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【本件のポイント】

  • 魚類由来の環境RNAの分解速度を異なる環境条件下で推定し、環境DNAの分解速度と比較
  • 環境RNAは環境DNAよりも早く分解される傾向にあった一方、環境条件によっては環境DNAと同程度に長期間水中に残存し続けることが分かった
  • 野外環境においても、魚類環境RNAは従来想定されていたよりも水中に多く存在している可能性があり、環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まった


【本件の概要】
 龍谷大学の徐(相馬)寿明博士(龍谷大学生物多様性科学研究センター①)客員研究員/日本学術振興会特別研究員)および山中裕樹先端理工学部准教授(龍谷大学生物多様性科学研究センター兼任研究員)らの研究グループは、環境水中に浮遊する魚類由来のRNA(環境RNA)の分解速度を異なる水温およびpH条件下で推定し、魚類環境RNAが環境DNAよりも分解されやすいことを世界で初めて実証しました。
 環境DNA技術は、水中のDNAを分析することで「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているのか」を調べることができる、環境に優しくコスト効率的な生物調査手法として広く用いられつつあります。一方、環境RNAを用いた生物モニタリングの可能性もまた近年注目されつつあり、そのDNAとの物理化学的な性質の違いから、環境RNAは環境DNAよりも最近の生物情報や、生きた個体に由来する生物情報をもたらす可能性がありました。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた大規模な水槽実験により、環境RNAは環境DNAよりも分解されやすいことが明らかとなった一方、環境条件によっては72時間以上も安定的に検出され続けたことから、従来想定されていたほどすぐに環境RNAは水中から検出されなくなるわけではないことが示唆されました。裏を返せば本発見は、従来想定されていたよりも魚類環境RNAが大量に水中に存在していることを示しており、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の可能性を将来的に拡充する重要な基盤情報といえます。
 本研究の成果は、データ解析と論文執筆を主導した徐さんと水槽実験を主導した釣健司さん(2020 年度 龍谷大学理工学研究科修士課程 修了)を共同筆頭著者として、オンライン科学誌Environmental DNA(Wiley社)で7月16日に公開されました。

 

1. 発表論文
タイトル: 
Warm temperature and alkaline conditions accelerate environmental RNA degradation 
和訳:環境RNAの分解は温暖な水温かつアルカリ性条件下で促進される
掲載先:Environmental DNA (Wiley社)
URL:
https://doi.org/10.1002/edn3.334
著者:徐(相馬)寿明、釣健司、廣原嵩也、山中裕樹(龍谷大学)


2. 本研究内容に関する問い合わせ先
龍谷大学先端理工学部 准教授
山中裕樹(やまなかひろき)
〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5
電話番号:077-544-7113
E-mail:  yamanaka@rins.ryukoku.ac.jp   研究室webサイト:  http://edna-lab.org/ 

3. 研究内容の詳細
 環境水中に残存する生体外DNA(環境DNA)から「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているか」を推測する環境DNA技術②)は、魚類などの大型生物を対象にここ10年ほどで急激な技術的発展を遂げています。対象生物を見たり捕まえたりすることなく「水から」検出できる簡便さから、生物多様性の観測や水産資源の管理に革命をもたらす技術として期待されており、社会実装に向けた動きも国内外で進んでいます。但し、環境DNAの放出ソースは様々で、生きた個体に限らず死んだ個体からも放出されます。また、川や池の底に沈んだ昔の環境DNAが何らかの理由で水中に再び懸濁することもありえますし、調査に用いた船や器具に付着したDNAが誤って混入することもあるでしょう。こうした「生きた個体に由来しない」環境DNAの検出は、時として生物分布に関する誤った解釈や生物量の推定バイアスをもたらします。そのため、「水から」の生物調査結果の正確性を向上させるために、より残存性の短いマーカーの開発や、検出された環境DNAの放出後時間の推定が求められていました。

 環境RNA(環境水中に残存する生体外RNA)は、この課題を解決するための重要な鍵として近年注目されています。DNAに対してRNAは物理化学的に不安定な性質で、かつ環境中に広く存在するRNA分解酵素(RNase)によって簡単に分解されます。このことから環境RNAは、環境DNAよりも分解されやすく、それゆえに環境DNAよりも最近の生物情報、ならびに生きた個体に由来した生物情報を反映しやすい可能性が、幾つかの先行研究で示唆されています。しかしながら、魚類など大型生物の環境RNAの残存状態や分解メカニズム、そしてそれらに対する環境要因の影響は、環境DNAよりもさらに不足しており、実際に環境RNAの残存性が環境DNAと比べてどのように異なるのかはよく分かっていませんでした。

