Need Help?

News

ニュース

2018.12.19

時事通信社 パリ支局記事、フランス日刊紙『Libération』に赤池教授コメントが掲載【犯罪学研究センター】

ゴーン被疑者再逮捕に関して、日本の刑事手続きの海外での報じられ方とは?

2018年12月10日、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン、前代表取締役のグレッグ・ケリー両被疑者が起訴・再逮捕された件に関して、海外メディアからは日本の刑事手続きを疑問視する声が多数挙がっています。
この秋より1年間、国外(フランス)での研究に取り組まれている赤池 一将(本学法学部教授・犯罪学研究センター 教育部門長・司法福祉ユニット長)が、時事通信社 パリ支局の取材を受けました。

【『時事ドットコムニュース』web記事】*期間限定で閲覧できます
「日本の刑事手続きに批判集中=ゴーン容疑者再逮捕で-仏メディア」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121000635&g=soc

2018年12月10日付の記事では、「日本の刑事手続きに批判集中」というタイトルが掲げられ、ゴーン氏が会長を務める自動車大手ルノーの拠点であるフランスでは、勾留長期化のほか、取り調べに弁護人が同席できないなど、フランスと異なる日本の刑事手続きへの批判が強まっていると報じています。

▼記事のポイント:
・フランスのメディアでは、日本の刑事手続き*1に関して「異質で人権軽視」ととらえる報道が目立つ。
・加えて、罪状およびその認否に関して公式に説明を避け、内向きとも取られるような対応を示す東京地検特捜部にも批判が強い。
・一方、フランスでは、全地球測位システム(GPS)端末で被疑者を監視しながら在宅捜査が可能で、保釈するケースも少なくない。

*1…日本では、検察官が被疑者を逮捕し、裁判所に認められると最大20日間勾留し、再逮捕後も20日間の勾留が可能となる。

*以下、記事より赤池教授によるコメント箇所を紹介します。
------------------------------------------
龍谷大の赤池一将教授(刑事法)は「仏メディアは両国の制度の違いを理解した上で、弁護権が制限される日本の刑事手続きを批判している」と指摘。「人権は国にかかわらず普遍的であるべきだ。日本の刑事制度を振り返る機会にしなければならない」と解説した。
------------------------------------------


赤池 一将(本学法学部教授・犯罪学研究センター 教育部門長)

赤池 一将(本学法学部教授・犯罪学研究センター 教育部門長)


また、赤池教授は、フランスの日刊紙『Libération(リベラシオン)』の2018年12月1日付紙面(11月30日電子版)にて、「カルロス・ゴーンはいつまで日本で留置されるのか?(Combien de temps Carlos Ghosn peut-il rester en garde à vue au Japon ?)」というタイトルで、同様のインタビューを受けています。

【『Libération(リベラシオン)』web記事はこちら】*仏語
https://www.liberation.fr/planete/2018/11/30/combien-de-temps-carlos-ghosn-peut-il-rester-en-garde-a-vue-au-japon_1695266?fbclid=IwAR0bU4P1zfE8bSTi-E6V00Iwgwf91s8LLrgLuc4aQaSLaHUym52s3VlgUhY


*以下、記事より赤池教授によるコメント要旨を紹介します。
------------------------------------------
長期の勾留期間中、フランスとは異なり、弁護士の立会いもない検察官による取調べが継続され、家族との面会さえ制限される日本の状況は問題です。この点を隠して、フランスの論調には誤解があるとする識者の見解が、日本の制度を悪く言いたくないメディアで流布されていますが、フランスのすべてのメディアが、未決勾留(détention provisoire)という言葉ではなく、警察留置 (garde à vue)という言葉を用いたのは、日本の捜査手続きにおける弁護権の現状をよく理解してのことである。
------------------------------------------

事件が起きたとき、私たちが見聞きするマスコミの報道は、その一側面しか報じていない場合がある点を見逃してはなりません。弁護士の立会いのない取調べを長期の勾留を利用し、被疑者を外界から遮断して延々と行う日本の検察実務は国際的に批判されていますが、日本で大々的に報じられる事はほとんど無いのです。
今回のコメントは、人権に立脚した法のあり方が問われるいま、日本の刑事手続の問題点を国際水準に照らし合わせて考える上で示唆に富むものです。


龍谷大学 犯罪学研究センター(Criminology Research Center)では、今後も多様な研究活動を通じて、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」を構築し、日本国内だけでなく、広く世界に海外にアピールしていきます。