研究内容を教えてください。

フランスを中心とした近現代の西洋哲学を研究しています。具体的には、アンリ・ベルクソン、ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリの思考を手がかりにして、「哲学の方法」や「主観性・主体性の発生」について探求しています。

専門分野のおもしろさは何ですか。

既存の問題に適切な解答をあてがうのではなく、問いそのものを作り変えることで新しい答えを生み出そうとするところです。たとえば、私たちのアイデンティティを、単一的で段階的に発展していくものではなく、そのつど異なる要素の組み合わせが絶えず更新されるプロセスと捉えると、まったく別の姿をした自分がみえてきたりします。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

受験生の頃、将来は世界を飛び回る仕事がしたいと思っていました。そうした観点から商学部に入り、国際貿易論を専攻しました。途中、卒業後を見据えて大学を一年間休学し、主にユーラシア大陸を旅しました。それが転機となります。様々な環境で色々な人たちと出会い、語り合うことで、ものの考え方それ自体に強い知的関心を抱くようになったのです。帰国後、海外と取引のある会社に就職したものの、呼び覚まされた学問的熱意が抑えられず、あらためて文学部で勉強することにしました。そして今日に至っています。