2022.12.19
「キムチづくり体験」から得た大きな成果とは。【社会共生実習】
社会学部『社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)』(担当教員:現代福祉学科 准教授 川中大輔)では、受講生それぞれの関心や問題意識に沿ってチームに分かれ、コミュニティパートナーとなる受入先団体で活動しています。
受入先のひとつであるNPO法人京都コリアン生活センター・エルファ(以下、エルファ)では、在日コリアンの方をはじめとした異文化に背景をもつ多様な方々への支援をされています。こちらで活動している受講生たちは、利用者の呉さんがキムチづくりを得意とすることを知り、呉さんを講師としたキムチづくり体験を企画しました。
事前に教わっていた呉さんオリジナルレシピで材料・調味料を用意し、12月14日にはキムチの素(ヤンニョム)を一からつくり、白菜を塩漬け。香りに引きつけられて他の利用者の方々も関心を寄せる中、1日目の仕込みを終えました。
翌12月15日にはヤンニョムと塩漬け白菜を混ぜ合わせて記念すべき第一号のキムチを完成させました。予想以上に塩辛くパンチのある仕上がりにはなりましたが、街中で食べるキムチにはない味わい深さが口の中に広がりました。
事前の聴き取りにおいてもキムチづくりに取り組んだ2日間において、呉さんのこだわりが端々で感じられるやりとりが続きました。キムチづくりの合間には呉さんのライフヒストリーの一端も伺ったのですが、そうしたこだわりの背景にあるものを感じ取ることにもなりました。こうして呉さんから聞いたことや教わったことを受講生は今後リーフレットにまとめていくこととなります。
エルファ事務局長の南珣賢(ナム・スンヒョン)さんによると、ここ最近の呉さんはこの企画をとても楽しみにされていて、「あの子たちはちゃんと来るかな?」「14・15だね、覚えてるよ!」と楽しそうにお話されていたそうで、エルファでの活動にも活気が出ておられたそうです。
エルファでは、様々な大学・学校や各種団体からの実習生受入を積極的におこなっておられるのですが、利用者の方の中には「また実習生か」と少し面倒に感じてしまっておられる方もいらっしゃるようです。コーディネーター役でもある南さんもこうした現実に気づいて、実習生と利用者の方とのマッチングの難しさも感じておられたとのこと。こうした中で今回のキムチづくり体験がおこなわれたのですが、講師を務めた呉さんのいきいきとした様子を受けて、「今までいろいろと難しく考えすぎていたのかもしれない。今回の企画のように、利用者さんの自信のあることや良いところ、少し頑張れば手が届くような目標にスポットを当てられるような企画をおこなって、自己肯定感や達成感を持ってもらうことで毎日のやりがい、強いては生きがいに繋げていっていただけばよいのではないかと思い至った。それに気づかせてくれてありがとう」と、感謝の意を表されました。
「社会共生実習」では、さまざまな連携先と、さまざまな社会課題に向かって受講生と地域の方々とが協働して解決を目指しています。今回の取材では、その「協働」の部分が南さんの気づきによって、くっきりと形づいたように感じました。
今後、受講生たちは企画実施までに何度もエルファに通って利用者の方々と築いてきた「関係」についてレポートにまとめます。今までの活動を振り返って、受講生自身にも良い発見があることを期待しようとおもいます。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。