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理工学部

丸山敦 研究室
和装本に漉きこまれた毛髪の科学分析で江戸時代の食環境を復元する。
「食文化の断絶と継承」シンポジウムで発表

2020.02.26「食文化の断絶と継承」シンポジウムで発表

理工学部 丸山敦 研究室

江戸時代の人々の毛髪を古い和装本から摘出して分析し、当時の暮らしの変化や地域差を調べてきました。今回は、その速報をシンポジウムで発表してきたので、報告します。

「文学と化学分析から見た、日本の食文化における断絶と継承」と銘打たれたシンポジウムが、東京都立川市の国文学研究資料館で行われました。本当は丸山先生が登壇予定だったのですが、前日からインフルエンザで倒れてしまわれ、急遽、木村と桑木で代理発表することになりました。とても緊張しましたが、聴衆の皆さまには暖かく聞いていただけました。古代風料理「甘葛煎を使った芋粥」の再現と試食もあり、興味深いシンポジウムでした。

講演は、国文学者の入口敦志先生(国文学研究資料館・教授)から始まりました。史料を読み解いていくと、現代の日本人が伝統的だと思い込んでいる食文化が、実はそれほど歴史の古いものばかりではないことが紹介されました。続いて登壇した私たちは、毛髪の同位体分析やPIXE分析から読み取れた、現代と江戸時代の食生活の違いや、江戸時代250年に見られる変化について紹介させていただきました。最後に登壇された神松幸弘先生(立命館大学・助教)は、すでに断絶してしまった古い甘味料の正体を探索する研究について紹介してくださいました。

分野の違う先生方の前での発表は、卒業研究発表会とひと味違う、学際研究の面白さを感じることが出来ました。

木村 俊太郎(追手門学院高校卒業)