- 教員氏名
- 吉川 悟 教授
- 専門分野
- 臨床心理学、人間関係学、システムズアプローチ
私の研究テーマは、システムズアプローチの実践と教育です。家族療法から日本で独自に発展したシステムズアプローチは、人間関係の不全状態の改善が可能な唯一の心理療法的対応だと考えます。臨床実践とともに、後進へのシステムズアプローチの普及活動、特に指導者の育成を目指し、取り組んでいます。
この分野の面白さは、少しネガティヴですが、何といってもピービングトムのような感じです。人が他者に対して「自分の意図で行動する」ということは、実際に感覚では多くあるでしょうが、システムズアプローチの立場からすえば、そんなことはあり得ないことだと考えます。それは、他者との関係の中でこそ、自分の行動が規定され、制限される中でしていることになるからです。このギャップをのぞき見趣味的に感じられること、そのことがこの分野の重要性であり、おもしろさであると考えています。
臨床心理学は、お金になるのか、という疑問が最も強い動機だったかもしれません。社会性がなく、他者との関係の中で生きていくことが自分には困難だと感じたときに、臨床的援助というより、単に人助け、特に揉めている関係を調整することが得意だったため、それがお金になるのかどうかがわからず、入ったのだと思います。しかし、今となっては、大きな失敗決断だったなあと思っています。それは、他者がどう反応するのか、自分の与える影響によって決まってしまうという前提の世界ですから、結果的に全てが自分の責として返ってくる、非常に厳しい世界だからです。