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2022.11.24

龍谷経営人(びと)、経営学部 4年生 城戸 啓輔(きど けいすけ)さん

 今回の城戸さん、経営学部教務課において演習所属の相談をしたことがきっかけで知ることとなり、その後も色々な相談に来られるうちにふと、ミュージカルサークル(龍谷大学一般同好会Broadway Musical Circle以下、B.W.)で頑張っている、との話を伺いました。その話を聞くうちに一度城戸さんの出演しているミュージカルを見てみたいという思いになり、2019年2月「オクラホマ!」を観させてもらいました。とても感動したのを覚えています。続く、2022年2月「RENT」では城戸さんが主演との事で再び劇場に伺わせてもらい、「全編英語のみ」、「完成度の高さ」という高いハードル掲げているB.W.に対する関心も強くなり今回の取材を申し込ませてもらいました。


入学当初は順調ではなかった
 城戸さん、実は龍大のことをあまり知らずにお父さんのすすめもあり入学されました。入学時のサークル新歓活動にも参加せず、一人暮らしをはじめたものの生活が不規則になってしまい朝が不得意になるなどして、1年生前期でほどなくして大学を休学することに。
 
気持ちを入れ替えての復学、そしてB.W.との出会い
 両親や地元の友達に諭され、二年間の休学から心機一転復学することになります。以前は自主的に動けていなかったことを反省し、サークル等の新歓に出向くことにしました。上回生と思われてビラをまったく配られなかったりして、「またか。」弱気になったときに、たまたまB.W.が声かけてくれました。城戸さんにミュージカル経験は全くないですし、初めてです。でも思ったのが「やっときた。」という素直に嬉しい気持ちでした。
連れていかれたブースでもいじってもらえて、歳を多少コンプレックスに思っていたが、福岡出身か、アイスの買い方わからんやろう、という冗談とともに年齢は年下だけど学年は上の先輩に生協でアイスを買ってもらったことがとても印象的だったそうです。その後、新歓期間中は一緒に帯同し勧誘していました。B.W.のメンバーはふざけることもあるけど、いざ活動になれば、みんな真剣に取り組んでいる様子に感銘を受け入部しました。入部することで居場所ができた、そんな感覚を覚えたそうです。

普段の生活は
 このようにして二回目のスタートを切った城戸さんの大学生活が始まります。講義はもちろんのこと、B.W.の活動は前期が火、水、土曜日とあり、メインキャストであれば後期は木曜日にも活動が追加されます。それでも練習量は足りずあとは自主練で補います。平日は17-20時、土曜日は9-21時の活動です。場所は大学施設の他、青少年活動センター等を利用させてもらっていました。時間は長く感じますが、やっているとあっという間で本当に楽しかったと城戸さんは言います。
 アイスを買ってくれた先輩に紹介したもらった飲食店でのアルバイトも始めました。週3回、いったん入ると丸一日は働いていたそうです。アルバイト先もサークル活動のような雰囲気があり、ミュージカルの時には花束もプレゼントされます。アイスの先輩には本当に感謝しているのだそうです。
 学業にサークル、アルバイトと学生生活を満喫する城戸さんはミュージカルを次々にこなしていきます。本人にそれぞれの年の印象を話してもらいました。そして城戸さんなりの気持ちのサブタイトルをつけてもらいましたので、それも併せて見てください。





2019年「ヘアスプレー」(ミュージカルの大変さを知った年)
 ミュージカル最初の年、城戸さんはメインキャストを取ります。えっ、いきなりと思いの方もいらっしゃるでしょうが、城戸さんしか演じられない役だったとか。それは主人公のお母さん役で、主人公ヘアスプレー(ふくよかな女の子)、お母さんはそれ以上に大柄である必要があったそうです。オーディションの時にみんなにこいつしかいないという雰囲気であった苦笑いの作品だそうです。とは言え最初の年の演技であったので、緊張したし、B.W.での一番苦労したミュージカルでした。

