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2022.05.13

第28回法科学研究会【犯罪学研究センター】

土砂鑑定でどこまでわかるか~狭山事件を例に

開催日時 2022年05月27日 18:00 ~ 2022年05月27日 19:30
開催場所 オンライン(Zoom)
お問い合わせ 龍谷大学 犯罪学研究センター [E-mail] crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp [Tel] 075-645-2184

龍谷大学 犯罪学研究センター科学鑑定ユニットは、2022年5月27日(金)18:00~オンライン公開研究会を開催します。

研究会は「事前申し込み制」でオンライン開催します。ぜひふるってご参加ください。
【>>お申込みフォーム】
※お申し込み期限:5月26日(木)16:00


第28回法科学研究会
「土砂鑑定でどこまでわかるか~狭山事件を例に」


〔日時〕2022年5月27日(金)18:00-19:30(予定)
〔形式〕オンライン(Zoom)
〔参加費〕無料  〔定員〕100名(申込先着順)

〔講師〕
平岡義博(立命館大学衣笠総合研究機構 上席研究員/龍谷大学犯罪学研究センター 嘱託研究員)

〔テーマ〕
土砂鑑定でどこまでわかるか~狭山事件を例に

〔趣旨〕
  狭山事件は昭和38年に埼玉県狭山市で発生した女子高校生に対する強盗強姦殺人事件で、被害者は農道に埋められた状態で発見されました。被告人の石川さんは最高裁で無期懲役が確定しましたが、無実を主張し現在、第3次再審請求中です。
 この事件は、科学捜査のさきがけともいうべき捜査が行われ、今回お話する土砂の鑑定が初めてこの事件で実施されました。ただし、当時は土砂の鑑定法が確立されておらず、鑑定資料もスコップに付着した土砂と現場付近の土砂だけで異同識別が行われました。
鑑定の結果は、「スコップの土砂は現場付近の土砂に類似する(または、類似性が高い)」というもので、訴追側はこの結果から「スコップは死体が発見された穴を掘ったもの」と解釈しました。
 この鑑定はいくつかの初歩的な問題を含んでいました。比較対照とされた現場の土砂は、死体が埋設された穴の付近で試掘した穴の土砂だったのです。常識的には死体埋設孔の土砂を採取し鑑定するのですが、なぜそうしなかったのか?
 土の鑑定は、刑事ドラマでもしばしば出てきます。「現場に残された土を鑑定したところ、鞍馬山の土だった」とか……。実際にそんなこと、わかるのでしょうか?
土は非常に雑多な物質の混合物で、その検査には色々なアプローチ法があります。粒径分析、鉱物、粘土、化学組成、有機物、植物、微生物……。私は京都周辺の土砂約2,000点を採取し、全体の土砂や鉱物の化学組成を分析し、データベースを構築し、統計解析で分類して土の分布図を作成する研究を行いました。土の特徴がわかるまでに約25年かかりました。それでも、ピンポイントで場所を特定することはできません。「同種のグループの土がどの地域にどの程度の範囲で分布する」ということまではわかります。また、花崗岩の風化物であれば、小さな黒雲母を分析すればどのタイプの花崗岩かわかります。
本研究会では、このような経験から、狭山事件の土砂鑑定を検証します。

【著書】
平岡義博「道路堆積物による都市環境の評価」地学団体研究会(2005年)65頁。
平岡義博「土の分析法」愛智出版(2011年)354頁。
平岡義博「法律家のための科学捜査ガイド」法律文化社、(2014年)159頁。
平岡義博 編「日本の法科学が科学であるために」現代人文社(2021年)317頁。

【ご参加にあたって】
・Zoomの会議情報は、お申し込みフォームに入力いただいたメールアドレスに、開催時刻までに連絡します。拡散はお控えください。
・会の進行上、ホストにより発表者以外をミュートとさせていただく場合や、進行の妨げとなる方に退出いただく場合があります。ご了承ください。

主催:龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)