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2023.05.23

五十嵐恵邦氏(ヴァンダービルト大学歴史学部教授)による講演会を開催【法学部】

 2023年5月19日にヴァンダービルト大(米国テネシー州)歴史学部教授の五十嵐恵邦(いがらし・よしくに)氏を招き、内田孝・非常勤講師が担当する「マスコミ論Ⅰ」受講生らを対象に、高度成長期のテレビ放送と日本人家族の関係、メディアとしてのテレビ業界、現在の日本の報道のあり方について講演いただきました。
 五十嵐教授の専門は、近現代日本の文化史。一般向けには、敗戦から帰国までに時間がかかったことで戦後社会への違和感を抱え続けたシベリア抑留体験者、小野田寛郎氏らの言動を考察した『敗戦と戦後のあいだで』(筑摩選書)などの著書があります。
昨年から今年6月上旬まで、国際日本文化研究センター(京都市西京区)に外国人研究員として滞在し、北海道大と京都大でも講義を担当されました。
 今回の講演に先立ち、「マスコミ論Ⅰ」受講生には、五十嵐教授から事前にレポート提出が課されました。テーマは「50歳以上の知人のテレビ放送についての思い出」。聞き取り調査に加え、1959年に開局したNHK教育テレビで同年に放送された「テレビと学校教育」がテーマのドキュメンタリー「山の分校の記録」をYouTubeで視聴し、水木しげるの漫画「テレビくん」(1965年)を読み、放送開始直後の「経済面から見た暮らし」をイメージするよう求められました。
 当日は、テレビ受像機が放送開始の頃の日本人の平均年収に匹敵する高額商品でありながら富裕層以外にも急速に普及した▽同居者が放送を一緒に見る機会が生じたことで「家族団らん」という新しい生活様式を生み出した▽テレビ放送は教育機材として始まった▽放送内容と近年のコンプライアンスーについて、解説がありました。受講生のレポートからは、沖縄返還前のNHKテレビや米軍によるテレビ放送局を指摘した部分をピックアップ。この他、国内外メディアの報道姿勢の比較も行いました。五十嵐教授は、6月上旬に米国に戻られます。