III 課題の改革と方向性

→教育  →研究  →社会貢献  →大学運営  →財政・施設設備計画

1.「教育」について

(1)教学組織の見直しと既存学部の改組・新学部創設

優れた研究を基盤にした「教育を重視する大学」をめざし、教育の個性化・特色化を推進する。これまでの教学活動において蓄積された成果や、第4次長期計画において展開した国際水準の研究、伝統と地域を基盤にした特色ある優れた研究成果を教育分野に還元し、これらを本学の強み、あるいは特色として明確に位置づけ強化する。また、建学の精神及び本学の教学展開の基本的方向性を踏まえながら、社会的要請に応えるため、教学組織の見直しや既存学部の改組・転換、新学部の創設、他大学との連携を積極的に検討する。また、それらに合わせてキャンパス再配置を検討するとともに、教学資源の強化を図り、学内外ネットワークを構築し、個性的で特色ある教育を実現する。

(2)学部教育の充実と学位の質保証

A.3つの方針(ポリシー)の策定

「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受け入れ方針」、の3つの方針を各教学主体が具体的かつ明確に策定し(学部共通コースも含む)、学内外に公表する。また、3つの方針を有機的に結合させ、教育の質保証に向けた組織的な活動を展開し、毎年の実施状況を自己点検する。

B.「龍谷スタンダード」の形成

基本方針にも述べられているとおり、建学の精神に基づいた「平等」、「自立」、「内省」、「感謝」、「平和」の意味を深く理解し、豊かな人間性と共生(ともいき)の精神を涵養するとともに、各教学主体の教育を通して身につけるべき素養や能力を「龍谷スタンダード」として定め、本学の教育力を広く国内外に発信していく。これを実現する独自の教育プログラムを各教学主体及び全学レベルで検討し、目標達成に向け主体的に取り組む。

C.個性的で充実した教育を実現するための教育システムの再構築
a)教育組織の再構築

学部教育における教育システムを再構築する。そのために、初年次教育、教養教育、専門教育、キャリア教育のそれぞれのあり方を見直し、それらを有機的に連携させ、組織的な展開を図る。特に第4次長期計画期の未達成課題であった初年次教育や教養教育の改革・充実に取り組む。

b)教育支援体制の充実と積極的な教育評価

教育を重視する大学に相応しい教育組織のあり方や教職員の充実、多様な人材と採用方法を検討・実施するとともに、必要な教育支援体制を充実・強化し、優れた教育業績に対する適切な評価をおこなう。

(3)大学院教育の再構築に向けた重点政策の検討

大学院をめぐる厳しい状況を踏まえ、本学における大学院の意義や目的をあらためて検討し、定員規模を見直すとともに、抜本的な大学院教育の改革に取り組み、将来の方向性を明確にする。その方向性としては、高度専門職業人を養成する修士課程に重点をおき、魅力ある大学院教育カリキュラムの再構築をおこない、国内外で活躍する有為な人間を輩出する。また、研究者養成を目的とした博士課程の大学院展開としては、全学的な重点政策及び研究科の将来構想の検討と適切な評価に基づいて、新たな学問領域を含め、本学の特色や強みと考えられる分野を重点的に強化する。このような大学院の個性化・特色化に向けた学生支援体制の構築によって学生募集力を強化し、目的意識が高く能力ある国内外の学生を確保する。

(4)教育の国際化の推進

グローバル化が進む中で本学の存在意義をいっそう発揮するために、共生の理念を備え、国際社会で活躍できる人間を育成する取り組みを強める。そのため、国際化戦略を再構築し、アジアを重点地域としつつも多様な国と地域から留学生をさらに受け入れる具体的な方策の検討と体制構築を進め、活発な学生交流が展開される多文化共生キャンパスを全キャンパスで実現する。くわえて、本学学生の留学機会を拡充するため、海外留学制度や海外拠点(米国・バークレー)の充実を積極的に検討する。また、留学生を含む、海外に在住する卒業生のネットワークを構築し、教育の国際化を支援する体制も強化する。

