研究内容を教えてください。

サイバー空間とフィジカル空間を扱うサイバーフィジカルシステムの設計、検証、制御などの方法論について研究しています。同システムを定式化しシミュレーション等を行った場合、膨大な時間がかかることがあります。これを避けるため、一部の性質を保ちつつコンピュータで扱えるようにするシステムの抽象化法や近似解法を提案してきました。最近は、ヒトの学習データや行動データの分析や、それに基づく適切な情報提供システムの研究も行っています。

専門分野のおもしろさは何ですか。

サイバーフィジカルシステムに関する問題は、定式化すると連続変数と離散変数による数理モデルとなり、一般的にはNP-困難という計算量のクラスに属します。これは、厳密な解を現実的な時間内で求めるのが難しいことを意味します。そこで、条件緩和、制度保証付きの近似解法、機械学習・ディープラーニングなどの解法を用いて挑戦するのですが、これがおもしろさです。また、システムにヒトを組み込む場合は、コンピュータサイエンスだけでなく、心理学、認知科学、行動経済学も扱う必要があり、学際的なおもしろさもありますね。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

大学生のときにシステム工学やオペレーションズ・リサーチについての授業を受けたのがきっかけだと思います。数理モデルを使って様々な問題を解くのがおもしろい・カッコいいと感じたのです。これが現在の専門分野につながっています。なぜ自分がそれを、おもしろいとかカッコいいとか思うのかは不思議ですよね。