 そこで本研究は、脊椎動物のモデル生物であるコイ科魚類のゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた水槽実験を実施し、異なる水温(10、20、30℃)ならびにpH条件(4、7、10)間で環境DNAと環境RNAの分解速度を比較しました。各環境条件におかれたゼブラフィッシュの飼育水を経時的に採水し、フィルターろ過によって飼育水中の環境DNAおよび環境RNAを回収しました。核酸抽出、逆転写③)処理などの後、環境DNAおよび環境RNA濃度をリアルタイムPCRによって測定し、その経時的な減少分からそれぞれの分解速度を推定しました。統計解析の結果、環境RNAは環境DNAよりも分解速度が高い傾向が見られましたが、それらの信頼区間は重なっており、従来想定されていたほど環境RNAの分解は早くないことが示唆されました。また、環境RNAは環境DNAと同様に高水温下で分解されやすくなった一方、pHの影響は核酸タイプ間でやや異なっており、これは核酸間の物理化学的性質やそれらを取り囲む膜構造などによるものだと考えられます。さらに、環境DNAに対する環境RNAの相対濃度(環境核酸比)は、時間経過に伴い減少する傾向にありました。このことは、環境DNAならびにRNAの放出後時間や新鮮さを表す指標として、環境核酸比が有効である可能性を示唆しています。

 本研究は、世界で初めて魚類環境RNAの分解速度を推定しただけでなく、異なる環境要因からの影響評価、そして環境DNAとの残存性の違いを明らかにしました。一方で、環境RNAは従来想定されていたほどすぐに水中から検出されなくなるわけではなく、魚類環境RNAの水サンプルからの利用可能性は私たちの想定以上に高いことが期待されます。共同筆頭著者の釣氏は過去にも、ゼブラフィッシュの組織特異的に発現するメッセンジャーRNA④)(mRNA)を水中から検出することに成功しており、本研究結果はそうした魚類環境RNAの水中での残存性の高さを支持しているといえます。とはいえ、魚類など大型生物の環境RNAの性質や動態に関する基礎情報は依然として不明なことが多く、本研究を始めとした基礎情報の蓄積が求められます。こうした基礎研究の積み重ねが、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の実現につながることを強く期待しています。

4. 用語解説
①)龍谷大学 生物多様性科学研究センター
2017年度開設の生物多様性科学研究センターは、これまで、生物種の検出のみならず、種内の遺伝的多様性も「水から」の分析を可能にしてきました。近年では種の存在のみならず「生物の状態」まで知ることを狙い、環境RNA分析も開始したことで、総合的な「環境核酸分析」へ発展しつつあります。これによりDNAだけではわからない、繁殖活動や病原菌への感染といった情報まで得られるようになると期待されています。本学の研究グループは、国内では最も早くから研究を始めており、世界的にも最古参に近いグループで、現在も世界をリードする研究を推し進めています。
②)環境DNA技術
水や土などの環境媒体に含まれているDNA(環境DNA)の情報を基に、そこに生息する種の分布や多様性、量を推定する分析手法のこと。元々はバクテリアや菌類などの微生物を対象としてきましたが、魚類などの大型生物を対象とした分析技術の開発が過去10年ほどの間に急速に発展し、生物多様性観測における一般的な調査手法の一つになりつつあります。
③)逆転写
RNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅させる場合、まずRNAを相補DNA(cDNA)に変換する必要があります。このRNAをcDNAに変換するステップを逆転写と呼びます。なお、サンプル内に元々含まれているゲノムDNAを誤って検出しないように、逆転写の前にゲノムDNAは全て除去されることが多くあります。
④)メッセンジャーRNA
細胞内で特定のタンパク質が合成される際に、DNA上の遺伝子情報を基に一時的に合成される核酸物質のこと。mRNAとも。

 

5. 関連情報(山中研究室における研究の紹介記事) 
-    NewsPicks Brand Design(2020.03.10更新記事)「環境DNA」が可視化する生態系のビッグデータとは? 
https://newspicks.com/news/4683978/body/
-    本学ニュースセンター(2021.05.31更新記事)「環境DNA分析」はコップ1杯の水から 市民と連携した愛知川の生物多様性調査でサスティナブル(持続可能)な環境保全や漁場管理を推進  https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-8506.html
-    本学ニュースセンター(2020.12.03更新記事)龍谷大学理工学研究科大学院生 釣健司さんらが魚類に由来するメッセンジャーRNAを水から検出することに成功 脊椎動物由来の環境RNAを対象としてmRNAの検出が可能であることを実証した初の報告例
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-6646.html 


2022.07.19
【こども教育学科】卒業生による教育・保育現場報告

2022年7月13日(水)1講時 保育実習指導Ⅰの最終授業では、入職3年目を迎え現役保育者として活躍する卒業生4名の先輩による現場報告をしていただきました。児童養護施設、保育所、幼稚園、龍谷大学への編入後に保育所にお勤めの先輩からそれぞれの現場での職務内容や仕事のやりがいをうかがい、保育者としての仕事の多様性と楽しさ、そして厳しさを学ぶことができました。
在学生は先輩方のお話を通して、専門職である保育者になることへの意欲を高め、短大で学んでいることの意味を改めて考えていました。最後に「貴重な学生生活をしっかり楽しみ、学び、また仲間をたくさん作って!」という素敵なメッセージを在学生に送ってくれました。



