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2022.03.10

アディクションによる社会的孤立からの回復支援を検討するシンポジウムを開催 「公」と「私」の壁を越えた近未来の回復支援を考える JST/RISTEXの社会技術研究開発事業 ATA-netの6年間の研究成果にかかるシンポジウム<3/15(火)13:00-17:00、Webより要事前登録>

【本件のポイント】

  • アディクション(嗜癖・嗜虐行動)には薬物やアルコール・インターネットへの依存、DVや虐待、性暴力、ギャンブル、万引き、摂食障害といった行動など多様な形態が存在
  • アディクションの背景にある「社会的孤立」に焦点を当て、対応するための公私領域の回復支援モデルの研究と実践活動を報告
  • 課題共有にあたっては、ATA-net1)の研究で培ってきた討議スキーム“えんたく” 2)を活用し、近未来の回復支援について参加者全員で課題を共有し、多様な観点から考察


【本件の概要】
 龍谷大学 ATA-net研究センターは、JST/RISTEX の社会技術研究開発事業ATA-netと共に6年間の研究成果にかかるシンポジウムを開催いたします。ATA-netの2016年9月発足以後、薬物やアルコールへの依存、DVや虐待、性暴力、ギャンブル、万引き、摂食障害、インターネット依存などの多様なアディクション(嗜癖(しへき)・嗜虐(しぎゃく)行動)からの回復のために活動してきました。さまざまなアディクションの背景には「孤立」があります。社会的孤立に対応するには「公」と「私」の壁を越えた回復支援モデルが必要です。
 そこで、多様化するアディクションを再定義し、「課題共有型“えんたく”」というスキームによって、当事者と支援と協働者の新たな関係性を創り出し、新たな公共空間としての「ゆるやかなネットワーク」の構築をめざしました。
 このシンポジウムでは、“えんたく”スキームを活用し、6年間の総括と展望を示したいと思います。テーマは、「回復支援のこれまでと現在、そして未来へ」です。

1.名称:ATA-net研究センター・RISTEX事業最終シンポジウム
〜回復支援のこれまでと現在、そして未来へ〜
日程:2022年3月15日(火) 13:00 - 17:00(終了予定)
会場:オンライン(配信元:龍谷大学 深草キャンパス)
参加費:無料 下記URLより事前登録制 
主催:龍谷大学 ATA-net研究センター | JST/RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」領域 「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」ATA-net
共催:龍谷大学 犯罪学研究センター  企画・運営:一般社団法人刑事司法未来
補足:申込制 ※詳細は下記HPにて
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-9978.html 

2.プログラム ※一部変更となる場合があります
【セッション1_成果報告】
13:00-13:05 開会あいさつと趣旨説明/石塚 伸一(龍谷大学法学部教授・ATA-net研究センター長)
13:05-13:20 事業報告書 総括/山口 裕貴(ATA-net研究センター 嘱託研究員)
13:20-13:50 理論構築サークル 総括(一部事前収録映像による報告)
  - 治療的司法/指宿 信氏(成城大学法学部 教授)
  - デジスタンス/中村 正氏(立命館大学 応用人間科学研究科 / 産業社会学部 教授)
  - ハーム・リダクション/石塚 伸一(龍谷大学法学部教授・ATA-net研究センター長)
13:50-14:15 研究ユニット 総括(一部事前収録映像による報告)
  - 暴力行動/中村 正氏(立命館大学 応用人間科学研究科 / 産業社会学部 教授)
  - 性問題行動:藤岡 淳子氏(大阪大学大学院名誉教授)
  - 万引き・摂食行動/後藤 弘子氏(千葉大学 法政経学部 教授)
  - ギャンブリング/西村 直之氏(精神科医)
  - 物質依存・嗜癖/丸山 泰弘氏(立正大学 法学部 教授)
<小休憩(10分程度)>

【セッション2_課題共有型円卓会議“えんたく”】
14:25-14:50 問題提起「”えんたく”構想」/石塚 伸一(龍谷大学法学部教授・ATA-net研究センター長)
14:50-15:40 1st Session/司会およびセンターテーブルメンバー
 司会:森久 智江氏(立命館大学 法学部 教授)
 センターテーブル・メンバー:
  - 中村 正氏(立命館大学 応用人間科学研究科 / 産業社会学部 教授)
  - 土山 希美枝氏(法政大学 法学部 教授)
  - 加藤 武士氏(木津川ダルク代表・ATA-net研究センター嘱託研究員)
  - 丸山 泰弘氏(立正大学 法学部 教授)
15:40-16:10 わかちあい/司会および全参加者
16:10-16:40 2nd Session/司会およびセンターテーブルメンバー
16:40-16:50 来賓等コメント
16:50-17:00 総括/石塚 伸一(龍谷大学法学部教授・ATA-net研究センター長)

3.用語解説
1)ATA-net 
ATA-net(Addiction Trans-Advocacy network)は、文部科学省科学研究費助成事業・新学術領域研究「法と人間科学」(2011〜15年度)に参加したメンバーが、「法と精神医療に関する国際会議(IALMH)」ウイーン大会(2015年)においてセッションを企画したことが契機となり、龍谷大学を拠点として発足した研究チームです。このチームの研究プロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター(以下「JST/RISTEX」という)の「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」の研究開発事業に採択され、「多様化するアディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの回復を支援するネットワークの構築」(2016年10月〜2019年9月)をめざす研究開発事業を展開してきました。同事業は、2019年12月より「研究開発成果の定着に向けた支援制度」の適用を受け、研究開発期間が 2022年3月まで延長となりました。
2019年6月に発足した、龍谷大学ATA-net研究センターは、「多様化するアディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの“立ち直り”の支援」を研究テーマに掲げた研究組織です。ATA-netの協働事業者として、課題共有型”えんたく”構想の開発・普及に協力しています。龍谷大学の培ってきた刑事政策・犯罪学・アディクションに関する研究・教育・社会実践の成果を踏まえ、わたしたちが人生においてかならず直面する多様な“つまずき”(=多様な嗜癖・嗜虐行動や非行問題等)からの “立ち直り”(=主体性の回復)を支援するための回復支援スキームの開発とその社会実装をめざして活動しています。 https://ata-net.jp/ 

2)課題共有型円卓会議 “えんたく”
アディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの回復には、当事者の主体性を尊重し、その当事者の回復を支えうるさまざまな状況にある人々が集まり、課題を共有し、解決に繋げるための、ゆるやかなネットワークを構築していく話し合いの場が必要です。ATA-netは、この「課題共有型(課題解決指向型)円卓会議」を“えんたく”と名づけ、さまざまなアディクションからの回復支援に役立てることをめざしています。
地域円卓会議と呼ばれる討議スキームは、その目的によって、問題解決型と課題共有型に分かれます。また、参加主体によって、当事者(Addicts)中心のAタイプ、当事者と関係者が参加するBタイプ(Bonds)、そして、協働者も加わったCタイプ(Collaborators)の3つに区分され、今回は矯正・保護関係者、行政関係者、地域における支援者を交えて、課題共有型・Cタイプ(Collaborators)の“えんたく”を行います。

問い合わせ先:

研究部(人間・科学・宗教総合研究センター)ATA-net研究センター事務局
Tel 075-645-2154  Fax 075-645-2240   Web https://ata-net.jp/