(5)学生支援の充実

A.学習支援のためのハード・ソフトの整備

大学の教育力向上の一環として、学生の自主的な学習を支えるため、図書館、コンピュータ、メディア機器、「ラーニング・クロスロード」のような自習施設等の施設・設備面について環境整備を進めるなど学習支援体制の強化を図る。また、様々な障がいを持つ学生に対する実効性のある支援体制の充実に努め、誰もが学べる学習環境を整備する。

B.学生生活の活性化に向けた支援の充実

豊かな人間性を育むために、正課・課外を問わず、学生生活全般において、これまで以上に学生の主体的な取り組みを積極的に支援し、学生が学習主体・実践主体として成長するように取り組む。

C. 奨学金制度の充実

基本的人権としての学習権の実現を支援し、意欲と能力ある学生が本学で学ぶ機会を提供するために、大学独自の奨学金制度をいっそう充実させる。

(6)就職支援の充実

学生自らが将来の人生設計を見据え、主体的な進路選択ができるよう、学生のキャリア開発・形成に重点を置く。しかし、就職率などの社会的評価の指標による本学の就職実績は競合他大学と比較して優位ではない状況にある。このことから、戦略的なキャリア支援ポリシーを確立し、就職に強い大学として一定の社会的評価とブランドを形成するための取り組みをおこなう。また、学生の就職機会の拡充をめざし、東京オフィスや大阪オフィスの活用等を含め、就職支援拠点の充実をおこなう。

(7)入学者の質を重視した新たな入試戦略の構築

本学が求める学生像を明確にするため、「入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)」を策定し、それに基づく全入時代の新たな推薦・一般入試制度を早急に構築する。また、少子化等により受験生の気質も年々変化しており、高大連携事業を通じて高校生の学ぶ意欲を喚起するとともに、推薦入学者の学力を担保するため、初年次教育と連動した独自の入学前教育を検討する。さらに、新たな入試制度を検討する際は、外部環境を十分に分析し、入学者の質を重視した入試戦略を策定する。

(8)多様な層への学習機会の提供

グローバル化の進展により、社会が高度化する中、大学は様々な人に対して、生涯にわたる学習機会を提供することが求められている。こうした社会ニーズに応えるため、大学は幅広い年齢層において社会人の受け入れに必要な環境を整備する。

また、総合大学として多様な教育を展開するため、様々な学習層に対して多彩な学習プログラムを提供していくことが望まれる。

そのため、産業界や行政等とも連携しながら、社会人等に対するリカレント教育プログラムや、従来の学位プログラム、科目等履修制度だけでなく特定の科目をパッケージ化した教育プログラムの提供等も視野に入れた検討をおこなう。

なお、新しい次元での生涯教育・職業教育も検討する。

(9)教育連携のさらなる充実

A.他大学(短期大学を含む)との連携

多様な大学が集積する京都・滋賀に位置する本学において、国公私立を問わず近隣の大学との教育連携を推進していくことは、本学の教育を強化・充実する上で、有効な方策である。また、全入時代の到来により大学間競争が激化する中、建学の精神を一にする宗門関係校との教育連携を推進していくことは、本学の個性化・特色化を図る上で特に重要である。

B.接続教育のさらなる充実

大学教育の質の向上を図るためには、初等・中等教育との円滑な教育接続をおこなうことが有効である。

特に龍谷総合学園の各学校との学校間連携は、本学の建学の精神を具現化する意味でも、学生確保という観点に拘らわれず、本学独自の教育連携として、全国の加盟校を対象に取り組んでいく必要がある。さらに、関西の競合他大学と同様、本学も一貫教育体制をめざした総合学園化の検討も開始することとする。

