ホテル(岡山)
木下、原口
5月31日   移動 岡山→東京   JICA−TIC  
6月1日 AM 表敬 農林水産省訪問 農林水産省    
PM 表敬 JICA本部訪問、評価会、修了証書授与 JICA本部 JICA−TIC  
6月2日   帰国 成田空港→ホーチミン市もしくはハノイ      
6月3日   帰国 ホーチミン市→ザーライ      

研修項目テーマ:
  • 参加型地域開発の体系的な知識と市役所等による実務
  • 地方自治体、農家、農協・農産物専門業者、大学等の視察と意見交換
  • 日本の農村開発・生活改善の歴史と実例(住民の発案を地方自治体がサポートした例)
  • 日本の農村地域の暮らしぶり(農家へのホームスティ)
  • 山間部での農村開発
  • 生産性向上、農産物保管向上に係る技術(可能であれば)
  • 組織連携(チーフアドバイザー)木下雄介