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2023.03.14

台湾PBLの実施【政策学部】

2023年2月24日~3月2日の7日間、台湾PBLの学部生7名、院生1名、金紅実准教授、櫻井あかね実践型教育プランナーが台湾・高雄市を訪問し、国立中山大学(以下、中山大学)との国際交流プログラムに参加しました。相互訪問型の共同学習として今年度は試行的に実施しています。
龍谷大学と中山大学の学生は訪問に備えて、これまでオンラインによる3回の事前学習を重ねてきました。


オンライン授業の様子


オンライン授業の様子


台湾教育部はいま、地方創生と大学の社会貢献に注力し、大学の社会的責任実践(USR)プロジェクトを推し進めています。今回の国際交流プログラムは中山大学が実施するUSRの一つです。邱花妹副教授、王梅香副教授の指導のもと学生18名が参加しました。テーマはSATOYAMAイニシアティブ、高雄中心部から40キロほど離れた美濃でフィールドワークを行いました。

■2月25~28日:美濃
今回の国際交流プログラムは美濃で3日間、高雄市内で1日行われました。美濃は山のふもとに田畑が広がる農村地帯で、客家(はっか)の里として知られています。1日目は、SATOYAMAイニシアティブの実践地である美濃を理解するため、1992年ダム建設反対運動からはじまった環境保全の歴史、その後に展開された農村型コミュニティカレッジの運営について講義を受けました。


会場の建物


講義の様子


2日目は午前に美濃湖へ行き、中山大学野蓮班のプレゼンテーションを聞いたあと野鳥保護と生物多様性について学びました。野蓮は細長く伸びる水草で、もとは美濃湖に自生していたものを栽培するようになり、今ではスーパーなどで売られているご当地野菜です。野蓮の栽培によって美濃湖の生物多様性が保たれ、ミズキジをはじめ野鳥が飛来するようになりバードウォッチングや環境教育の場として賑わっています。


バードウォッチングを体験


野蓮の栽培地


午後は黄蝶翠谷へ移動し、ガイドの方と一緒に森林を歩きました。ダム建設予定地だった谷は豊かな水と森が守られ黄蝶翠谷は多くの蝶の生息地として有名になりました。美濃のSATOYAMAイニシアティブの原点であるこの谷の保全に多くの若者が関わり、反対運動終結後はさまざまな分野に活動が広がり現在の美濃のコミュニティを作っています。
黄蝶翠谷のあとは竹林を活用した養蜂園を訪問し、夜は中山大学友善農法班のプレゼンテーションを聞きました。


黄蝶翠谷のフィールドワーク


養蜂園の巣箱


3日目午前は農業廃棄物の現状を知るために、畝を覆うマルチシートやプラスチックネットの廃棄問題についてフィールドを見ました。昔はなかったプラスチックが農業にも影を落とし、処分やリサイクルが課題となっています。アトリエで稲わらから鍋敷きをつくるワークショップが開かれ、自分の作品を持ち帰ることができました。
午後は美濃客家文化博物館に移動し、中山大学農村智慧班のプレゼンテーションを聞いたあとに館内を巡りました。


回収を待つプラスチック廃棄物


ワークショップの様子


■3月1日:高雄
美濃から高雄市内にある中山大学へ戻り、翌4日目の午前は振り返りのワークショップを開きました。龍谷大学と中山大学の学生が3班に分かれて、環境保護、農業廃棄物、環境保全型農業について日台比較を議論し、その内容をパワーポイントで発表しました。


発表の様子


発表の様子


午後は最後のフィールドワークとして中山大学周辺の防空壕や高雄港を見学し、日本と台湾の歴史や台湾の経済について学びました。
以上、中身の濃い充実した共同学習によって台湾の環境保全、農村発展、農業の現状について知見を深めることができました。次は2023年6月中旬に中山大学メンバーが龍谷大学を来訪し、日本の農業や環境保護について学びます。
*本プログラムは、国立中山大学の協力の下で実施し資料を提供していただきました。出典:國立中山大學USR城市共事館計畫