また、地域教育に応えるためにも近隣の教育委員会との連携を強化し、「地域に開かれた大学」として地域教育のリーダー的な役割を果たすべく具体的な方策を検討する。

▲このページのトップへ

2.「研究」について

(1)重点研究政策

研究を教育および社会貢献と同様に高等教育機関での重要な役割として位置づける。また、研究を教育に資する取り組みとして位置づけ、研究成果を教育に還元することで、教育の質の充実につなげていく。5長においては、「人間・科学・宗教」の3つの知の融合をめざし、引き続き国際社会に目を向けた研究の個性化と特色化を実現するための重点研究政策に取り組む。

また、国際水準を担保するために適正に評価された強みのある研究を支援し、伝統や地域を基盤とした特色ある研究を推進しながら国際的に期待される研究を展開する。

(2)強みのある研究と特色のある研究を推進するための環境整備

強みのある研究と特色ある研究を推進するため、組織間、研究者個人間のネットワークの構築に取り組む。例えば、仏教に軸を置いた研究などに代表される強みや特色ある研究分野について、学内に研究拠点を設け、それらの研究を大学として全面的に推進・支援するとともに、次世代の研究者の養成や環境の整備を図る。

また、学会補助制度を活かした国内外の学会への貢献を果たすことで、後進の育成に努める。

(3)適正な研究評価制度に基づく研究員制度の柔軟化と研究資金の重点配分

研究活動を充実していくために、多様な研究分野における萌芽的研究や基盤研究を強化し、すべての研究者の研究機会をある一定の基準で公平に保証をしながらも、各研究者の研究分野・状況や所属する研究プロジェクトの進捗状況等を勘案し、研究をより一層推進できる体制を確保する。そのためには、適正かつ公正な研究評価制度を構築し、それに基づき、研究員制度の柔軟化や研究資金の重点配分などをおこなう。

(4)社会から評価される研究の推進と外部研究資金の確保

教育の基盤となる研究についても、研究成果の情報発信や外部研究資金の確保など、一定の社会的評価を得ることが求められる。特に外部研究資金の確保においては、研究者個人の努力だけに任せるのではなく、研究部やREC、知的財産センターの機能を統合し、これまで以上に大学として組織的に取り組むことが必要である。これらを実現するために、大学として組織的に学内外の研究情報を収集・分析し、社会的課題に対応した研究を睨みながら、本学の強みや特色が活かせる独創的な研究を重点研究政策として支援することで、社会に貢献し、社会から評価される研究を積極的に推進する。

(5)研究成果の社会に向けた発信力強化

本学は、総合大学として、人文・社会・自然科学の各分野で多様な研究に取り組んでいる。しかしながら、本学の研究成果を束ねて把握する組織的な取り組みは、各研究者に任された独立行政法人科学技術振興機構のReaD研究者データベースへの登録に頼るものであり、その利用率が充分ではないため、社会に対する訴求力という点では限定的なレベルにとどまっている。今後は、研究に対する広報体制の強化を図る。

(6)研究支援体制の整備と新展開

研究者の研究意欲や能力が十分に発揮できる環境を整備するためには、研究に関する事務支援体制の強化が求められる。特に昨今は、競争的資金に係る制度改革が進められているため、研究活動の成果や情報を収集・分析し、各研究者の独創的な研究成果をそれぞれ有機的に連携させ、大学の個性と特色を活かした研究を支援する体制を構築する。これを実現するために、専門的な視点から研究成果を社会的な課題と接続させ、或いは共同研究の組織を構築できる事務職員の育成・確保を図る。

また、個人の研究活動や共同研究など、各分野における基盤的研究の強化を図り、その成果を発展・展開していくためには、各付置研究所のあり方を検証し、統廃合や新たな研究所等の設置、専任研究員の役割や大学院教学との関係などの新展開を視野に入れながら、研究所等の支援・運用体制を抜本的に見直し、強化していく。

