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政策学部

大石尚子ゼミ
食と農でイノベーション~生産者と消費者の懸け橋になる~
奈良県在住の生産者の抱える事情とは?

2017.09.29奈良県在住の生産者の抱える事情とは?

政策学部 大石尚子ゼミ

今回は奈良県大和郡山市で農業を行っている「とぐちファーム様」、「おおがきファーム様」に話を聞いてきました。農園ではトマト、キュウリ、キクナ等を育てています。

それぞれの農園に話を聞きにいきましたが、皆さんそれぞれ抱えているものがありました。
今回の訪問を通じて、農園の抱える問題点を具体的に知ることができました。

とぐちファーム様からは、「農業では人や作物、薬、肥料などを管理することが重要。そのためにまず人材の確保や育成が第一段階と考えている。そこで雇用関係を時給ではなく仕事の成果で給料が変わる歩合制(能力給制度)が農業にとっての理想の雇用形態と考える。そのために必要な事は人材育成である。」とのお話がありました。課題点としては、従業員一人一人の技術の向上、消費者にとっての「安全・安心」の基準は何か、ということでした。(農薬などが使われていない無添加の食べ物以外は食べたくないなどの意見もあるが、ジュースやコンビニ商品、水道水にも添加物は含まれている。)

おおがきファーム様では、「農薬をできる限り使わない、減農薬を行っている。理由として農薬代がかかることと自然体で育てることが自分に合っていると考えているから。昔は無農薬だったが、無農薬野菜にこだわる消費者についていけなくなった。また、無農薬で育てると必然的に出荷できる量が減り多くの人に野菜を届けられないと考えた。」とのお話がありました。
また、経営についてはどう考えているのかと聞いたところ、「自分で全て仕切っていくか、深く現場に入り込んで一緒に考えてくれる人か団体と協力体制を組みたい。これからの農業には現場と販売、流通とそれぞれ連携するシステムがもっと必要になってくる。」との回答がありました。
最後に後継者の問題について聞くと、「今後の展開としては、会社形式での運営を考えている。長男や子供が農業と土地を継承していくケースが多いが、会社形式にすることで農業と土地を第三者に貸し出し、土地や農業の維持ができる。そして、家賃だけ長男や子供にいくシステムで欧米では昔ながらの伝統的なシステム。らしく、息子がやる場合でも親から利権等を買い取って経営していく。このシステムが現在の日本の農業には合っており、もし経営をやめて農地がそのままだった場合でも、農地が荒れて周りの人に迷惑がかかることはない。」とのことでした。

生産者の話を聞いてきて思ったことは、これからの農家は農作物を育てる技術力だけを追求するのではなく、消費者に自分たちの商品をどうPRして買ってもらい、リピーターになってもらえるかも考えなくてはならない。ということでした。

今回訪問させていただいた農業経営者たちは、元々親から引き継いだ設備を使って運営していました。とぐちファーム様の場合、親から継いだ物の他に更に2億円をかけているとのことでした。また、農業を経営したいという人は、農業に関わりたい人に比べるとはるかに少ないということもお話の中で知ることができました。設備投資などにかかる金銭的な不安が1番の理由とのことでした。その点でいえば、おおがきファーム様が答えていた欧米の会社経営方式が新規の農業者の負担が減るのではないかと感じました。

また、トマトジュースなどの加工品の製造や販売という点では、生産・流通・販売が連携しないといけないという話も聞けました。今回は加工品の製造・販売が話題として上がったが、これからの農家は、流通、販売と連携していかなくてはいけないのだと感じました。

高池 久登(京都府立洛北高校卒業)