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理工学部

植村渉研究室
人とロボットが共に働く世界を創る。
RoboCup 2017 Nagoya 世界大会への参加

2017.12.20RoboCup 2017 Nagoya 世界大会への参加

理工学部 植村渉研究室

1997年からロボット工学と人工知能の研究発展を目指して、自律移動ロボットの競技大会であるRoboCupが毎年開催されています。今年は21回目であり7月25日から31日まで名古屋市で開催され、私たちは教員1名、学生9名でBaby Tigers – RとしてRoboCup Logistics League(RCLL)に参加しました。RCLLにはドイツから2チーム、スイス、オーストリア、フランスからそれぞれ1チームが参加し、私たちを合わせて6チームの参加となりました。

RCLLではRobotinoという自律移動ロボットを用いて、機械によって自動化された生産工場を想定して競技を行います。Robotinoにはカメラなどのセンサ類や、製品を搬送するためのグリッパーをチーム独自に取り付けることができます。また、競技エリアには14台のModular Production System(MPS)が配置されています。MPSにはベルトコンベアや製品加工用の装置が取り付けられており、これらを用いて競技を行います。まず初めに探索フェイズがあり、Robotinoが競技エリア内を移動し、MPSに取り付けているマーカーを識別してエリア内のMPSの座標の探索を行います。その後の生産フェイズで審判プログラムからのオーダーに従って製品の組み立てと納品を行います。組み立てには審判プログラムから指定された順番にMPSを移動して製品の引き渡しと受け取りを行うことが必要で、その工程でチームごとの特色が現れてきます。ソフトウェア面では、他のロボットの作業を引き継いだり、MPSに渡した製品をすぐに受け取らずに後回しにして処理をするといったプランニング、ハードウェア面では3Dプリンタで作成されたものや横にスライド移動して位置調整を行うものなどチーム独自のグリッパーなど様々なものがあります。

RCLLでは今年よりルールの変更があり、私たちは新しいルールに対応したプログラムを作成し、競技に臨みましたが、ロボットの自己位置推定と実際の位置の誤差により、移動のプランが上手く動作しなかったり、追加された新しいMPSに対応したプログラムを作成していましたが、運営サイドの新しいMPS用の制御プログラムが間に合わなかったため、想定していたようなプランができませんでした。

また、RoboCupは自分たちの研究、勉強してきたことを活かす場でもありますが、海外交流ができる場でもあります。今回の大会は私たち日本チームがホスト国ということもあり、ムスリムの方から食べ物の原材料を質問されたり、日本食に興味を持たれた方から巻き寿司を売っている店の場所を質問されたり、ロストバゲージしたチームと航空会社との間に入って通訳を行うなどの多様なコミュニケーションをとることができました。

今回の大会を終えて、改善しなければいけないポイントを見つけることができました。この経験を得て、来年のRoboCup German OpenやRoboCup 2018 Montreal Canadaに向けて努力をしていきたいです。

辻 和輝(滋賀県立彦根工業高等学校卒業)