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2022.08.03

25年にわたって再審請求を続ける異例の経緯の大崎事件 再審弁護に必要な人的・経済的な支援をいかに集めてきたのか 大崎事件再審弁護団事務局長 鴨志田祐美弁護士による公開研究会 第3回研究会は「非法律的スキル」をテーマに開催 < 8/22(月)18:30-20:00オンライン開催、Webから要事前登録>

【本件のポイント】

  • 大崎事件再審弁護団事務局長、日本弁護士連合会「再審法改正に関する特別部会」部会長である鴨志田祐美弁護士の弁護実践をまなぶ連続セミナーで、犯罪学研究センターが共催1)
  • 鴨志田弁護士が弁護団事務局長として関わる大崎事件2)について、鹿児島地裁は2022年6月22日(水)に第4次再審請求を棄却決定したが、弁護団は即時抗告をした
  • 長期にわたる再審弁護には人的・経済的な支援が必要で、弁護団はYouTubeチャンネルを作成して市民の関心を集めるとともに、クラウドファンディングも展開


【本件の概要】
 法廷で華々しく無罪を争う刑事弁護の「本流」から遠く離れた辺境で、しなやかで型にはまらず、当たって砕ける試行錯誤を繰り返してきた鴨志田弁護士の弁護実践を通して、刑事弁護、刑事司法とは何かを問いかける全5回のシリーズ。第3回目は、「非法律的スキル ~弁護団のマネージメント、マスコミ戦略~」をテーマに開催します。
 鴨志田弁護士が弁護団事務局長として関わる大崎事件では、1995年4月に第1次再審請求を行ってから2010年、2015年、2020年と4回、25年にわたって再審請求を続けています。長期にわたる再審請求のための弁護活動には、人的、経済的な支援が不可欠です。前回の第2回研究会では、裁判所の決定や新証拠など法律的な観点から、大崎事件における再審弁護を詳しく解説しました。今回の第3回目では、それ以外の弁護団マネージメントやマスコミ戦略など「非法律的スキル」について紹介します。
 自身が手がける事件について、メディアからの取材にどのように対応するかは、非常に重要かつセンシティブな問題でありながら、多くの弁護士があまり重点を置いていません。しかし、何を伝え、何を伝えるべきでないかを吟味し、さらには、世論を味方につけて裁判を勝ち抜くために「マスコミ戦略」は非常に重要です。鴨志田弁護士は「鹿児島の農村で起きた一事件」としてほとんど知名度のなかった大崎事件を、メディアに的確に伝えてもらうことで「著名再審事件」としての認知度を高めてきました。再審事件は、どれほど冤罪性が顕著でも、マスコミや世論に注目されなければ裁判所が本気にならない、という現実を痛感されたことがその理由です。
 大崎事件では第4次再審請求にあたり、YouTubeチャンネルを作成して一般市民の関心を集めるとともに、映画監督の周防正行氏が呼びかけ人となってクラウドファウンディングを行い、再審弁護にかかる費用も集めています。

YouTubeチャンネル:大崎事件第4次再審請求https://www.youtube.com/channel/UCcteYCss0YkZX-aTduLHD8w
今回は、鴨志田弁護士から直に「非法律的スキル」についてまなべる貴重なセミナーです。

 

1.実施概要
- 名    称:鴨志田祐美の弁護士放浪記(講師:鴨志田祐美 氏(京都弁護士会))
- テーマ:第3回 公開研究会「非法律的スキル ~弁護団のマネージメント、マスコミ戦略~」
- 内     容:① 趣旨説明(10分)② 講師による報告(50分) ③ 質疑応答(30分)
- 日     程:2022年8月22日(月)18:30-20:00
※2022年6月13日(月)から不定期開催(全5回・月1回開催予定)
- 会    場:オンライン(Zoom) - 参加費:無料 下記URLから事前登録制
- 主    催:一般社団法人刑事司法未来   共催:龍谷大学 犯罪学研究センター
- 司会進行:石塚伸一 教授(本学法学部・一般社団法人刑事司法未来 代表)

(次回以降の予定)※時期や内容は変更することがあります。予めご了承ください。
- 2022年9月   第4回 持続可能な予後のために ~少年事件の「付添人」~
- 2022年10月 第5回 法改正へのチャレンジ ~弁護活動から立法提言へ~

2.講師プロフィール
鴨志田祐美(かもしだ・ゆみ) 氏
1962年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業後、会社員、主婦(母親)、予備校講師を経て、2002年、40歳で司法試験合格。2004年鹿児島県弁護士会に登録。
「町医者」的弁護士として働く傍ら、再審弁護、子どもの虐待やDV問題、少年事件、犯罪被害者と加害者との関係修復のための活動などに取り組む。
鹿児島県弁護士会子どもの権利委員会委員長、鹿児島県弁護士会副会長、鹿児島地方・簡易裁判所民事調停委員、鹿児島家庭裁判所家事調停委員などを歴任。2021年4月から京都弁護士会に移籍。
現在は、大崎事件再審弁護団事務局長、日本弁護士連合会「再審法改正に関する特別部会」部会長。

3.詳細・申込方法
以下URLにて詳細を確認のうえ、ページ内のフォームに必要事項を入力しお申込みください。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-10860.html 
(第3回研究会 申込期限:8/22(月)17:00)

4.用語解説
1)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。同センターは、2016年6月に発足し、同年11月に文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。これまで建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする龍谷大学ならではの犯罪学の創生に向けた研究と社会実装活動を展開してきました。

2)大崎事件
1979年10月15日、鹿児島県大崎町で被害者の遺体が自宅横の牛小屋で発見されました。この事件で被害者を殺害したとして被害者の実の兄弟や、義姉である原口アヤ子さんが逮捕されました。原口さんは一貫して否認しましたが「共犯者」の供述によって有罪となり、懲役10年が確定しました。本件「大崎事件」はその後、第1、2次の再審請求を経て、第3次再審請求審において2017年6月に鹿児島地裁で再審開始決定が出され、2018年3月に福岡高裁宮崎支部が地裁決定を支持しました。しかし、2019年6月に最高裁が地裁、高裁決定を取り消し、請求は棄却されました。2020年3月に第4次請求を申し立て、2022年1月に審理を終えました。そして2022年6月22日、鹿児島地裁は第4次再審請求について請求を棄却しましたが、弁護団は即時抗告を行いました。原口さんは現在95歳、鹿児島県内の病院に入院中です。

問い合わせ先:
龍谷大学 犯罪学研究センター  Tel 075-645-2184 Fax 075-645-2240
E-mail crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp    URL  https://crimrc.ryukoku.ac.jp/