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2019.07.31

大阪暁光高等学校の高校生に向けて「模擬裁判授業」を実施【犯罪学研究センター】

裁判員裁判時代に必要なリーガルマインドについて考える

2019年7月12日、龍谷大学 犯罪学研究センターは、キャンパス見学に訪れた大阪暁光高等学校の高校生約40名に向けて「模擬裁判授業」を本学深草キャンパス 紫光館 4F法廷教室で実施しました。
授業を担当した石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)は、犯罪学研究センターの「法教育・法情報ユニット」長をつとめており、同ユニットでは裁判員裁判時代の法情報・法教育の理論の構築とその実践を目的として、広く一般市民に向けた法教育の普及を目指した研究活動を展開しています。



石塚教授は授業の冒頭、犯罪をめぐる「知」の融合と体系化を目指す犯罪学研究センターの取り組みや意義について取り上げ、つづいて日本における裁判手続きについて解説しました。今回は、法教育の実践として「模擬裁判」を取り上げました。模擬裁判のシナリオは「建造物等以外放火罪(刑法110条1項)」をテーマに、石塚教授のゼミ生が作成。被告人は他人の普通乗用車に灯油をまいたうえ、ライターで点火、同自動車を損壊したという内容でした。放火罪は「法益(法によって保護される利益)」を脅かす犯罪。今回のシナリオのような放火事件の争点は、個人的・社会的・国家的に三分される法益にどう関わるかという点にあります。
石塚教授は「模擬裁判を通じて、ぜひリーガルマインド(法律を実際に適用する際に必要とされる、柔軟で的確な判断)を養う機会として欲しい」と高校生に呼びかけました。


石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)

石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)


裁判所を再現した法廷教室(本学深草キャンパス 紫光館4F)

裁判所を再現した法廷教室(本学深草キャンパス 紫光館4F)

つづいて、参加した高校生は裁判の流れについて説明を受けました。その後、それぞれ演じてみたい役に立候補し、模擬裁判がスタート。裁判官役に2名、裁判員に6名、検察官役に6名、弁護人役に6名、書記官に1名の計21名が立候補し、参加した高校の担当教員が被告人役となり、それ以外の生徒は裁判の様子を見学しました。

起訴状読み上げの場面では、検察官役の生徒は緊張からか、下を向き、小さな声でセリフを読み始めました。そこで石塚教授は、「裁判では、胸を張ってゆっくりと大きな声で読み上げることが大切だ」とアドバイス。最初はつまずきながら進めていた生徒たちでしたが、石塚教授のアドバイスを受け、だんだんはっきりと、自信を持って、冒頭陳述や証拠説明を行いました。

また証人尋問では、石塚教授自ら証人になり、模擬裁判に参加しました。検察官の主尋問では生徒たちに、「証言の重要な部分を要約しながら繰り返し確認することで、何を証明したいのかをはっきりさせること。そして、尋問や質問で得た情報は調書に載る(判決のための参考資料になる)。だからこそ、重要な部分を要約し、確認する必要がある」と指導しました。一方、弁護人役の生徒に対しては、「検察官が何度も繰り返し確認することで、証人は違うと言いにくくなる。確認したことと、証人の意見が食い違った時、弁護人は異議を申し立てなければならない」とアドバイスしました。


大阪暁光高等学校の皆さんの模擬裁判のようす

大阪暁光高等学校の皆さんの模擬裁判のようす


さいごに石塚教授は「裁判においては、検察官と弁護人の双方が対立することによって真実が発見される構造になっているため、彼らはケンカをすることに意味がある」と述べ、模擬裁判授業を終えました。それぞれの役を演じた生徒も裁判を見学していた生徒も、模擬裁判を楽しみ、法学や犯罪学に興味を持ってくれた様子でした。


犯罪学研究センター「法教育・法情報ユニット」は、2019年12月頃に「龍谷大学法教育フェスタ2019」と題した一般市民向けのイベント開催を計画しています。
(イベントは詳細が決まり次第、犯罪学研究センターHPで告知します)

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【>>関連Event】
2019/7/31開催「2019年度第2回 龍谷大学法情報研究会 公開研究会」