▲このページのトップへ

3.「社会貢献」について

(1)地域社会への貢献

本学は地域に開かれた大学として、大学の教育・研究成果を広く還元し、京都・滋賀を中心に地域とともに発展を遂げてきた。その中でも、一般市民を対象にした生涯学習事業をはじめとする地域交流・活性化や、地域連携型の問題解決に向けての取り組み等の様々な活動は、地域に根ざした大学の社会貢献活動として、多くの支持を得てきた。

今後も、産業界・地域社会との連携を強化しながら、地域住民の多様な学習ニーズや課題に対応するため、生涯学習拠点としての機能強化を図るとともに、次世代の人間育成を支援するために大学の社会的責任活動等にも積極的に取り組み、これらを通じて地域の教育力向上に貢献することを目指す。くわえて、学生の各種サークル活動や大学行事などを広く地域に開放することも、大学の重要な使命である。

また、総合的な仏教文化の振興と地域振興という視点から「龍谷ミュージアム」を情報発信拠点として活用し、歴史都市・国際都市「京都」の活性化に寄与していく。

(2)産官学連携の推進

大学の知的資源を活用し、地域の中小企業を総合的・多面的に支援することは、地域活性化を図る上で重要な取り組みである。本学は、これまで理工系の教員が中心となって地域の中小企業の技術革新を積極的に支援し、貢献してきた。しかしながら、他大学、研究機関での同様の支援体制が整備されるにしたがい、本学の優位性が薄らいでいることも事実である。改めて、本学の特色である中小企業支援のあり方について、企業ニーズの再把握を含めて検討を進め、より一層の産学連携の強化に努めることが必要である。また、ベンチャー企業を輩出することは、地域産業の活性化につながるため、従来の取り組みを基盤としながら、今後も積極的にベンチャー企業の創出や第2創業の支援・育成に取り組む。特に、地域の行政機関や金融機関等との連携を図りながら、この分野における本学の優位性を確立する。

(3)社会貢献活動における新たな拠点形成

本学は京都・滋賀地域を中心に、様々な社会貢献活動を進めてきた。1991年に瀬田キャンパスに、2001年には深草キャンパスにRECを開設し、滋賀・京都の2拠点体制を確立した。こうした活動を通して、京滋地域において、一定の社会的支持基盤が形成された。

昨今、「知的財産の集約」をキーワードとした関西経済圏の活性化と拠点形成に向けての議論が、大学・研究所・企業が連携して活発化している。本学もこれまでに蓄積した多くのノウハウやネットワークを生かし、関西を代表する私学としての地位を確固たるものとするための足がかりを得るべく、大阪における拠点形成を検討し、大阪地域における新たな社会貢献活動の推進拠点を確保する。

(4)ボランティア活動の推進

本学は、建学の精神に基づく人間教育の一環として、ボランティア活動を積極的に支援してきた。その拠点として設置された「ボランティア・NPO活動センター」が中心となり、学内外における様々なボランティア活動を支援してきた。また、最近では、海外の自然災害被災地域への支援活動や、海外でボランティアを体験するプログラムを実施するなど、国際的な社会貢献活動やその担い手の養成にも力を入れている。

今後も、こうした取り組みを強化し、共生の理念を体現した豊かな人間性と行動力のある「市民社会の担い手」を育成することが大学として求められる。

そのため、学生や教職員のボランティア活動を奨励し、地域貢献活動や国際的な社会貢献活動を強化する。

(5)環境問題への積極的取組み

自然との共生を図り、持続可能な社会の構築に貢献するため、大学の諸施策の執行にあたり、社会と係わる諸活動のあらゆる側面において、資源や環境に配慮した活動に率先して取り組み、これを全学的に推進する。

