2022.07.12
2022年度 アカデミック・スカラシップ奨学生(在学採用型)授与式(3・4年生)を実施【文学部】

本学では、学部2~4年次生の学業成績・人物が特に優秀な学生を対象に「アカデミック・スカラシップ奨学生(在学採用型)」の制度を設けています。
2022年度に採用された3・4年次生を対象とする表彰状授与式が、大宮学舎本館にて2022年6月24日(金)に実施されました。
大宮学舎では文学部長の玉木興慈先生から、賞状の授与と祝辞がありました。

文学部長 玉木 興慈 先生
賞状授与後の玉木興慈学部長祝辞
『アカデミック・スカラシップ奨学生に採用され、奨学金を授与されることになったみなさん、おめでとうございます。
みなさんが本奨学生に採用されたのは、学業成績はもちろん、人物としても特に優秀であると認められたからです。これまで努力を怠らずに学びを深めてきたからこその賜物です。今後の更なる活躍に期待しています。そして、これからも多くの仲間たちによい刺激を与え続けてください。
さて、今日、みなさんといっしょに、ぜひ考えてみたいことがあります。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、従来とは異なる環境で生き、そして学ばざるを得ない状況が続いています。さまざまな制限が徐々に解除または緩和されつつあるものの、緊張感をもった対応が求められる状態はこれからも続きそうです。
こうした危機的な状況にあって、ワクチンを開発することも医療行為を行なうこともできない私たちに、そして私たちが学ぶ人文学にできることはあるのでしょうか。あるとすれば、それはいったいどのようなことでしょうか。
そもそも、大学で学ぶとはどういうことでしょうか。
それは、学問をするということです。学びながら問うということです。また、問いを学ぶということです。問いとは、これまでに立てられた問いでもあり、皆さん自身の問いでもあります。
しかし、問いを持つことはなかなか容易なことではありません。逆に、問いを持つことができれば、そこから学びは飛躍的に進展するということができます。問い、調べ、考え、まとめ、表現する。これらすべての作業がすべて、大学での学びであるということができます。
では、龍谷大学文学部での学びの特徴はどこにあるでしょうか。
皆さんが個々の学科専攻の分野で、これまでの、また自身の問いを学ぶといいましたが、最終的には問うている自分自身を問うということでしょう。自分自身が問われてくるというような学び、それが龍谷大学での学びの特徴といえるでしょう。
自分自身はどのような人間なのか?
人間とはどのような存在か?
生きるとはどういうか?
歴史と今?
私と社会?
さまざまな学びを通して、最終的には自分自身が問われてくるような学びが、龍谷大学の学び、龍谷大学文学部の学びの特徴といえるでしょう。
これは、龍谷大学元学長の信楽峻麿先生が、学長時代におっしゃった言葉を、私なりに解釈したものです。詳細は『龍谷の日々』(法蔵館、1995年)を参照してください。
このことを龍谷大学の建学の精神から考えてみましょう。文学部のみなさんは、1回生の月曜日2講時目に「仏教の思想A・B」という科目を学修されました。その中に、「内省」という語があったことを覚えているでしょうか。おのれの内を省みるということです。平たい言葉では、「自己を見つめる」「自己を省みる」ということです。親鸞聖人は、「みづからおのれが能を思量せよ」「おのれが分を思量せよ」と記されています。
内省の省の字は、「少」と「目」に分解できます。これは目を細めるという動きを表すと解したいところです。目を細める時は、いつでしょうか。遠くにあって見えにくい物を見ようとする時に、目を細めると、少し見やすくなる時があります。つまり内省とは、自分自身の心の内を、目を細めて見ようとすることだといえます。また、自身の心の内は、見えにくいものであるということです。見たくないことであるともいえるでしょうか。
自身の欠点や弱点は見たくないものです。また人にも知られたくないものです。
けれども、しっかりと目を凝らして見るようにしてください。これは、厳しく辛い作業だと思います。でも、この作業を経ることによって、本当の力が備わると思います。より高次な飛躍が可能になると思います。
厳しい作業は、一気に進めることはできません。自分だけで進めることも難しいと思います。日々の生活の中で、地道に継続する、ここに大きな可能性が開かれると思います。龍谷大学文学部は最大限の応援をしたいと思います。
奨学生のみなさんがさらに学びを広め深め、その成果を実感できるよう研鑽を重ねつつ、光輝ある学生生活を送られることを念じます。』

奨学生には給付対象者となったことを励みに、より一層飛躍することを期待しています。