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2022.09.21

第34回CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会を開催【犯罪学研究センター】

Desistance from crime across Japan and England: how does context change the process

龍谷大学犯罪学研究センターは、2022年9月1日に第34回CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会「Desistance from crime across Japan and England: how does context change the process」(犯罪からの離脱を巡る日英比較研究:立ち直り過程における社会的背景の影響について)をハイブリッド形式で開催し、12名が参加しました(対面:6人・オンライン:6人)。
はじめに、津島 昌弘教授(本学社会学部・犯罪学研究センター長)が報告者のアダム・ハウント氏(シェフィールド大学 大学院 博士課程(犯罪学)/龍谷大学犯罪学研究センター 嘱託研究員)を紹介しました。つづいて、アダム・ハウント氏が報告を行った上、質疑応答とフリーディスカッションが行われました。


津島 昌弘教授(龍谷大学 犯罪学研究センター長)

津島 昌弘教授(龍谷大学 犯罪学研究センター長)


アダム・ハウント氏 (シェフィールド大学 博士課程(犯罪学)/龍谷大学 犯罪学研究センター嘱託研究員)

アダム・ハウント氏 (シェフィールド大学 大学院 博士課程(犯罪学)/龍谷大学 犯罪学研究センター嘱託研究員)

〔報告者〕
アダム・ハウント氏(シェフィールド大学(院)・博士課程(犯罪学)/龍谷大学犯罪学研究センター・嘱託研究員)

〔タイトル〕
「Desistance from crime across Japan and England: how does context change the process」(犯罪からの離脱を巡る日英比較研究:立ち直り過程における社会的背景の影響について)


ハウント氏は、博士論文執筆のために日本で行う研究計画と目標、そして方法論について報告しました。
ハウント氏は、はじめに「犯罪からの離脱(Desistance)」に関する先行研究を紹介しながら、「社会構造のどの要素が犯罪からの離脱を可能にしているのか。また、どの要素が犯罪から離脱する過程を困難にしているのか」を、順を追って説明しました。


報告の様子

報告の様子

つづいて、ハウント氏は、研究計画の中心にすえる「文化的な要因」をとりあげました。社会におけるさまざまな要因、そして文化という概念は、それ自体が解釈に幅があるため、ハウント氏は、方法論を厳密に設定することが重要であると指摘しました。代表的な例として、「社会的構造の在り方」、「社会的関係の在り方」、「社会的イデオロギーの在り方」という3つの視点、及びそれに関わる文化の影響力を挙げました。

次に、ハウント氏は、比較研究をすすめる上での問題点を論じました。欧米の先行研究からなにを自分の研究に採り入れるのか、母国であるイギリスをはじめとして、海外における自分の研究の意義について私見を述べながら、研究をこれからすすめるにあたって注意すべき点を説明しました。

ハウント氏の日本におけるフィールドワークでは、研究者、保護観察官などの実務家、そして現に立ち直りの途上である者を対象としたインタビューを予定しています。ハウント氏は「研究者を対象としたインタビューは、研究を発展させるにあたり必要不可欠である文献的基盤の構築や日本文化に対する理解を高めることを目的とする。保護観察官など実務家へのインタビューは、日本における保護観察所の機能、そして更生・保護の現場をよりよく理解するため必要だ。そして、当事者へのインタビューを通じて、日本における「犯罪からの離脱」の特徴を探り、その過程を効果的に作用させる要因や逆に困難にする要因を具体的に分析し、検討したい。」と意図を説明しました。

さいごに、ハウント氏が日本語を勉強しながら研究計画を実行するにあたり、コミュニケーションの壁の問題をとりあげ、日本文化に対する知識や理解力を高めるための課題を共有し、報告を終えました。


フリーディスカッションの様子(石塚 伸一教授(本学法学部)、アダム・ハウント氏)

フリーディスカッションの様子(石塚 伸一教授(本学法学部)、アダム・ハウント氏)


フリーディスカッションの様子(上田 光明教授 (日本大学 国際関係学部・龍谷大学 犯罪学研究センター嘱託研究員))

フリーディスカッションの様子(上田 光明教授 (日本大学 国際関係学部・龍谷大学 犯罪学研究センター嘱託研究員))

ハウント氏の報告に引き続きいて行われた質疑応答では、ハウント氏への研究サポートのあり方などを中心に、フリーディスカッションが行われました。その際、保護観察所などで活動をしている実務家らの協力を通じて、現在立ち直りの過程を経験している当事者との関係を築く必要性について議論が展開しました。さらに、インタビューの準備や実施におけるサポートの必要性についても、参加者による意見やアドバイスがありました。

(お願い)
ハウント氏は、日本文化について理解を深めるために、多くの方と交流する機会を積極的に求めています。アダム・ハウント氏が現在取り組んでいる研究にご興味のある方、ご協力いただける方は、ぜひハウント氏までご連絡ください。
〔Adam Hunt - University of Sheffield ; メールアドレス:ajhunt2@sheffield.ac.uk〕