広報誌「龍谷」2025 No.99

「つどい、つながり、つむぐ」龍谷大学へ 第20代 学長 安藤 徹

People, Unlimited

「つどい、つながり、つむぐ」龍谷大学へ

第20代 学長

安藤 徹

今、日本の大学は存続の岐路に立っています。数年後、18歳人口の急激な減少がはじまると、学生を確保できずに淘汰される大学が出てくると予測されています。それまでの4、5年がとても重要です。私の学長任期とも重なるこの時期は、18歳人口がほぼ横ばいで推移する“踊り場”の状態が続くからです。ここで何をするかが、龍谷大学の未来を大きく左右します。次期学長として責任は重大ですが、こうした非常にクリティカルな局面を前向きに乗り越えて、龍谷大学の持続可能性を高めるべく、大学運営にあたっていく覚悟です。

現代は、様々な物事が目まぐるしく変化し、複雑性の増大した予測困難な時代です。あらゆる分野で従来の発想や方法が通用しない社会を、私たちは生きています。大学も例外ではありません。だからこそ必要なのは、変化と挑戦を恐れない組織になること。時機を逸することなく決断できる組織になることです。

本学には380年以上の歴史と伝統があります。それらを過去のこととして安易に切り捨てるのではなく、頑なにそのまま引き延ばすだけでもなく、変革の原動力とすることができれば、大きな強みになります。創造には伝統が必要であると同時に、創造あってこそ伝統も活かせます。これまで培われてきたものを、今あるいは未来の視点から読み替えつつ、さらに一歩踏み出し、新しい価値を共創する。そのことが、建学の精神である「浄土真宗の精神」を守り継ぐことにもなります。守りつつ変わる、変わることで守る、ということです。

広報誌「龍谷」2025 No.99(Ryukoku University Digital Libraryへ)

Research, Unlimited

専門性と「まごころ~Magokoro~」ある市民性を備えた『龍谷人』を育む新・教養教育が始動

専門性と「まごころ~Magokoro~」ある市民性を備えた
『龍谷人』を育む新・教養教育が始動

教養教育センター長
政策学部

只友 景士 教授

経営学部

妻木 進吾 准教授

複雑な社会に適応できるのは『龍谷人』

龍谷大学は全学で展開する「教養教育カリキュラム(以下新カリキュラム)」を改革し、2025年度から開始する。本学の教養教育は、教養教育センターのもとで自己を確立できる人間の育成をめざし「専門性を身につけた教養人の育成」の一翼を担うことを目的としたカリキュラムを展開してきた。その中で、本学の将来構想である「龍谷大学基本構想400」でめざす「まごころ~Magokoro~ある市民の育成」を具現化する新たな教養教育カリキュラムについて検討を重ねてきた。ただ、2020年のコロナ禍の発生など将来の予測は困難を極め、社会は一段と複雑化した。「こういった時代を生き抜く力、山積する課題を解決して社会に貢献しようとする心を備えた『龍谷人』こそ、今、求められる人材であると考え、その力と心を養うために不可欠な教養教育のさらなる充実を図りました」と今回の改革の意図を語る教養教育センターの只友景士センター長。「専門性を身につけた教養人=龍谷人の育成」をより実現するための新カリキュラムが作られることになった。

広報誌「龍谷」2025 No.99(Ryukoku University Digital Libraryへ)

Connect, Unlimited

「繋がり」がボランティアの鍵高校生とともに能登半島地震被災地へ

「繋がり」がボランティアの鍵
高校生とともに
能登半島地震被災地へ

京都市立開建高等学校
副校長

中村 和夫 さん

ボランティア・NPO活動センター長
政策学部

石原 凌河 教授 准教授

災害に強く、万一の危機に対して持続可能な地域社会を再構築する力を指す「地域レジリエンス」を専門に研究する政策学部の石原凌河准教授が主宰するゼミと、本学と高大連携協定を結ぶ京都市立開建高等学校、そして京都市立西京高等学校が加わり、2024年10月12日、能登半島地震の被災地の一つである石川県七尾市田鶴浜地区でボランティア活動を実施した。2校の高校生は初めてだったという被災地での活動内容と、大学生と高校生が融合したことによるボランティアの相乗効果を開建高校の中村和夫副校長と、石原准教授が振り返る。

中村:開建高校は2023年に京都市立塔南高等学校から新たに生まれ変わった学校ですが、塔南高校時代から始まった防災に関する取組を継承し「防災ボランティアリーダーズ」として活動しています。現在、メンバーは約30人。校内での避難訓練の企画運営や全校生徒への防災の啓蒙活動など、防災意識を高めるための活動をしています。今後の活動を充実させていくために、防災の専門家である石原先生に相談させていただきました。

石原:本学と開建高校が高大連携の協定を結ぶ前からですね。ゼミ生が開建高校に訪れて防災セミナーを開いたり、阪神・淡路大震災の展示や映像から防災を学べる「人と防災未来センター(兵庫県神戸市)」に行きフィールドワークをおこなったりしています。教えることはゼミ生にとっても学びになりますからね。

広報誌「龍谷」
2025 No.99(Ryukoku University Digital Libraryへ)

Download

広報誌「龍谷」2025 No.99

広報誌「龍谷」2025 No.99

Download PDF Digital Library