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2019.08.05

「第69回“社会を明るくする運動”伏見地区大会」を開催【犯罪学研究センター共催】

お互いを支え合い、誰もが安心して生きていける社会を目指して

2019年7月28日、法務省が主唱する「第69回“社会を明るくする運動”*1 〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ〜伏見地区大会」が、本学深草キャンパス 紫光館4階 法廷教室で開催されました(犯罪学研究センター共催)*2。当日は馬屋原宏氏(第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員長/伏見区長)をはじめ、国会議員、府議会議員、市議会議員、伏見区内の学校関係者、保護司、更生保護関係の実務家、大学教職員、学生等あわせて約200名が参加しました。
【イベント概要>>】https://kyoto-kouseihogo.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/SKM_C454e19070316000.pdf


馬屋原宏氏(第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員長/伏見区長)

馬屋原宏氏(第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員長/伏見区長)


横地 環氏(京都保護観察所長)

横地 環氏(京都保護観察所長)

今大会は以下の3部構成で行われました。

第1部の講演は、落語家であり天台宗僧侶でもある「露の團姫(つゆのまるこ)」氏を講師に迎え、仏教落語「一隅を照らす(作:露の團姫)」の上演と講演をしていただきました。



露の團姫氏

露の團姫氏

講演では、露の團姫氏が落語家兼僧侶になった経緯や「一隅を照らす運動」*3の紹介、天台宗開祖最澄の教え*4である「一隅を照らす」について解説されました。この一隅とは、我々一人ひとりの持ち場や役割・使命を指し、それを自覚したうえで、自分自身が輝けるように頑張って生きることが大切であるという教えがこの言葉には込められています。今大会の「社会を明るくする運動」は、従来つまずいても立ち上がれる社会を実現するために、人には「居場所」と「出番」が必要であると訴えてきました。両者には共通する理念があり、「一隅を照らす」の教えはとても示唆に富むものでした。


第2部の活動報告は、浜井浩一教授(本学法学部、矯正・保護総合センター長、犯罪学研究センター国際部門長)、および本学学生が中心となって活動をしている「深草BBS会」*5のメンバーが登壇しました。


浜井浩一教授(本学法学部、矯正・保護総合センター長、犯罪学研究センター国際部門長)

浜井浩一教授(本学法学部、矯正・保護総合センター長、犯罪学研究センター国際部門長)


浜井教授は、「因縁」という仏教の概念を引き合いに、罪を犯してしまった人を立ち直らせることに必要な姿勢として、「罪を償うことはもちろん大切だが、それに加えて、再び縁を紡いでいく、繋げていくような作業が矯正・保護の基本だという風に考えている」と主張。つづいて昨今の日本の犯罪状況や、それに対応する政策、矯正・保護の現場の実際について解説しました。「刑事司法に関わる検察官や裁判官、刑務官等は再犯者ばかりを目にしているので、罪を犯した人が立ち直っていずれ社会に戻れるのだということに実感や希望を持ちにくい」という現状を指摘。「実際に罪を犯した人が立ちなおる過程に関わりサポートしているのは保護司であり、そうした意味で社会を明るくする運動を通して、保護司の方々が中心となって、どのように人が立ちなおるのかということを多くの方に伝えていくことが重要だ」とエールを送りました。そのほか、龍谷大学で広く一般の方にも開講されている矯正・保護課程*6の紹介、龍谷大学の研究機関としての役割や活動の展望を述べ、報告を終えました。


「深草BBS会」による報告のようす

「深草BBS会」による報告のようす


深草BBS会は、龍谷大学公認サークルであり、龍谷大学の学生で構成されています。犯罪や非行のない社会を目指して、地域で活動を行うボランティアとして、小学校での学習支援や工作教室、地域パトロール、子ども食堂などの活動を展開しています。今回はそうしたボランティア活動の詳細について報告しました。


最後の第3部では、平成30年度京都府コンクールで銀賞を受賞した、京都市立深草中学校吹奏楽部による演奏が披露されました。のびやかな演奏に参加者から大きな拍手が送られ、大会は成功裏に終わりました。

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【補注】
*1「社会を明るくする運動」:

すべての国民が犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪のない地域社会を築こうとする全国的な運動で、2019年で69回目となる。
http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo06.html

*2当会の主催共催は以下の通り。
主催:第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員会
共催:京都洛南ロータリークラブ、京都鳥羽ライオンズクラブ、龍谷大学深草BBS
会、龍谷大学 矯正・保護総合センター、龍谷大学 犯罪学研究センター、伏見地区保護司会、伏見地区更生保護女性会

*3「一隅を照らす運動」:
信仰と実践によって一人ひとりが心豊かな人間になり、平和で明るい世の中を共に築いていこうという社会啓発運動。
http://ichigu.net/about/index.php

*4「山家学生式(さんげがくしょうしき)」の冒頭部分。
http://ichigu.net/person/

*5「BBS運動」:
Big Brothers and Sisters Movementの略。日本の青年ボランティア運動法務省所管の更生保護制度における民間協力者(更生保護ボランティア)の一つに位置付けられる青年ボランティア。「犯罪や非行のない明るい社会の実現」を理念に掲げ、「非行を初め社会適応に悩む多くの少年少女を対象としたメンタリング活動などを行っている。
日本BBS連盟  http://bbs-japan.org/
龍谷大学 深草BBS会 (@BBS_Ryu) | Twitter https://twitter.com/bbs_ryu

*6「龍谷大学 矯正・保護課程」:
戦前からの長い歴史と伝統を持つ浄土真宗本願寺派の宗教教誨を基盤としながら、日本で唯一の刑事政策に特化した教育プログラムとして、特別研修講座「矯正課程」(現在の「矯正・保護課程」)を1977年に開設。以来、刑務所・少年院・少年鑑別所などで働く矯正職員を目指す学生や、犯罪をおかしたり非行をおこなったりした人たちの社会復帰を手助けする保護観察官等の専門職やボランティアを養成するために実務に即した教育プログラムを提供している。
https://rcrc.ryukoku.ac.jp/educate/study.html