2020年「オクラホマ!」(周りを見る期間)
 ミュージカル創成期で踊る頻度が高い作品です。城戸さんはカウボーイ役。思えばこの2年目がミュージカルに対して真剣に向き合えてなかったとの事。ミュージカルは好きで、楽しければよいと思っていました。一作品目で多少おごりみたいなところがありました。しんどいので中途半端な気持ちで向き合っていましたが、メインのキャストを見るとやはり羨ましくも思ったのだそうです。

2021年「リガリー・ブロンド」(限られた時間で練習方法を練りこむ)
 ブロンドの女の子が偏見を受けながらも前向きに将来を生き抜くことを描いた作品。2020年から2021年にかけてはみんなが一番コロナに翻弄された年でした。緊急事態宣言でオンライン練習になりましたし、対面での練習も換気休憩が頻繁に入り、活動時間にも制限がかかりました。みんながやりたいのにできない大変な時期でした。活動後のごはんやディスカッションができず、辛い期間でした。


2022年「RENT」(人生で一番頑張っていた、後悔しないように頑張った)
 1980年代アメリカで治療法が確立していない性病が蔓延したり、貧富格差といった当時の社会問題をダウンタウンの男女を通して取り扱った作品です。城戸さんにとってB.W.最後の年。メインキャストを取って、大学も卒業して、最高の卒業年度にする予定です。この年だけは最初から熱量が違ったそうです。前期から学内向け講演であるShowCaseに向けて毎日、歌の特訓をしました。監督には前期の取り組みを評価してもらった気がします。9月オーディションでメインをもらいました。この年だけはアルバイトも休んで練習に打ち込んだそうです。
 最高学年としてB.W.座長も任されました。ですが、部としての結束を求めたかったけど、座長として責任を果たせたのかは疑問で心残りだったとか。年長者(年が離れててお父さん扱い)としての自分。主人公としてやらなきゃならない自分。座長として部のマネジメント。もうちょっと何とかできたのでなかったのかと葛藤したそうです。それでも、作品で繰り返し出てくるワード「No Day but today」はとても意識しました。「人生色んなことが起こるけど大事なのは未来でも過去でもなくて今日、この瞬間なんだ!」そう考えられるようになりました。
 2022年2月公演直前になり、コロナウィルス感染者数も増えてきて、活動に影響がではじめました。ひとつひとつの判断に苦慮することも多かったそうです。そして迎えた公演初日はこの日のためにやってきたことを体現する日、すべてがハイな状態でした。ミスしたことも前向きにとらえられる自分でしたし、考えていた主人公像が完成した瞬間であり、体現できたと思っています。すごく楽しいし、気持ちいい。B.W.のメンバーには悪いけど一番ミュージカルを味わえたのは僕。「No Day but today」の瞬間でした。






活動を終えて
 4月からは一般企業に就職する城戸さんは、今までの恩返しをしたいのだそうです。両親、友達にはもちろん、横浜で働いている友達もたくさん泊めてもらった。学生だろ、とのことでごはんもたくさんおごってもらった人たち。今度は僕が恩返しする番だと思ってます。若い人を応援できる大人。目標、夢を持っている大人。そんなかっこいい大人になりたい。そして出会う人々を笑顔にしていきたいです。

龍大生に一言
 龍谷大学生に一言メッセージをいただきました。「自分から飛び込んでみる。失敗するけど、やってみたら、いってみたら案外いけます。あと、助けを求めることも大事だと思います。色々な人を頼ってほしいです。案外助けてもらえるのです。ただし、やみくもではなく、どういう自分になるのか目標をもつことが前提だと思っています。」
 城戸さんいかがでしょうか。最初に教務課でお会いした城戸さんの印象は実は心配したものです。ですが、学年が上がるにつれ主体性が高まり、目の輝きが増したのを覚えています。最後の一言に城戸さんの大学生活が詰まっているようでした。サークルも無事に引退し、就職も決まりあとは卒業だけの城戸さん、卒業単位も全力で取ってくれますよね。