英語で俳句!

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海外でも多くの人々が英語で俳句をつくっており、今や英語俳句は国際交流の新しいかたちとも言えます。では、英語で俳句をつくるにはどうしたら良いのでしょうか。英語で俳句をつくる場合には、日本語でつくる場合の基本の他に、もう少し付け加えて考えなければならない点がいくつかあります。

英語では五・七・五という一定の音節の型にとらわれる必要はありません。英語には英語の独特の音節構成があり、直接には日本語で五・七・五の形式のつくり出す意味と効果をもたらさないからです。そこで英語の俳句でこの三つのまとまりをつくり出すために、俳句を三行に分けて表すというのが普通です。これは別に規則というわけではありませんが、そこに五・七・五という形と同じような効果を得る事ができるのです。

日本語の俳句は、季語を織り交ぜ、「伝統文化」や「自然」、「風景」など、非常に日本的な事象を題材にしています。英語で俳句をつくる時には、英語という国際的に使われている言語を通して、世界中の人々が普遍的な意味で共通に体験し、感じることができるような題材を扱うことが普通です。英語の俳句は、世界中の多様な文化の中に生きる人々をつなぐ掛け橋となることができるのです。

英語俳句では、深い意味を伝えるために単純で直接的な表現を使うようにします。そもそも俳句の効果というのは、人間にとって普遍的な状況や感情を、作者独自の感受性に満ちた受け止め方や解釈によって表現するものです。例えば日本人の学生でもアメリカ人の学生でも、喜びや恐怖、不満などといった、人間として日々の生活で直感的に沸き起こる感情に変わりはありません。

英語は国際語ですから、英語俳句は国境を超えて人間に共通の喜びや苦しみを確認し合える絆を創ってくれます。けれども英語の俳句はそれなりの難しさがあります。どの言語を使ってもそうですが、特に英語にとって、俳句特有の詩形の短さは異質で、説明をしたり、練り上げて感情を表現するような余地は全く無いわけです。もしその結果、表面的な深みのない言葉のみに終わってしまうようならば、もうどうしようもありません。

また、英語俳句では、その題材が「価値が低すぎる」とか「ありきたりでつまらない」などと批評されることがあります。しかし、俳句づくりにあってはどんな題材も「価値が低すぎる」ということは無いと思ってください。俳句の創作では「美」や「崇高さ」などといった題材にだけ限られる必要は全く無いということです。日常的に感じる本当の気持ちを素直に表現したものであれば、どんな感情の露出も恥ずかしいとかおかしいと思う必要はありません。素直な感情とそれをとらえる感受性があれば、その一見単純に見えるかもしれない表現の中に光を放ち、読者のこころに強い印象を残す俳句となるでしょう。

まとめてみますと、英語の俳句は特に字数や音節の数といった制限はありません。基本としては三行詩の形態をとり、使う言葉はわかりやすくて単純な方が効果的です。俳句づくりに取り組む時に、詠む事象を素直に受け止め、感情をストレートに表現することが大切だと思います。自分の心の底にある素直な気持ちや伝えたい体験を、英語俳句で表現してみようという気持ちが大事です。それが世界の人々と気持ちを分かち合うことになれば素晴らしいと思います。

私たちは今という「生」を共有しているのです。国や文化を超えて分かち合い、交わし合うものがあれば、国際間の理解を深める事ができ、世界中の人々の間に存在する「壁」を乗り越えていけるのではないでしょうか。
最後に、英語部門で最優秀賞を受賞された方の句を紹介します。

Fallen to moss
once again it blooms
white camellia

第14回 朽木久子さん

buying a ten-year diary
Will I be here
Or…not?

第15回 石澤幸子さん


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