今、必要なのは『針と糸』  医師 レシャード・カレッド × 龍谷大学学長 入澤 崇

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今、必要なのは『針と糸』

医師

レシャード・カレッド

龍谷大学学長

入澤 崇

自らを『医療人』と呼ぶ、アフガニスタン人医師レシャード・カレッドさん。50年前に来日、日本で医師となり、80年代からアフガニスタン難民キャンプなどに出向く。今回「人を大切にする」をテーマに、現代社会に今、必要なものについて入澤学長と対談がおこなわれた。

入澤:先生にお会いするという夢がやっとかないました。先生に今一番お尋ねしたいことは、世界中が大変な状態になっているコロナへの対応、そしてその後、世界はどうあるべきかをお聞きしたいのですが。

レシャード:コロナ問題は、一つの病気として捉えるものではなくて、社会問題として捉えるべきです。コロナに限らずに、世界ではいろいろな感染症が起こっていますが、この異常な傾向は人間が長い歴史のなかでつくりあげてしまった一つの産物であるという事実。逆に、医療や予防によって感染症を減らすことや抗生剤などの投与によって抵抗力が弱体化し、感染症に弱い人間をつくりあげてしまったのも事実です。免疫が対応できないものができてしまう。まさにコロナがそういう形なんですね。コロナこそが神様が人間に与えた試練ではないでしょうか。「あまりにも好きにしすぎたんじゃないか。これまで育ててきたおたがいさまの気持ちを大事にしろ」と。「もう一度足元を見て、何をすればいいか考えなさい」と。

入澤:おっしゃるとおりで、コロナは文明の病、根源的なことを問わないといけない。仏教では利益衆生(りやくしゅじょう)という言葉がありますが、現代社会を見ると、自分の利益、自国の国益、それを第一に掲げるものだから紛争になる。コロナの後を考えると、コロナの前に戻すのではなく、考え方を改めないと、また同じことを繰り返すだけだと思うんです。

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オンライン授業 授業改善のきっかけに

オンライン授業
授業改善のきっかけに

学修支援・教育開発センター長
先端理工学部

藤田 和弘 教授

オンデマンドとライブで教室の授業を再現

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた本学では、第一に学生および教職員の安全を考え、その上で、学生の学びの機会を保障する取り組みとして、オンライン授業の実施に踏み切った。今回、全学的におこなう教育改善活動や、その支援をおこなっている学修支援・教育開発センターのセンター長藤田和弘教授にオンライン授業の実施状況と今後の展望について聞いた。

 「本学はオンライン授業を実施することにともない、情報通信環境の拡充や、Webコンテンツの整備、ノートパソコンなどのレンタル受付 など、学生の授業環境整備に努めています。センター長としては、全学部の教員に向けて、オンライン授業の展開事例として三つの形態を提示。一つは、オンデマンド授業(講義+演習形式)で、学生はテキストで事前予習をしてから、教員による説明動画を視聴、その後ワークに取り組んだり、小テストを受けたりするもの。二つめは同時双方向授業(講義+演習形式)、学生は事前にスライド資料をダウンロードし、決まった時間にテレビ会議システムにログインして教員の説明を聞きます。教室での授業進行に最も近いため、まだ大学の講義に慣れていない1年生に向いている方法です。最後は少人数のゼミなどで用いる同時双方向授業(ゼミ形式)で、テレビ会議で教員の説明を聞くとともに学生も議論に参加、必要に応じて自分のPC画面を共有してプレゼンをおこなうというもの。これら三つのパターンをもとに、途中でクイズを出して理解度を確認したり、共有ドキュメントに学生と同時に書き込んで議論するなど、各教員が授業の質を落とさないよう工夫をして授業を進めています」

教員側にとっても講義の録画・編集など慣れないオンライン授業は試練だったが、教学関係部署などとも連携し、大学一丸となって前期授業をつくりあげてきた。

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グローバルな学術交流で日本の犯罪学を国際水準に

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グローバルな学術交流で
日本の犯罪学を国際水準に

犯罪学研究センター 博士研究員

ディビッド・ブルースター さん

犯罪学研究センター 国際部門長
法学部

浜井 浩一 教授

イギリスから日本の薬物政策を研究に

 「世界一安全な国」といわれる日本は、一方で、犯罪の少なさゆえに犯罪学研究が進まないというジレンマを抱えている。諸外国には刑事司法や刑事政策について学ぶ犯罪学部があるが、日本では、法学や心理学などの一部で研究されているにすぎない。そこで日本の犯罪学を育成するプラットフォームとして機能してきたのが本学の犯罪学研究センターである。同センターは、発足以来、日本の犯罪学の発展にはグローバルな学術交流が不可欠として、海外の研究者の招聘や国際学会での発表に力を入れてきた。そんな背景から、2017年より同センターの博士研究員としてイギリスから来日したのがディビッド・ブルースターさんだ。「日本の研究はとても難しい、だからこそ面白い」と、言語や特殊な文化背景などのハードルを乗り越えて、日本の違法薬物政策の実態に迫る若手有力研究者である。

 ブルースターさんが日本の薬物政策を研究するなかでわかってきたのは、諸外国に比べ日本の薬物使用者は極端に少ないが、必ずしも政策が成功しているとはいえないということだ。「日本では厳罰化といって薬物使用者を刑務所や精神病院に隔離する政策をとることで犯罪を抑止していますが、犯罪を犯 した人の社会復帰が難しく、異常に再犯率が高いという大きな課題を抱えています」

そこでブルースターさんは、薬物使用者に対する社会の考え方に影響を与えたいと、薬物使用経験者にインタビューし、その言葉をよりリアルに表現する試みを開始。また、様々な実務家(保護観察官、警察官、薬物回復センターで働いている人々など)の価値観や目的を科学的に測定することで、彼らが再犯防止という同じゴールへ向かって協働する可能性を探っている。

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