大学院政策学研究科には現在、修士課程に32名、博士後期課程に10名が在籍しており、7月9日(土)に大学院生、教員、修了生(卒業生)、進学を検討している学部生が集まり「中間報告会」を開催しました。

「中間報告会」は例年この時期に実施しており、大学院生がそれぞれの論文の内容を報告し、指導教員以外の教員、修了生(卒業生)、他の学生など様々な視点から自身の研究内容についてのアドバイスをもらうことができる貴重な場となっています。当日は総勢約50名が一堂に会し、活発な意見交換がなされました。今回の報告会で得たアドバイスをもとに、大学院生は調査・研究に臨みます。

今後も「チーム政策」を合言葉に、教職員、学生、同窓生が協働し、政策学部・政策学研究科を発展させていきます。



2012年より龍谷大学大学院実践真宗学研究科の有志によってはじめられたグチコレは、今年で10年目を迎えました。現在でもTV番組や新聞各紙など多くのメディアに取り上げられています。今回は、グチコレの活動を支えている学生の声とともに、近年のメディア実績をご紹介します。

 

●研究科3年 保々光耀

昨年度に引き続き、「グチコレ@ジッセン部」として活動しています。皆さまのグチに対し、価値判断をせず、ただ耳を傾けることで、気軽に本音を言える場を創り出すことを目指しています。そして、SNS等で公開することにより、共感したり、違いに安心できたりすることを通して、グチや本音の大切さをご一緒に感じられたらと思っております。2022年は、いつもの京都タワー下での活動に加え、京都市南青少年活動センターや龍谷大学大宮キャンパスでも活動させていただきました。

 

●研究科2年 長光智海

グチコレクションとは、路上やイベントなど、社会の中で様々な人々のグチを聴き、対象者に了承を得たうえで、SNS等で匿名のもと公開して社会全体に共有する活動です。学生からご年配の方まで幅広い世代の方々が、日常生活における軽いグチから本音の混じったつらいグチまで話してくださいます。グチコレの活動は、お互いをありのまま受け入れ、本音を言いあえることで、認めあえる社会をめざす。ありのままの「あなた」や「私」でいることのできることを目標に活動しています。

 

●メディア実績

2021(令和3)年9月21日 「日本経済新聞」関西版掲載

2021(令和3)年9月26日 「日本経済新聞」ウェブ版掲載

2022(令和4)年1月7日 「読売新聞」朝刊掲載

2022(令和4)年2月12日 「リビング京都」掲載





実践真宗学研究科では、体系的な理論研究と現場での実習を軸として「理論と実践」に取り組んでいます。学生が主体となって行う本研究科の臨床実習は、訪問先もその内容も多岐にわたり、その一つひとつが本研究科の色を作りあげます。その中で今回は、「より開かれたお寺へ」というスローガンを掲げる、東京の築地本願寺に訪問実習を行った学生の声をお届けします。

 

●研究科2年 亀井恵慶

 築地本願寺訪問実習では、こうした伝道もあるのかという新たな視点を持つことができました。築地本願寺カフェ(Tsumugi)が提供されている朝食の中で「18品の朝ごはん」というメニューがあり、その由来をわかりやすく説明したカードが添えられていました。そこには、「築地本願寺のご本尊である阿弥陀様はすべての生きとし生けるものを救うために48の誓願を建てられ、その中心にある「あなたを決して見捨てない」と願い誓われた第18願です。」と、18番目の誓願にちなんで命名されたことが記載されていました。私はこの実践を、仏縁のない方、一般の方でも非常にわかりやすく工夫した伝道であると感じました。

 

 

●研究科2年 高千穂光正

 今回の築地本願寺訪問実習では、副宗務長である東森様よりご講義をいただいた。築地本願寺において行われている、「築地本願寺倶楽部」や「「寺と」プロジェクト」等の実践的な活動やその背景にある理論構成を学ぶ中で、築地本願寺における浄土真宗との新たなご縁づくりを目的としたセグメント及び深いアプローチが形成されていることに気付かされた。無宗教の割合が高いとされる東京における布教伝道のあり方を学んだ。

 

 

●研究科2年 米田空城

 築地本願寺訪問実習では、これからの真宗寺院像として一緒性を基盤にするということが大切だと学びました。お寺の敷居を下げるといった意味でも、既存のお寺の在り方ではなく、お寺に今まで関わりのなかった人たちも集える場所としてコミュニティーの中心になることが目標であると考えさせられました。命は等しく平等であるという真宗の教えに基づき、共に生きていく共同体としてのこれからの真宗寺院像を考えるきっかけになりました。


 

本研究科の学生たちは、現場に足を運び、実習での経験を糧に気づきや知見を得、自らの研究に還元していきます。多様性に満ちた本研究科の臨床実習について、今後も紹介していきたいと思います。





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作成者有限会社アップルップル

作成日2016/04/26

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作成者有限会社アップルップル

作成日2016/04/26

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作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成日2017/04/26

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作成日2017/04/26

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作成者KDL沖

作成日2017/05/08

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作成日2017/05/08

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/15

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作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/01

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