[公開セミナー]コクラン共同計画におけるエビデンスの産出
【企画趣旨】
刑事司法・福祉・教育等の分野において、エビデンスへの注目が高まりつつあります。これらの分野におけるintervention studyの系統的レビューを作成・発信する国際的な研究ネットワーク「キャンベル共同計画」は、2000年の設立以来、着実にレビューを積み上げてきました。しかし日本国内に目を向ければ、これらの分野で政策・実務にエビデンスが活かされる場面はいまだ限定的です。エビデンスに関心を寄せる研究者の裾野もそれほどの広がりはみせていません。 本セミナーでは、キャンベル共同計画の姉妹プロジェクトである「コクラン共同計画」に関わってこられた講師をお招きします。 保健・医療の分野を対象とする「コクラン共同計画」において、系統的レビュー(エビデンス)はどのように生み出されているのか、 一次研究の質をどのような方法で評価しているのか等について、基本的・総論的なお話をしていただきます。
系統的レビュー、エビデンスに基づく政策等に関心をお持ちの社会科学・人間科学系の研究者・大学院生の方の参加をお待ちしています(無料・申込不要)
【講師紹介】
渡辺範雄 氏(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻准教授)
1998年横浜市立大学医学部卒業。横浜市大、名古屋市大で診療・研究を行い、2003年から2年間にわたりロンドン大学精神医学研究所で客員研究員。 2007年名古屋市立大学大学院にて医学博士取得。同大学精神科助教、病棟医長、専任講師を歴任。 2013年国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター室長。2016年より現職。コクラン・ジャパン副理事長。
【キーワード】
「コクラン共同計画(The Cochrane Collaboration) 」: イギリスの 「国民保健サービス(National Health Service: NHS)」の 一 環 として,1992年から始まった医療テクノロジーアセスメントのプロジェクトで, 現在, 世界的に急速に展開しているものです。1970年代に, すべての医学的介入について無作為化比較試験 (randomized controlled trial: RCT) が必要であると力説したイギリス人,アーチ―・コクラン(Archiebald Cochrane) の名前を冠しています。 すべての治療・予防などの医学的介入について,RCT を中心に, 世界中の臨床試験(clinical trial)を収集し,質評価をおこない,統計学的に統合し,その結果 を,医療関係者,行政当局,さらに消費者に届け,合理的な意思決定に供することを目的としています。 (引用;津谷,1996)
・コクランHP(http://www.cochrane.org/ja/about-us)
「キャンベル共同計画(TheCampbell Collabolation: C2)」:1999年7月University College Londonで,4か国から80人の人々が参加して開かれた準備会合で,設立が決議されました。そして,2000年2月24~25日にペンシルベニア大学で開かれた会合で正式に発足しました。キャンベル共同計画のレビュー・グループへの協力者がつくり,維持していく研究エビデンスの系統的レビューは,「何が有効か」に関する良質のエビデンスに強い関心がある人々のニーズに応えられるように考えられています。こうした人々には,社会・教育政策や実務の効果に関する最善のエビデンスについて知りたい市民,実務家,政策決定者,教員と学生,研究者などが含まれます。キャンベル共同計画の系統的レビューは電子的に公表されるので,新たなエビデンスが現れるたびに速やかに更新され, 批判や方法論の進歩に応じて修正されます。キャンベル共同計画は,医療における介入の効果の系統的レビューをつくり,維持している,姉妹機関のコクラン 共同計画と密接に連携していきます。(参照;龍谷大学犯罪学研究センターHP:http://crimrc.ryukoku.ac.jp/campbell/)
・キャンベルHP(https://www.campbellcollaboration.org/ なお、日本語訳の紹介は龍谷大学犯罪学研究センターHPでもおこなっている)
※龍谷大学犯罪学研究センター研究部門の「犯罪と科学」分野に属する「政策評価ユニット」は、犯罪学(犯罪防止)における科学的エビデンスの構築と共有を目的とし、国際研究プロジェクトであるキャンベル共同計画(Campbell Collaboration: C2) の事業に賛同し、キャンベル共同計画が作り出してきた、犯罪防止や再犯防止といった犯罪学分野における効果的な介入に関する科学的エビデンス(系統的レビュー)を日本語に翻訳したり、電子媒体や紙媒体を通し広く配布することで、関係する学会、行政、立法府に対し情報提供(エビデンスの普及)を行っています。
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