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2019.08.23

薬物乱用防止を身近な問題として考える契機として、高校生と共に模擬裁判を開催【犯罪学研究センター】

架空の薬物事犯をテーマにした模擬裁判を通じて、事件の意味を深く考える

2019年8月8日(木)、龍谷大学 犯罪学研究センターは深草キャンパス紫光館4階法廷教室にて、「京都府 体験型薬物乱用防止学習(模擬裁判)」を共催しました。
主催の京都府健康福祉部薬務課は、未成年による大麻事案の発生など、薬物乱用の低年齢化が懸念される中、「きょうと薬物乱用防止行動府民会議」を設置し、オール京都体制で薬物乱用の未然防止に取り組んでいます。そこで本イベントでは、若者自らが薬物乱用防止を身近な問題として考え、薬物の誘惑を断る能力を身につけることを目的とした学習として、模擬裁判を企画・実施しました。
【イベント概要>>】http://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3824.html


午前の部は、関係者に向けた講習を実施。最初に石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)が模擬裁判の概要、そして日本の裁判制度について説明しました。架空の薬物事犯をテーマにした今回の模擬裁判は、京都府内の高校生を中心にアドバイザー役に現役の弁護士・検事、証人役に現役の医師・警察官が参加しました。それぞれの自己紹介の後、至心館1Fに移動して矯正・保護総合センターの施設を見学、石塚教授が刑事裁判の流れについて説明しました。


刑事裁判に関する講習のようす

刑事裁判に関する講習のようす


石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)

石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)

石塚教授は、「龍谷大学は、矯正・保護総合センターを中心に、40年の間、刑事政策・犯罪学——とりわけ、矯正と更生保護——に関する研究と教育と社会貢献を積み重ねてきた。罪をおかした人を変える『矯正』、刑務所から社会に戻る人を助ける『保護』。これらが機能するためには『裁く』ということが適切に行わなければならない」と、矯正・保護の役割に触れ、その上で事件の意味を深く考える模擬裁判の重要性を述べました。その後、検察官、弁護士、裁判官と、それぞれの模擬裁判の役割ごとに班に分かれ、アドバイザーとともに打ち合わせが始まりました。



午後の部は、一般参加者を傍聴席に迎えて模擬裁判を開廷。今回の模擬裁判のシナリオは「覚せい剤取締法違反(使用)」事案で、山口 裕貴氏(本学 RISTEX研究開発事業・リサーチ・アシスタント)が作成。違法薬物を使用することにより検挙され、裁判になるということを高校生に身をもって体験してもらうこと。そして、模擬裁判を通して薬物乱用の実態について理解し、自分の意思で違法薬物は使用しないと決意できることを目的としています。被告人は、覚せい剤検査が陽性だったため逮捕されたが、自身は使っておらず、同居人が自分の飲み物に入れたと供述。しかし、同居人は関わりを否定しているという内容でした。模擬裁判の臨場感を出すため、シナリオは当日に配付されました。自分の役割を果たすために何をすべきかをその場で考える必要がありました。


会場:紫光館4階法廷教室

会場:紫光館4階法廷教室


模擬裁判のようす

模擬裁判のようす

裁判中には作戦会議を設ける場面がありました。検察官役の生徒たちはアドバイザーの意見を聞きながら、シナリオに書かれた質問以外の質問を自ら考え、尋問を行っていました。検察官役・弁護人役の生徒たちは自分がする質問・返答で有利にも不利にもなること、また裁判官役の生徒たちは自分が判決を決めなければいけないという緊張感から、法廷教室は実際の裁判さながらの緊迫した雰囲気が漂いました。また、証人役の医師や警察官から「このような場合は実際にどう対応するか」といったリアリティのある話もあり、高校生たちは興味深く耳を傾けていました。


検察官役の生徒

検察官役の生徒


弁護人役の生徒

弁護人役の生徒

つづいて、証人役の医師として参加した川畑俊貴氏(京都府立洛南病院 副院長)による、薬物乱用防止に係わるミニ講演が行われました。依存症が引き起こす脳障害について、正常な場合の脳内、依存症の場合の脳内を比較しながら講義が行われました。川畑氏は「薬物依存は心の病気や癖だと思われがちだが、脳のダメージによるものだ。薬物依存は大切な脳を変形させ、依存物質によってうつ病や記憶障害をも引き起こすことがある」と主張し、改めて違法薬物への注意を促しました。


川畑俊貴氏(京都府立洛南病院 副院長)

川畑俊貴氏(京都府立洛南病院 副院長)


薬物乱用防止に係わるミニ講演のようす

薬物乱用防止に係わるミニ講演のようす

さいごに、参加者が感想を発表する時間が設けられました。ある高校生は、「薬物依存について、今までは一方的に話を聞いているだけだった。しかし、今回の模擬裁判や講義を通して身をもって学んだ」と述べました。また、アドバイザー役の弁護士・検察官から「今回の模擬裁判は、緊張感のあるとても良いものだった。単なる演技ではなく、自分の頭で考えて発言していた点も評価できる」と講評を頂きました。
そして、石塚教授から「薬物の使用は、親密な関係の人から誘われると断りにくいものだ。嫌なことは嫌といえるような人間関係を作れるかどうかが重要。そして、今日の模擬裁判を通じて興味を持った方は、ぜひ本物の裁判の傍聴をしてほしい」と総評をし、イベントを終えました。


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○今回のイベントは、これまで府民会議で開催してきた「高校生と考える薬物乱用防止シンポジウム」と連動しています。本年は10月26日(土)に、京都外国語大学森田記念講堂にて、「高校生と考える薬物乱用防止シンポジウム」を開催予定です。
http://www.pref.kyoto.jp/yakurancenter/huminkaigi.html