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農学部

農学部 岡田清孝ゼミ
植物の不思議を科学する。
花びらの数は8000枚!?奇妙な花、近江妙蓮

2018.08.10花びらの数は8000枚!?奇妙な花、近江妙蓮

農学部 岡田清孝ゼミ

岡田ゼミで“花のつくりはどのようにして決まるのか”を研究している中川です。
いきなりですが、皆さんは花のつくりをご存知ですか?普通、花は花びら(花弁)の他に、花を保護する萼(がく)、花粉をつくる雄しべ、種子をつくる雌しべの4種類でできています。
しかし、花屋などで売られている花を見てみると、雄しべや雌しべを見つけられないものがあります。これは雄しべや雌しべが花びらに変わってしまった、八重咲きと呼ばれるものだからです。
花のつくりは主にABCモデルと言われ、A遺伝子、B遺伝子、C遺伝子と呼ばれる3種類の遺伝子によって決められるため、これらの遺伝子が壊れてしまったり、変わってしまったりすると、花のつくりも変わってしまいます。しかし、この特性を利用することで、花びらを多くした八重桜や八重咲きのバラといった、見ているものを楽しませるきれいな花にする事も可能になります。ちなみに、花びらを増やしたい時は、多くの場合、C遺伝子を壊す事でできます。

今回、私達は7月20日(金)に、変わった花の咲き方をする蓮(妙蓮)が見られる、滋賀県守山市の近江妙蓮公園・近江妙蓮資料館を見学しました。ここでは、近江妙蓮についての古文書や、実物の妙蓮を観ることができ、ここを管理されている南さんからお話を聴くこともできました。
妙蓮とは何か?南さんによると「ミョウレン(妙蓮)とは、ハス科の植物で、普通のハス(常蓮)とは花の様子だけが違うものです。多くの常蓮の花びらの枚数は数十枚程度なのですが、妙蓮はつぼみの時期で2000枚ほど、開花すると5、6000枚、時には8000枚を超えることもあります。」とのことでした。お話に出てくる花びらの枚数はどれも桁違いで衝撃を受け、実物の花の大きさ、花びらの多さにさらに圧倒されました。
この妙蓮についても、ABCモデルのC遺伝子が壊れた事が原因であると考えられているのですが、実際に証明されてはいない様でした。そこで私は、本当にC遺伝子が壊れているかどうか、今後実際に妙蓮を用いた実験で明らかにしていきたいと考えております。

また、お話の中で、継続して妙蓮を育てる大変さとして、

  • 妙蓮は雄しべ、雌しべが花びらになっているため、種子ができず、レンコンの様に地下茎で増やすしか方法がないこと
  • 何年かに1度、育てている半分が常蓮になってしまうので、その常蓮を取り除く必要があること(常連を残しておくと妙蓮が負けてしまうため。)
  • 毎年およそ1000本の妙蓮全てに180cmの支柱を立てて折れないようにすること
  • 蓮は全てのゲノム(その種類の全ての遺伝子の情報)が明らかになっていないため、一度絶滅してしまうと、再現することはできないこと

などがあり、この妙蓮が初めてできた600年以上昔から、多くの人の努力によって今日私達が見ることができたことを知りました。
今回の見学を通して、私は、過去のものを絶やさずに未来へと繋げることの大変さ、大切さを学びました。研究を通して、そこに少しでも未来に役に立つものを加えることができる様にしたいと思いました。

中川 皐貴(滋賀県立彦根東高校卒業)