このことを通じて、「共生」の精神の具体化を環境面から図り、環境問題に対して、積極的に取り組んでいく。

▲このページのトップへ

4.「大学運営」について

(1)大学執行部体制の整備

A.法人運営に関して

本法人の設置母体は浄土真宗本願寺派(西本願寺)であり、その関係から本法人の理事長は本願寺派総長が兼務すると寄附行為に定められている。このため、本法人の理事長は常勤ではないが、本学の設立経緯からすれば、理事長が兼職となることは「所与の条件」とせざるをえない。また、本学は寄附行為において、理事長のもとに「常任理事会」を設置しているが運営体制を確立していないこと、理事長を代理する常勤の「副理事長」を規定しているが任命していないことなど、寄附行為の定めと法人運営の実態に異なる点があり、今後、検討する必要がある。

B.大学運営に関して

本学の大学運営は、法人理事会との良き慣行に基づき、学内理事が中心となって、学長会が提案し部局長会のもとで意思決定をおこなっている。今後も法人理事会との信頼関係のもと、学部長理事制度を維持し、大学運営に取り組む。今日、大学を取り巻く状況は、社会環境や文教政策が大きく変化し、大学間の競争的環境が激化するとともに、学生や卒業生などが大学に求める役割も多様化している。このような学内外の状況を踏まえると、教職員によって選出される学長のリーダーシップの下で、部局長会は、的確かつ迅速に意思決定し、情勢に適応した大学運営に努めなければならない。

他方、学内の最高意思決定機関である評議会は、適正な運営を図りながら、部局長会が提起する諸課題の審議に全学的な視点からあたらなければならない。このことは、第5次長期計画を遂行し、本学の持続的な発展を期するために欠かせないものである。

(2)大学運営を支援する事務体制の整備

今日の激しい社会環境の変化や文教政策の規制緩和を背景に、大学には自主性を発揮して持続的かつ健全な経営をおこなうことが厳しく求められるようになった。部局長会が長期的ビジョンに基づいた自主的且つ機動的な運営を図るために、部局長会を支える事務機構の機能を整備して、文教政策や他大学動向などの学外情報や学内情報などの総合的な分析評価をおこない、意思決定を支援する機能を強化する。

(3)事務職員人事制度改革の促進と人材の育成

大学に対する社会からの要請が高度化・多様化するなか、本学事務職員は、大学の使命やこの度の5長に基づき、「教育」「研究」「社会貢献」などに関する政策の立案や実行、組織の運営や業務遂行を主体的に担って、組織として総合力を発揮する役割が求められる。とりわけ大学に期待される各分野が高度な専門性を求められているため、多様な人材の採用と育成・研修を積極的に図り、諸事業の遂行に取り組まなければならない。

2009年4月から事務職員の新たな人事制度を実施したが、その成果と実効性を確認しつつ、適宜、評価をおこない、必要に応じて制度の見直しを図るものとする。

(4)自己点検・評価活動の実質化

自己点検・評価は、中期計画で掲げる中期目標の達成度を点検・評価するとともに、目標達成に向けた改善活動に繋がるものでなければならない。この認識に基づき、本学に相応しい自己点検・評価活動を確立するとともに、その活動をより有用なものとするよう教職員の意識改革・共通理解を図る必要がある。また、認証評価機関による評価や、格付け等の外部機関による評価を積極的に受け、評価結果を広く公開することにより、社会からの信頼を得るよう説明責任を果たすことも重要である。

また、教員評価は、高等教育機関として社会的説明責任を果たすために必要な取り組みのひとつであり、各教員は「自己評価」を通じて改善に取り組み、その努力によって個々に教育・研究水準の向上を図り、それにより大学全体の教学水準を向上させていくことが求められている。教員評価では、学問の自由を十分に踏まえながら、教員間相互で自己研鑽と教育・研究の質的向上を目的とした大学に相応しい教員評価の実施に向けて、早急に検討する。

