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2020.02.28

第5回 龍谷大学JEP&別科実践報告会で石塚伸一教授が登壇【犯罪学研究センター】

特別講義「RYUKOKU Criminology(龍谷・犯罪学)」の成果を報告

2020年2月20日、本学深草キャンパス和顔館において「第5回 龍谷大学JEP&別科実践報告会」が開催されました。龍谷大学では、留学生受け入れのためのプログラムとして、各学部・研究科における正規留学生の他に、大学・大学院への進学支援を中心とする留学生別科と、交換留学生の受け入れを中心とするJEP(Japanese Experience Program in Kyoto)*1があります。

本報告会では、JEP・留学生別科の日本語科目担当講師、日本事情科目講師による授業実践報告が行われました。互いに培ってきた知見を共有しあうことで、JEP・留学生別科プログラムをさらなる発展させることが狙いです。

犯罪学研究センターからは、石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)が登壇し、「英語・犯罪学講座の実践(Criminology in English)」と題して、特別講義「RYUKOKU Criminology: Criminology and Criminal Justice in Japan(龍谷・犯罪学:日本の犯罪と刑事司法)」の成果報告を行いました。


石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)

石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)


この授業は、欧米諸国では「犯罪学部」として学問分野が確立されている領域を、世界で最も安心・安全とされる日本社会の中で独自に捉え直す試みです。新たなグローバル・スタンダードとしての「龍谷・犯罪学」を目指して、英語で実施されました(前期・後期、各セメスター開講)。

まず、石塚教授は「龍谷大学における犯罪学・刑事政策研究の歩み」と題して、犯罪学研究センターの設立経緯と活動について説明しました。活動の一環として、2018年度に実施したトライアル英語授業「龍谷犯罪学セミナー(Ryukoku Criminology in English)」を紹介。本セミナーは、特別講義の前身で、年齢、性別、国籍を問わず、幅広い対象者に向けて「英語・犯罪学講座」として実施しました。
主な成果として、石塚教授は、各講師の講義メソッドが確立されたこと、回を追うごとに受講生の数が増加し、外国人も参加するようになったことを挙げました。
【>>2018年度 実施詳細】龍谷犯罪学セミナー(Ryukoku Criminology in English)

石塚教授は「人は自分ができることしかやらないことが多い。そうではなく、できないこと、誰もやってないことに挑戦することが面白い。日本の大学で、英語で犯罪学の講義を行った前例はない。だからこそ、犯罪学研究センターが挑戦することに意義があると感じた」と述べ、開講理由を説明しました。


石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長

石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長

2019年度にJEPの正課科目に採用された特別講義「RYUKOKU Criminology: Criminology and Criminal Justice in Japan(龍谷・犯罪学:日本の犯罪と刑事司法)」の講師は、留学や海外での教員経験があるため、留学予定者や英語レポート作成のためのスキルや社会調査のノウハウを身につけたいと考える学生にも有益な講座構成となりました。
後期受講生(登録22名)には、フランス・ドイツ・オランダ・スペイン・オーストラリア等からの留学生のほか、2020年4月に法務省主導のもと京都で開催される「京都コングレス ユースフォーラム」参加予定の法学部2回生6名も含まれており、グローバルな視点で見た日本の刑事司法制度の特異性や、日本独自の犯罪学の知見について強い関心が寄せられました。
【>>2019年度 シラバス】「特別講義「RYUKOKU Criminology(龍谷・犯罪学)」



また、授業では講師の解説だけでなく、受講生に発言する機会をできるだけ与え、それぞれの考えや価値観を共有する時間を大切にしました。石塚教授は、「死刑」をテーマに扱った授業の様子を紹介し、「死刑制度が母国にない留学生からは、死刑制度そのものが信じられないという意見があった。その意見を皮切りに留学生、日本人学生が『なぜ日本には死刑制度があるのか?』を共に再考する良い機会となった」と振り返りました。
そのうえで、「賛成、反対と、どちらか一つの考え方に留まるのではなく、多様な考え方に触れることで自身の思考は成長する。国籍に関係なく、そのような空間の構築が大切であるし、国際交流という点では充実した成果を挙げられた」と述べ、報告を終えました。

報告会の結びとして、小松知子教授(本学経営学部)は、「同じ職場で異分野の方々と交流するのは、貴重な機会であるので今後も継続して開催していきたい。また石塚先生の英語授業の報告では、自分で限界を決めずにできないことに挑戦する大切さを学んだ。本学のスローガンである“You, Unlimited”の原点に立ち返ることができた」と述べました。

報告会終了後には、石塚教授とJEP・別科授業担当講師との交流が行われました。
学内授業だけでなく、学外の活動やイベントを通じて、留学生と犯罪学研究センターが交流するアイデアが挙がりました。具体的には、刑務所参観やセンターでのインターンシップの実施が提案され、今後の当センターの活動に新たな進展を予感させました。

本報告会は、犯罪学研究センターの活動を学内に広くアピールするだけでなく、幅広いネットワークの構築という意味でも有意義な機会となりました。

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【補注】
*1 JEP(Japanese Experience Program in Kyoto)
京都の交換留学生のための特別プログラムとして2015年4月に開始。初級から上級まで日本語の習得レベルに応じた授業を提供。さらに、日本語または英語による多様な選択科目から、希望する科目を選択して受講できる。
http://intl.ryukoku.ac.jp/english/html/jep_program.html


【>>関連記事】村田 和代 × 石塚 伸一 対談「国際化社会における異文化交流のあり方と、学術交流の展望について」