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2018.11.20

第6回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を開催【犯罪学研究センター】

セクシュアル・ハラスメントへの法的対応の問題点――被害者責任論も視野に

2018年11月17日、第6回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を、本学深草学舎 紫光館で開催しました。

企画者である牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)がモデレーターを務め、今回は、日本におけるセクシュアル・ハラスメントの法的対応の問題点をテーマに、角田由紀子弁護士をゲストに迎えました。


弁護士 角田由紀子(撮影:永峰拓也)

弁護士 角田由紀子(撮影:永峰拓也)


40年以上にわたり、弁護士として性差別の問題に取り組んで来られた角田氏は、日本で初めてのセクシュアル・ハラスメント(以下、セクハラ)裁判となった「福岡裁判」の原告代理人であり、1989年に「セクハラ」が流行語となった際の立役者の一人です。
福岡裁判の勝訴によって、セクハラは許されないという認識は周知され、被害者の救済や、職場におけるセクハラ防止対策が取られるようになりました。セクハラという言葉が広まったことで、女性たちが自分の被害を言語化し、加害者に抗議し、他の被害者と経験を共有することができるようにもなりました。
福岡裁判の際、角田氏らが苦慮したのは、裁判で争おうにも、性差別を禁止する法がなく、セクハラを労働の場における性差別の問題として扱えないということでした。不法行為による損害賠償を求めて勝訴したものの、根本的な問題解決とは言いがたく、被害者の負担に見合った結果であったか疑問が残ると角田氏は言います。
諸外国では、セクハラは性差別の一類型だとみなされており、フランスでは、「セクハラ罪」も規定されています。角田氏は、法的枠組みを作り性差別の問題としてセクハラを禁止する必要性を訴えました。

質疑応答では、LGBT差別の問題や、日本で #MeToo運動が広がらない理由、メディアの果たすべき役割等にも議論が及びました。

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本公開研究会は、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」の構築を目指す、龍谷大学 犯罪学研究センターの共催で開催しています。

※この企画は、JSPS科研費 平成28ー32年度 基盤研究(C) 16K02033<研究課題「近代日本における『性犯罪』抑止政策と法の批判的検討」、研究代表者 牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)>の一環として実施しています。