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2023.01.24

買い物支援活動への認知度を高める「のぼり旗」を制作【社会共生実習】

 社会学部『社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)』(担当教員:現代福祉学科 准教授 川中大輔)では、受講生それぞれの関心や問題意識に沿ってチームに分かれ、コミュニティパートナーとなる受入先団体で活動しています。

 受入先のひとつである、地域福祉センター「希望の家」(京都市南区東九条東岩本町31)は、地域集会所や京都市地域・多文化交流ネットワークサロンが同居する施設にあり、地域に根付いた福祉施設としてさまざまな事業を展開されています。この「希望の家」も実行委員会に加わって展開している活動の一つに「買い物支援」があります。地域に唯一あったスーパーの撤退を受けて、移動販売車の誘致が地域の人々によっておこなわれました。この取り組みは「買援隊(かいえんたい)」と呼ばれ、山王学区社会福祉協議会や山王民生児童委員協議会や京都市東九条地域包括支援センター、京都市南区社会福祉協議会、南区地域支え合い活動創出コーディネーター、京都市まちづくりアドバイザーなど、いわゆる地域福祉の実践者がたくさん関わっておられます。
 2022年5月に活動が始まり、移動販売車が毎週木曜日の9:40から10:10の30分間停車し、誰でも食品や日用品を買うことができるようになっています。宅配とは異なり、実際に商品を手に取ることができたり、売っている商品で季節を感じられたりすることはもちろん、地域の方々同士やボランティアで参加されている方々との交流も深めることにつながっています。こうしたことから高齢者の方の見守り要素も備える機会にもなっています。


移動販売車の新鮮な商品


買い物を楽しむ地域のみなさん

 「希望の家」をコミュニティパートナーとして活動している受講生たちは、「買援隊」にまずはボランティアとして参加し、高齢者の方の買い物の荷物を持つなどといったお手伝いをしました。また、買援隊実行委員会にも出席して、朝が早いため起きられない方がいる、現在の利用者は高齢者が多く子育て世代にはまだ利用いただけていない、木曜日に開催していることが定着していないなどといった課題を知りました。そこで、「買援隊」の取り組みをより良くしたいと考えた受講生たちは、取り組み紹介のビラ配り、若者ボランティアを増やすためのイベント開催、移動販売車で買うことが出来る食材でのレシピ本づくりなど、さまざまな企画を検討しました。その中で開催されていることが一目でわかる目印となる「のぼり旗」の作成が採用されました。
 「のぼり旗」は、東九条のイメージとして学生が感じとった色や利用者の方の好きな色を盛り込んで作成しました。完成した「のぼり旗」のお披露目の日には、「買援隊」に関わっておられる方々に大変喜んでいただきました。また、この日には顔なじみ以外の新規のお客様もいらっしゃって、「買援隊」の取り組みが少しずつ広がっていく可能性も感じることができました。


買い物を手伝う学生


「のぼり旗」の贈呈式

 本実習を受講する前は人と話すことが苦手だったという恵比須朝さん(社会学科2年生)は、近隣住民の高齢者が毎日集う地域集会所「にこにこや」で、たくさんのお話を聴かせていただき、何度も通ううちに打ち解けてくださったことで、自身のコミュニケーション能力が向上したことを感じることができたと話してくれました。
 当初、高齢者福祉に興味がなかったという吉川真穂さん(現代福祉学科2年生)は、高齢者を取り巻く環境やより良い暮らしを提供すべく奮闘されている地域福祉の実践者やボランティアとして関わっておられる方々を見ていて高齢者福祉にも興味がわき、地域の見守りの重要性を感じたと、話してくれました。


「のぼり旗」設置準備を手伝う
恵比須朝さん(右)


「のぼり旗」設置準備を手伝う
吉川真穂さん(右端)

 本実習に当初から関わってくださっている中野美耶さん(社会福祉法人 京都市南区社会福祉協議会・地域支え合い活動創出コーディネーター)は、今回の学生の活動について次のように述べてくださいました。「京都市が推進している京都駅東南部エリア活性化方針に基づいて、文化芸術と若者を基軸とした新たなまちづくりが展開されています。また、2023年10月には近隣地域に京都市立芸術大学の新キャンパスが完成します。地域の方々が実習先やボランティア先として学生を受け入れ、少しでも若者と触れ合う機会を作っていくことで、住民が気おくれしないようにしたいと思っています。そういった意味でも今回も貴重な機会の一つになったのではないでしょうか。」


「買援隊」に関わるみなさんと記念撮影

 地域住民の方々と学生とがそれぞれに有意義な機会を得ることができた本実習は次年度も開講される予定です。新たな受講生も迎えて、また違った視点でのアプローチがなされることを期待したいと思います。

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。