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2019.02.26

村田 和代 × 石塚 伸一 対談「国際化社会における異文化交流のあり方と、学術交流の展望について」【犯罪学研究センター】

国際化社会で求められるコミュニケーションとは?

龍谷大学と世界をつなぐプラットフォーム、グローバル教育推進センター(R-Globe : Center for the Promotion of Global Education)。2018年度に犯罪学研究センターで試験的に実施した「Ryukoku Criminology(龍谷・犯罪学)」(英語授業)を、2019年度から交換留学生対象プログラム(JEP Kyoto)および留学生別科、法学部専攻科目として合併開講することになりました。そこで、グローバル教育推進センター長である村田教授を招き、本学のグローバル教育の展望と、国際化が進む現代において求められる人物像について、犯罪学研究センター長 石塚教授と意見を交わしていただきました。


村田 和代(Kazuyo Murata)
本学政策学部教授、グローバル教育推進センター センター長

村田 和代(Kazuyo Murata) 本学政策学部教授、グローバル教育推進センター センター長


村田 和代(Kazuyo Murata)
本学政策学部教授、グローバル教育推進センター センター長

専門は社会言語学(コミュニケーション研究)。コミュニケーションや言語使用という観点から持続可能な社会形成にむけて何ができるかを考え、英語・日本語における職場談話(ユーモア)や、市民参加型の社会形成に向けたまちづくりの話し合いについて研究をおこなう。2017年にグローバル教育推進センター長に着任。龍谷大学と海外の大学との交流協定締結や海外留学、外国人留学生の受け入れを推進している。

石塚 伸一(Shinichi Ishizuka)
本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長・「治療法学」「法教育・法情報」ユニット長

犯罪学研究センターのセンター長を務めるほか、物質依存、暴力依存からの回復を望む人がゆるやかに繋がるネットワーク「“えんたく”(アディクション円卓会議)プロジェクト」のリーダーも務める。犯罪研究や支援・立ち直りに関するプロジェクトに日々奔走。専門は刑事学。


石塚 伸一(Shinichi Ishizuka)
本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長

石塚 伸一(Shinichi Ishizuka) 本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長



――国際化が進む現代における異文化交流について、どのような考えをお持ちですか。

村田:
日本の社会情勢は大きな変化を迎えつつあります。今後は外国にルーツに持つなど、さまざまなバックグラウンドの人たちと暮らしや仕事を共にしていくことになるでしょう。日本人全体が日常生活での国際化、異文化交流を求められる時代が訪れると思います。

石塚:
英語を習得することを国際化と呼ぶ時代は終わりましたね。今や交流は多元化、多様化していて、地域と地域がダイレクトに繋がる「グローカル化」が定着してきたように感じます。

村田:
そうですね。私は社会言語学が専門でコミュニケーションを研究していますが、コミュニケーションにおいて重要なのは、話す力よりもむしろ聞く力、違いを受け入れる力です。他国の人との対話では、語学力よりも相手の立場や背景を思いやれること、空間を共有する中で伝わってくる情緒や価値観、熱意を受けとめる力が求められるでしょう。

石塚:
「聞く力」と言えば、20年ほど前に「アミティ*1招へい全国実行委員会」創設メンバーのひとりを日本に招いたことがあります。ご本人は英語を話す人だったのですが、英語を話せない日本の薬物依存者の話に耳を傾けてうなずき、すぐに心を通じ合わせていました。言語以外のコミュニケーション能力が発達した人にとって、言語から届く情報はそれほど重要ではないだなと驚いた経験があります。村田先生がおっしゃる情緒や価値観への感度が、異文化交流に繋がるんですね。

村田:
まさにそうですね。相手を理解することに努めることこそコミュニケーションの本質であり、それができてこそグローカル、またグローバルな人材だと考えます。これからの時代に必要なのは「内なる国際化である」と表現できるかもしれませんね。



――これからの学術交流について、グローバル教育推進センターと犯罪学研究センターの関係を含め、現状と課題をお聞かせください。

村田:
当センターでは受け入れ留学生の増員とあわせて、留学生と日本人学生の交流機会を増やすことが課題です。その一環として交換留学生に向けたJEP Kyoto(Japanese Experience Program in Kyoto)*2の充実を進めています。このたび、犯罪学研究センターのご協力を得て、2019年度より英語による犯罪学の授業を提供できることになりました。

石塚:
この授業の企画にあたっては、英語で日本の犯罪問題について語る機会を増やすことで「Japanese Criminology」を確立していきたい思いがありました。JEPの正課に採用され、法学部でも特別講義に認定されて嬉しく思っています。今後はもっとさまざまな学生や社会人が受講できるようにしていきたいです。

村田:
犯罪学研究センターは、実践的な研究活動を通して、教育・国際化に寄与されていて感心します。

石塚:
今後の展開として計画しているのは、海外から留学してくる人材のハブとしての機能をつくり、本学の強みにしていくことです。本学では、これまでも海外の大学とは交流協定を結んできましたが、もう一歩進んで確固とした繋がりを持つには、学生レベルでの交流を作ったり、本学だからこその学修が得られたりするのが大切だと思っています。
また、たとえば香港の学生が本学へ留学に来て、英語でJapanese Criminologyを学んだとします。さらにその学生が、イギリスの大学のドクターコースに進んだとすると、その学生は英語を使った論文で「日本の犯罪学」について紹介することもあり得るでしょう。これは、Japanese Criminologyを広めるうえでも大変有益なことです。



村田:
グローバル教育推進センターは、多様な分野における人材育成、学術交流をさらに深めるために、留学をカリキュラムに組み込んでいる国際学部はもちろんのこと、国際学部「以外」の学生にとっても身近な存在を目指していきたいと思っています。地域政策やまちづくりに取り組む政策学部の教員である私がセンター長を務める意義は大きいと感じていますので、これからも新たなことにどんどんチャレンジしていきたいです。


――村田先生ご自身の学生時代を振り返りつつ、龍谷大学の学生に応援メッセージを。

村田:
学生にはぜひ、若い頃から異文化交流の楽しさを知ってほしいと思っています。私自身の20歳前後は人生における迷いの時期でした。今まさに迷っている学生もいるかもしれませんね。そんな時に、自分の常識がよそでは常識ではないこと、世界にさまざまな価値観があることに気付くことができれば、きっと新しい道が拓けます。グローバル教育推進センター長として、その一歩を踏み出すお手伝いは惜しみません。


石塚:
今の学生は3年次の後半から就職活動が始まってしまうでしょう。そのため、留学について考える時間的余裕がなかったり、長期留学のチャンスをつかめなかったりする子がいて、もったいなく思います。

村田:
本学では短期留学制度も多くあるので、ぜひ活用してほしいです。海外では人生の糧になる経験や、日本では経験できないエピソードにたくさん出会えると思いますよ。


石塚:
学生には「おもしろかった」と言える学生時代を過ごしてほしいですね。そのためには魅力的な大学でありたいなと思います。ぜひ今後も、一緒におもしろいことを企画していきましょう。

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*1 アミティ:
アメリカ・アリゾナ州を拠点とする非営利団体。薬物をはじめとするあらゆる依存症者や、罪をおかした人の社会復帰への支援活動を行っている。

*2 JEP(Japanese Experience Program in Kyoto)
京都の交換留学生のための特別プログラムとして2015年4月に開始。初級から上級まで日本語の習得レベルに応じた授業を提供。さらに、日本語または英語による多様な選択科目から、希望する科目を選択して受講できる。
http://intl.ryukoku.ac.jp/english/html/jep_program.html