研究内容を教えてください。

悩みや困りごとがある個人や家族などの対人コミュニケーションに着目して、研究・心理臨床実践をおこなっています。また、Well-being（ウェルビーイング）を維持向上させる方法の探求も新たな研究テーマです。Well-beingとは「よく生きる」「よい状態であること」を表す概念ですが、人がなるべく機嫌よく暮らしていくには、どのような習慣や行動を生活に取り入れるとよいかについて研究しています。

専門分野のおもしろさは何ですか。

問題の原因や誰かの責任を追求するのではなく、対人コミュニケーションのありようや人それぞれのものの見方に着目して解決をはかるところが魅力です。特に、カウンセリング場面では、目の前の人と援助者である自分自身の対人コミュニケーションにポジティブな循環が生まれているかを意識することが難しくもあり、一番おもしろいところでもあります。研究や実践を通じて、誰かの気持ちがふと楽になる瞬間に立ち会えることは大きな喜びです。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

心理臨床に携わる前は一般企業で勤めていましたが、友人たちの困りごとや悩みを聞く中で、心の専門家はどのような方法で人の相談に乗っているのかに興味を持ったからです。「大学・大学院で専門性を身につけてみては？」「カウンセラーになってみては？」と人生の先輩方に助言をもらい、思い切って臨床心理学の世界に飛び込みました。今日までずっと興味関心が尽きないので、この分野に進むことを応援してくれた周りの人たちに感謝しています。