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国際学部

陳慶昌ゼミ
国際問題の当事者であることを自覚し、考え抜く
批判的に考える力を学ぶ ~E.H.CarrのThe Twenty Years’ Crisisを読んで~

2017.10.25批判的に考える力を学ぶ ~E.H.CarrのThe Twenty Years’ Crisisを読んで~

国際学部 陳慶昌ゼミ

国際学部グローバルスタディーズ学科では、授業で国際関係に関する多くの理論を学びます。特に陳ゼミに所属する私たちは、様々な学者が編み出してきた、平和を目指すためのセオリーを学んできました。E.H.CarrのThe Twenty Years’ Crisisは、私達が今まで学んできたセオリーに新たな視点を与えてくれました。

最も興味深かった点として、E.H.Carrが述べた国家同士の力関係の存在が挙げられます。彼は国家間で語られる「道義」は、より力の強い国によって決定されてきたと主張します。これは、国家より強い権力を持った組織が存在しない為、また国家に道義的行動を強制する手段がない為であると考えられます。アメリカが核を保有していることを責める国はないのに、北朝鮮が核を保有しようとすることに対して制裁が加えられているのは何故なのか?そこには、大きな枠組みの中での国家間の力関係という暗黙のパワーバランスが存在していると考えられるのです。

私たちは、このような内容から、今の世界の現状をそのまま受け入れるのではなく、批判的に見つめることの重要性に気付きました。国際関係論を学ぶ私たちは、様々な観点から、多角的に物事・出来事を見つめ、建設的かつ批判的な意見を述べることを求められています。様々な問題が起こっている昨今、このような力を持つことは、問題解決の糸口を見つけるきっかけになると感じています。

また、今学期陳ゼミでは、ポストコロニアル理論を学ぶ為、Edward SaidのOrientalismを読み進めます。ポストコロニアル理論のパイオニアであるサイードは、同書で西洋が非西洋に対して抱くイーメージは帝国主義的、あるいは人種主義的で歪んだイーメージであり、彼らの異文化理解には偏見的で推測的な見方が潜んでいると批判します。さらに、西洋は非西洋より優れている、とはそもそも何を基準に判断されたのか、またその判断基準自体が西洋によって作られたものではないのかなど、目では見えない国家がもつ権力と、それがどのようにして創られたのかについて学びます。

次回の記事にその内容を掲載する予定としていますので、ご期待下さい。

佐藤 夏海(大阪府立池田高校卒業)
中野 篤志(大阪府立今宮高校卒業)