(5)大学広報機能の強化・充実

厳しい大学淘汰の時代を迎え、これからの大学は、社会的責任として教育・研究だけでなく、大学の考え方や財政状況など、大学の様々な情報を社会に公開し、多くの人に大学の活動内容を理解してもらい、社会から支持される存在にならなければならない。そのため、大学広報は、大学経営との一体化を図り、広報の目的・対象を明確にし、それぞれの情報を関連づけながら、広報活動を展開することが求められる。

こうした広報活動を実現するには、学内教職員の広報活動への理解を促進するとともに、全学的な情報収集・発信体制の構築やマスメディアとの日常的な関係強化等、広報基本戦略の策定に取り組み、新たな龍谷ブランドを確立する。

(6)保護者・卒業生との連携強化

親和会との連携を強化しながら、保護者に対する情報提供や、保護者からの要望・相談に関する受け容れ体制等を充実し、保護者から信頼される大学づくりを進める。

また、校友会や各同窓会との連携を強化しながら、卒業生に対して、本学の諸活動等に関する情報提供を積極的におこなうとともに、同窓会組織の拡充などを支援することにより、大学との結びつきや卒業生同士のネットワーク強化に努め、卒業生(組織)から在学生や本学に対する多様な支援が提供されることをめざす。

(7)危機管理体制の整備

自然災害や感染症等の発生の増加、大学関係者(学生・教職員)が関係する事件や事故がある中、大学としてこうした不測の事態に備えた危機管理体制を整備し、迅速に対応できるようにする。

▲このページのトップへ

5.「財政・施設整備計画」について

(1)財政基本計画の見直しについて

大学財政を取り巻く諸環境は、少子化や私学助成の抑制などにより年々厳しくなっており、今後もその傾向が一段と強まることが予測される。こうした状況を踏まえると、本学が将来に向けて永続的に発展していくためには、健全な財務体質の維持と、学費収入のみに依存しない多様な収入源の確保をはかることが重要となる。また、あわせて「教学創造」を通じた魅力ある大学教学を実現し、そのことにより安定的な収入を確保することとする。

本学では、財政政策として2001年度に各施策からなる『財政基本計画』を策定し、今日まで健全で、安定的に財政運営がなされている。その財政基本計画の主要施策の一つに健全な財務体質の確保策として「教員・事務職員定員枠(人件費枠)」を設定し、今日では各学部における人事の計画的策定と、それに基づいた教学展開の指標となっており、概ね所期の目的を達成した状況となっている。また、本学は学部別収支を検証する「学部別決算」をおこなっているが、このことが恒常的な支出超過体質とならないように、財政の健全性を維持することに繋がっている。

5長においても、引き続き「教学創造こそ財政」という財政基本計画の理念のもと、大学財政の健全性と安定性の維持に努めることとし、教学改革の積極的な推進に資するべく、本学の人件費枠として適正な数値設定の検討や、新規事業展開に際しての弾力的な資金調達方法等の財政基本計画の見直しをはかり、財政政策を再構築していく。

(2)キャンパス施設整備計画と財政について

本学深草キャンパスおよび大宮キャンパスには、十数年後に償却期間が満了する既存施設があり、他の施設も順次償却期間の満了を迎えることになる。さらに、瀬田キャンパスの施設・設備についても、改修・更新が必要な時期を順次迎えることになる。このため、これらの改修・更新に伴う大型投資を踏まえた施設整備計画と、それを組み入れた長期財政計画を構築する。また、新学部の設置等をおこなう場合や、将来における既存校舎の改築期間中の仮設用地を見据えると、既存3キャンパスはいずれも飽和状態であり、建築スペースの余地がほとんど見出せず、新たにキャンパス用地を取得及び整備する必要がある。特に、深草キャンパスにおいては、将来のキャンパスの教学展開を踏まえると、隣接地の取得が重要となる。

このように、5長期間中には、複数の大型投資案件が考えられることから、財政の健全性を損なわぬように、これまで以上に緻密なキャンパス施設整備計画及び長期財政計画を策定する。

以 上

▲このページのトップへ