2023.05.31
経済学部教員による近著紹介【経済学部】

経済学部教員の科学研究費成果出版を紹介します。
西川芳昭編著 農山漁村文化協会刊 2022年2月
『タネとヒト 生物文化多様性の視点から』
私たちの食べているもののすべての源は作物の種子です。この種子については、遺伝子組み換えなどの技術的な観点と、種子の価値や所有に関する経済的政治的な観点から議論されることが多いです。しかし、どちらの議論も、私たちの日常生活からはかけ離れています。それは、タネに直接かかわる人びとの姿が、そしてタネと暮らしとのつながりがみえてこないからだと思います。
そこで、本書はつぎのことを意識して編集されました。
①農家vs企業という単純な図式を超えた、種子をめぐる複雑な現実に光をあてる、
②日本だけでなくアジアの小農・家族農を対象に農家の生き方や言葉にならない感覚を重視する、
③生物文化多様性の視点からタネとヒトとの持続的な関係を提言する、
です。
日本とアジアの小農・家族農の生き方や声にならない感覚を重視し、生物文化多様性の視点から、種子をめぐる複雑な関係に光をあてています。私たちが食べているものの原点を、経済学を含む社会科学で考えるとはどういうことか、そんな疑問を持った方に、ぜひ一読をおすすめします。
最後に、書籍の帯の言葉を紹介します。
西川さん、蜜蜂と稲と百姓との関係に目を止めるような、種子をめぐる〈権利論〉を超えるような「新しい農学」は可能でしょうか? … 宇根豊
宇根さん、私たちは、伝統的な農の営みに根ざす情念と、タネとヒトとの関係を包括的に分析する科学の言葉の間に架橋したいのです … 西川芳昭
詳細は出版社紹介サイトを訪問ください。書籍で使用されている写真の一部をカラーでご覧になれるとともに、試し読みも可能です。
→詳細はこちらから
また、総合地球環境学研究所のyoutubeサイトでは、編者の西川教授と、元地球研上席研究員田村典江氏の対談もご覧になれます。
→出版記念対談 タネとヒト 生物文化多様性の視点から(youtube)