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2020.01.31

日本犯罪社会学会 講座「犯罪学」を開催【犯罪学研究センター共催】

犯罪学・刑事政策学について学びを深める3日間の集中講座を開催

2020年1月11日(土)・12日(日)13日(月)の3日間、深草キャンパス紫光館4階法廷教室で、日本犯罪社会学会による講座「犯罪学」が行われました(犯罪学研究センター共催)。学生や一般の方など、約50名が参加しました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4201.html

犯罪学の普及を目的とした本講座は、日本犯罪社会学会 第16期企画調整委員会が開発してきた教育メソッドの集大成として、はじめて龍谷大学で開催されました。
本講座のポイントとしては、①犯罪学理論の体系化、②各テーマに精通した一線級の講師陣、③最先端の議論や知見の紹介の3つが掲げられ、3日間、計15講義に及ぶ集中講義形式で実施されました。
有料講座でありながら、10月中旬の募集開始からすぐに募集定員に達するほどの人気で、当日は社会学・法学・教育学等を専攻する大学生・大学院生はもとより、大学教員、公務員、社会福祉や臨床心理の実務家など多様な参加者が集い、学際的な学問である「犯罪学」への関心の高さがうかがえました。


日本犯罪社会学会による講座「犯罪学」のようす

日本犯罪社会学会による講座「犯罪学」のようす


「イントロダクション」(石塚伸一・龍谷大学)

「イントロダクション」(石塚伸一・龍谷大学)

1月11日(土)午前の石塚伸一教授(本学法学部、日本犯罪社会学会 会長、犯罪学研究センター長)によるイントロダクションからスタートした本講座は、基礎(2講義:犯罪対応の制度/犯罪学の研究方法)、理論(7講義:導入/社会解体論/緊張理論・アノミー理論/コントロール理論/文化・サブカル・学習理論/ラベリング理論/階級理論)、トピックス(5講義:修復的司法/少年法/犯罪・非行の歴史社会学/環境社会学/エスニシティ)から構成され、犯罪学理論の体系化を中心におきつつ、犯罪学の最先端のテーマや議論も扱われました。
※講座のシラバスは募集チラシの裏面を参照


「基礎①:犯罪対応の制度」(松原英世・愛媛大学)

「基礎①:犯罪対応の制度」(松原英世・愛媛大学)


「基礎②犯罪学の研究方法」(岡邊健・京都大学)

「基礎②犯罪学の研究方法」(岡邊健・京都大学)


「理論①:犯罪学理論への導入」(津富宏・静岡県立大学&上田光明・龍谷大学)

「理論①:犯罪学理論への導入」(津富宏・静岡県立大学&上田光明・龍谷大学)


「理論②:社会解体論」(原田豊・立正大学)

「理論②:社会解体論」(原田豊・立正大学)


「理論③:緊張理論・アノミー理論」(平野孝典・桃山学院大学)

「理論③:緊張理論・アノミー理論」(平野孝典・桃山学院大学)


「理論④:コントロール・ライフコース理論」(上田光明・龍谷大学)

「理論④:コントロール・ライフコース理論」(上田光明・龍谷大学)


「理論⑤:文化・サブカル・学習理論」(齊藤知範・科学警察研究所)

「理論⑤:文化・サブカル・学習理論」(齊藤知範・科学警察研究所)


「理論⑥:ラベリング理論」(山本功・淑徳大学)

「理論⑥:ラベリング理論」(山本功・淑徳大学)


「理論⑦:階級理論」(津富宏・静岡県立大学)

「理論⑦:階級理論」(津富宏・静岡県立大学)


「トピックス:修復的司法」(森久智江・立命館大学)

「トピックス:修復的司法」(森久智江・立命館大学)


「トピックス:少年法」(大塚英理子・愛知教育大学)

「トピックス:少年法」(大塚英理子・愛知教育大学)


「トピックス:犯罪・非行の歴史社会学的アプローチ」(作田誠一郎・佛教大学)

「トピックス:犯罪・非行の歴史社会学的アプローチ」(作田誠一郎・佛教大学)


「トピックス:環境犯罪学」(松川杏寧・人と防災未来センター)

「トピックス:環境犯罪学」(松川杏寧・人と防災未来センター)


「トピックス:エスニシティ」(金尚均・龍谷大学)

「トピックス:エスニシティ」(金尚均・龍谷大学)

「犯罪学(Criminology)」は、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。実証的な犯罪学研究は19世紀後半のヨーロッパで始まり、現在、欧米諸国の総合大学では「犯罪学部」として学問・研究分野が確立されるなど、多様な社会ニーズに応える人材を多く輩出しています。
1974年設立の日本犯罪社会学会は、20世紀初頭から社会病理現象を研究していた社会学と、第二次大戦後の刑事法学の新潮流とが合流したもので、犯罪社会学の発展・普及および研究者相互の連携・協力を目的としています。また、設立以来、研究者と実務家とが、現実の犯罪現象をめぐって自由な議論をする「場」として発展してきました。
日本の教育では「犯罪学」の学問領域が体系化される途上にあります。そこで、日本犯罪社会学会は、「研究・教育・社会貢献という学術の発展サイクル」を構築し、学術的な営みの成果である「知」を次世代へ受け継いでいくこと目標に、今回のような日本型の犯罪学カリキュラムの構築・発信に取り組んでいます。


本講座の企画に携わった津富 宏 教授(静岡県立大学)は、担当講義「理論① 犯罪学理論への導入」において、「犯罪学は、この社会がなにをどのようにして『犯罪』とするのか、しないのかを研究対象とする。自分が『犯罪』という現象をどのような立ち位置から見るかを自覚することが大切だ」と強調しました。

近年急増する海外を拠点とする特殊詐欺やサイバー犯罪、ヘイトクライムなど、犯罪現象は目まぐるしく変化しています。今回の講義を通じて学んだ「犯罪学の思考やこれまでの到達点」が、現在そして将来発生しうる社会の諸問題を考える上で貴重な術となることを実感できた、有意義な実践となりました。