
様々なモノのリサイクルが進むなか、ゴミを資源に変えるという画期的なリサイクル技術を開発し、注目されている岩元美智彦会長。この技術を「これからの人類と地球を救う、コペルニクス的転回」と絶賛する入澤学長は岩元会長との対談を熱望していた。
入澤:私は岩元会長が実現された、役目を終えた服(対象:ポリエステル繊維)やペットボトルを半永久的にリサイクルする革新的な技術と、事業展開において人々を巻き込んでいく仕組みは、究極の循環型社会、持続可能な社会を実現するものだと感銘を受けました。
岩元:ありがとうございます。当社独自のリサイクル技術は「ケミカルリサイクル」と呼ばれるものです。現在の一般的なリサイクルは、例えばペットボトルなら粉砕・洗浄後に熱で溶かしてペットボトルに作り替える物理的リサイクルです。ただ、この物理的なリサイクルは利用ロスが多い、色や添加物が完全には除去できない、再生回数に限度があるといった課題があります。一方、私たちの化学的なリサイクルは、ペットボトルなどのリサイクルするものを分子レベルまで分解して添加物などの不純物を除去し、再構成して再び原材料を作ります。こうすれば、色がついていても劣化していても石油から作る原材料と遜色ない品質にまで戻せて、しかも何百回でも何千回でもリサイクルが可能です。
入澤:私は岩元会長がおっしゃる、この技術によって、不要だったゴミが新たな「地上資源」となり、石油をはじめとする「地下資源」を使わずにすむという点も素晴らしいと思います。というのは、ロシアによるウクライナ侵攻もそうですが、戦争や紛争の一因は、限りある地下資源の奪い合いです。しかし、地上資源で賄うことができれば、地下資源を奪い合う必要がなく、争いのない安穏とした世界、平和へと結びつきます。
2020年4月に改組され、新たなスタートを切った先端理工学部。国内の理系学部初の「課程制」、25の多彩なプログラムによる「分野横断型の専門教育」、1年を4つに分割した短期集中履修の「クォーター制」など画期的な学びを実現している。そのなかの一つが「R-Gap(Ryukoku Gap Quarter)」だ。
従来型の理系学部は4年間を通して必修科目を履修し、研究室で卒業研究に取り組む。一方、先端理工学部では3年生の第2クォーター(6~8月頃)には必修科目を置かず、主体的な学修期間として設定。これにより、理系学部では珍しく留学や長期インターンシップ、ボランティアなど自由な活動ができる。そんな「R-Gap」の特徴的な取り組みがプロジェクトリサーチである。個人またはグループで学生が調査・研究に挑むもので、テーマは自由。全て学生の自発性・主体性に委ねられる。最終的に成果・結果を公開し単位認定を図るため、調査・研究を深化させるアドバイザー教員を設定。その窓口と運営に携わったのが知能情報メディア課程の橋口哲志助教と機械工学・ロボティクス課程の野口佳樹講師である。
間違った目撃証言、取調べでの虚偽自白などにより犯人とされてしまう「えん罪」。そんなえん罪に苦しむ人を無償で支援するため、法学者、弁護士、心理学者、情報学者、一般市民などにより「イノセンス・プロジェクト・ジャパン(えん罪救済センター)」(以下IPJ)が2016年に設立された。各分野の専門家がえん罪当事者の無実の訴えをDNA型鑑定などの科学鑑定により立証できるかを検討し、支援決定後の弁護活動も含め無償でサポートしている。このIPJのメンバーである法学部古川原明子教授と、IPJの学生ボランティア三須愛子さん(法学部3年)がIPJの活動内容や今後の目標について語り合った。
三須:入学時から犯罪学や更生支援について勉強していましたが、また違った観点から視野を広げたいと思っていました。その時、古川原先生からIPJについて教えていただき「えん罪」というものを知りました。罪を犯していないのに犯人とされてしまうことに怖さを感じるとともに、法医学や科学の視点から犯罪を分析していくことにも興味を持ち、IPJの活動をサポートする学生ボランティアになることを決めました。
古川原:IPJの活動を広く知っていただくための広報活動では学生の新しい視点も有効です。IPJには様々な大学から約120名の学生がボランティアとして参加し、勉強会や広報活動をおこなっています。