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2022.06.29

3度の再審開始決定と棄却という異例の経緯の大崎事件 何のために裁判所は存在し、再審制度があるのか 大崎事件再審弁護団事務局長 鴨志田祐美弁護士による公開研究会 第2回研究会は「再審弁護」をテーマに開催 < 7/11(月)18:30-20:00オンライン開催、Webから要事前登録>

【本件のポイント】

  • 大崎事件再審弁護団事務局長、日本弁護士連合会「再審法改正に関する特別部会」部会長である鴨志田祐美弁護士の弁護実践をまなぶ連続セミナー
  • 鴨志田弁護士が弁護団事務局長として関わる大崎事件1)について、鹿児島地裁は2022年6月22日(水)に第4次再審請求を棄却決定したが、弁護団は即時抗告をした
  • 全5回の公開研究会・シリーズは犯罪学研究センターが共催2)。鴨志田弁護士の弁護実践を通して、刑事弁護、刑事司法とは何かを広く一般に問いかける


【本件の概要】
 法廷で華々しく無罪を争う刑事弁護の「本流」から遠く離れた辺境で、しなやかで型にはまらず、当たって砕ける試行錯誤を繰り返してきた鴨志田弁護士の弁護実践を通して、刑事弁護、刑事司法とは何かを問いかける全5回のシリーズ。第2回目は、“針の穴にラクダを通す”ほど困難であるとされる「再審弁護」をテーマに開催します。「再審」とは、無実の人が有罪判決を受けてしまうこと、そして、これによって生じる人権侵害から救済する非常救済手続として制度的に位置づけられているものの、日本の裁判所で再審請求が認められる事件は極めて少数です。
 鴨志田弁護士が弁護団事務局長として関わる大崎事件は、1979年10月、鹿児島県曽於郡大崎町で男性の変死体が見つかった事件です。1981年に殺人事件として有罪が確定したものの、死因は絞殺ではなく事故である可能性があることから「殺人罪は冤罪である」として、今なお再審請求が続けられています。第4次再審請求は棄却されましたが、弁護団は即時抗告をしました。この結果について、日本弁護士連合会をはじめとした各弁護士会だけではなく、元判事10人の抗議声明が公表されるなど、衝撃が広がっています。今回の研究会では、鴨志田弁護士から直に再審弁護についてまなべる貴重なセミナーです。

1.実施概要
- 名称:鴨志田祐美の弁護士放浪記
- 日程:2022年6月13日(月)から不定期開催(全5回・月1回開催予定)
- 会場:オンライン(Zoom) - 参加費:無料 下記URLから事前登録制
- 主催:一般社団法人刑事司法未来   共催:龍谷大学 犯罪学研究センター
- 司会進行:石塚伸一 教授(本学法学部・一般社団法人刑事司法未来 代表)
【第2回 公開研究会】
- 日時:2022年7月11日(月)18:30-20:00
- 講師:鴨志田祐美 氏(京都弁護士会)
- テーマ:第2回 再審弁護とは ~「針の穴にラクダ」を通すための手練手管~
- 内容:①趣旨説明(10分)②講師による報告(50分) ③質疑応答(30分)

(次回以降の予定)※時期や内容は変更することがあります。予めご了承ください。
- 2022年8月   第3回 「非法律的スキル」 ~弁護団のマネージメント、マスコミ戦略~
- 2022年9月   第4回 持続可能な予後のために ~少年事件の「付添人」~
- 2022年10月 第5回 法改正へのチャレンジ ~弁護活動から立法提言へ~

2.講師プロフィール
鴨志田祐美(かもしだ・ゆみ) 氏
1962年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業後、会社員、主婦(母親)、予備校講師を経て、2002年、40歳で司法試験合格。2004年鹿児島県弁護士会に登録。
「町医者」的弁護士として働く傍ら、再審弁護、子どもの虐待やDV問題、少年事件、犯罪被害者と加害者との関係修復のための活動などに取り組む。
鹿児島県弁護士会子どもの権利委員会委員長、鹿児島県弁護士会副会長、鹿児島地方・簡易裁判所民事調停委員、鹿児島家庭裁判所家事調停委員などを歴任。2021年4月から京都弁護士会に移籍。
現在は、大崎事件再審弁護団事務局長、日本弁護士連合会「再審法改正に関する特別部会」部会長。

3.詳細・申込方法
以下URLより詳細を確認のうえ、ページ内のフォームに必要事項を入力しお申込みください。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-10719.html
(第2回研究会 申込期限:7/11(月)17:00)

4.用語解説
1)大崎事件
1979年10月15日、鹿児島県大崎町で被害者の遺体が自宅横の牛小屋で発見されました。この事件で被害者を殺害したとして被害者の実の兄弟や、義姉である原口アヤ子さんが逮捕されました。原口さんは一貫して否認しましたが「共犯者」の供述によって有罪となり、懲役10年が確定しました。本件「大崎事件」はその後、第1、2次の再審請求を経て、第3次再審請求審において2017年6月に鹿児島地裁で再審開始決定が出され、2018年3月に福岡高裁宮崎支部が地裁決定を支持しました。しかし、2019年6月に最高裁が地裁、高裁決定を取り消し、請求は棄却されました。2020年3月に第4次請求を申し立て、2022年1月に審理を終えました。そして2022年6月22日、鹿児島地裁は第4次再審請求について請求を棄却しました。原口さんは現在95歳、鹿児島県内の病院に入院中です。

2)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。同センターは、2016年6月に発足し、同年11月に文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。これまで建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする龍谷大学ならではの犯罪学の創生に向けた研究と社会実装活動を展開してきました。

問い合わせ先:龍谷大学 犯罪学研究センター
 Tel 075-645-2184 Fax 075-645-2240
 E-mail crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp    URL  https://crimrc.ryukoku.ac.jp/