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2018.08.07

第1回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を開催【犯罪学研究センター】

2018年8月4日、第1回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を、本学深草学舎 紫光館で開催し、約30名が参加しました。
企画者である牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)がモデレーターを務め、今回は「痴漢は犯罪です ――地下鉄御堂筋線事件を知っていますか」をテーマに、性暴力を許さない女の会、北原みのり氏(ラブピースクラブ代表・作家)をゲストに迎えました。

まず、30年前に起きた地下鉄御堂筋線事件やその後の女性たちの運動について、事件を機に発足し現在も活動を続ける「性暴力を許さない女の会」のお二人に、報告をいただきました。北原氏からは、事件や女性たちの運動を記録する意義について、フェミニズムの歴史、そして今起きている性差別の問題に引きつけたコメントをいただきました。

1988年に起きた地下鉄御堂筋線事件は、電車の中で痴漢行為を見た女性が加害行為をとがめたところ、その加害者から性被害に遭ったというものです。女性に対する性暴力に言及する際に触れられることが多い事件のうちの一つです。事件の悪質さに加えて、裁判過程に垣間見える司法の性暴力観、性暴力被害を軽視する社会認識に、多くの女性たちが怒りの声を上げました。事件を受けて開かれた「Stop! ザ・レイプ」の集会には、500人が参加したといいます。

事件や運動についての報告は、当事者の「証言」であり「語り」であるともいえます。語りとは、ある時点の客観的な事実のみを伝える静的なものではなく、過去と現在を往来する、語り手の置かれた立場や状況を反映した現在の営みといえるもので動的なものです。今回の報告は、事実についての語りが語り手の経験や感情と不可分であること、過去についての報告であっても現在の問題や自身の主張と絡み合った「現在の営み(語り)」として表出することを、参加者が聞き手として経験する場でもありました。それをいかに聞き、記録し、今後に引き継いでいくか。この課題は、以後の研究会、とりわけ、第4回「セクシュアル・ハラスメントと報道」の問題にもつながります。



本公開研究会は、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」の構築を目指す、龍谷大学 犯罪学研究センターとの共催で開催しています。

○次回は8月25日(土)14:00-16:00開催予定です。 【>>詳細】
全6回ともに参加費無料・事前申込不要。どなたでも参加いただけます。

※この企画は、JSPS科研費 平成28ー32年度 基盤研究(C) 16K02033<研究課題「近代日本における『性犯罪』抑止政策と法の批判的検討」、研究代表者 牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)>の一環として実施しています。