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2023.07.12

【社会共生実習】での学びを共有しました

 「社会共生実習」とは、社会学部全3学科が共同で運営する、社会学部の現場主義を体現する中核となる実習科目です。本実習では、学生たちが学外のさまざまな連携機関と協働して、社会の諸問題に対する理解を現場の中で深めて行動していくことを重視し、教員がそれぞれの専門知識やフィールド、人的ネットワークを生かしたオリジナルのプロジェクトを提供しています。社会学部の学生は所属学科を問わず希望するプロジェクトに参加できるので、学生にとっては連携機関の方々との交流だけでなく、学科を超えた学生同士の交流も体験することになります。
 今年度は前期のみ・後期のみ開講するプロジェクトもあわせて8つのプロジェクトが開講されています。

 7/7(金)には、全プロジェクトの受講生が一堂に会して、本実習についての話題を共有し、プロジェクトの枠を超えて一緒に悩み助け合える仲間をつくる機会として、「活動共有会」が開催されました。


会場の様子

 本共有会では、まずはじめに、脇田健一教授(社会学科)から、本実習の意義と本共有会の趣旨が次のとおり説明されました。
 「本実習は社会学部が掲げているモットーの『現場主義』を体現する科目であり、社会の現場をリアルに感じ取り、倫理と実践とを往還しながら社会のさまざまな場面で生じる問題を学問的に理解し、当事者との協働によるさまざまな社会的課題の解決(または緩和)を目指すことが求められています。
 各プロジェクトのタイプは、学生が課題を設定し、課題解決に向けて取り組む「課題発見型×課題解決型」、教員が課題を設定し、学生が課題解決に向けて取り組む「課題設定型×課題解決型」、学生が課題を設定し、教員の指揮のもと課題探究に向けて取り組む「課題発見型×課題探究型」、教員が課題を設定し、教員の指揮のもと課題解決に向けて取り組む「課題設定型×課題探究型」の4つに分類されますが、同じプロジェクトの中でも時期に応じてタイプが変動する場合もあります。
 課題探究と課題解決はさまざまな課題の中につながって存在しており、双方は分離しているのではなく共存しています。また、大きな課題設定の中には小さな課題設定があり、その中に更に細かな課題設定がなされる場合があります。そのいずれかのレベルで受講生の皆さんが課題設定する場面があるという点においては全プロジェクトに共通の問題意識をもっていると考えられます。ただ担当教員の指示のもと活動しているのではなく、現場主義のもといずれかのレベルで自発的に活動しているのが皆さんです。
 本日は、プロジェクトが異なっても皆ひとつのプログラムの仲間であることを実感し、各プロジェクトで抱えている悩みを共有し、それぞれにどのような難しさがあるのかをお互いに理解し合ってください。また、プロジェクトを超えて、連携したり協力し合うことができないか相談したり、他のプロジェクトに参加することで自身の視野を広げてみてください。」


脇田健一教授


4つのプロジェクトタイプをあらわす表

 続いて、川中大輔准教授(現代福祉学科)から、本共有会の狙いとして、「出会う」、「つながる」、「元気になる」というキーワードが示されました。また、本共有会では、スマートに話そうとせず、まとまっていない考えをあえてアウトプットして他者からアドバイスをもらったり、それについて話し合っていくうちに考えがまとまるような場にしてほしいこと、他者の話を聴くことで新たな発見を得てほしいことが伝えられました。


川中大輔准教授


円卓型の段ボールを足で支えてワークショップをおこないました

 本共有会では、所属プロジェクトが異なるメンバーでチームが形成されており、受講生たちは、まず、自身の所属プロジェクトの紹介と自己紹介をおこない、「今、私が社会共生実習に期待していることは」、「このプロジェクトを選んだ理由は」というテーマでチームメンバーに考えを共有しました。



 続いて、「活動の中で自分にとって印象的だったエピソード」、「活動を通じて気づいたことや学びになったこと」、「困っていたり悩んでいること、協力して一緒にできたらいいなと思っていること」といったテーマでプロジェクトの活動状況や展望を共有する時間が設けられました。



 チームメンバーとはほぼ初対面であったにも関わらず、受講生たちはそれぞれ自主的に話はじめ、ところどころで笑いが起きたり自然と拍手が沸き起こったりと、終始和やかな雰囲気で進みました。



 本共有会の最後には、川中准教授から次のような激励の言葉が掛けられました。
 「今回、いつもと違うメンバーと話すことによって、広がりやふくらみが出てくるテーマもあれば、逆に、所属プロジェクト内では当たり前のことを見つめなおすきっかけになったのではないでしょうか。また、今後は『社会共生実習』というワンチームとして、意識して声を掛け合ったり助け合ったり問い掛け合ったりしてほしいと思います。」


同じ意見や異なる意見を仕分けしてボードに貼りました


それぞれのプロジェクトからたくさんの共有がなされました

 また、土田美世子教授(現代福祉学科)からは「プロジェクトが違っても皆がひとつのプログラムの仲間であると感じることができた方は?」という問いかけがあり、大半の受講生が挙手しました。
 引き続き、土田教授からは、「時間が進むにつれてくつろいだ様子が伺えたので、良い時間が過ごせたのではないかと思います。短い時間ではありましたが、所属プロジェクトだけではわからない部分がみえたと思うので、それらを持ち帰って今後のプロジェクト活動につなげていっていただきたいと思います。今日はそれぞれに出会いがあったと思いますが、その出会いを次につなげて皆さんの人生に刻んでいただければと思います。」といった投げかけがなされました。


土田美世子教授


ひとつのプログラムの仲間であることを実感した受講生たち

 終了後、参加した受講生対象に実施したアンケートでは、どの受講生からも参加して楽しかった、本共有会は定期的に開催されるべきだと思うといった肯定的な回答がありました。また、本実習の意義について、プロジェクトを横断してコミュニケーションする場を設ける意義について、それぞれ理解できた、本共有会に参加したことが今後活動するうえで役立ちそうであるといった回答も得られました。本共有会に参加したことで得られたこととしては、回答数が多かった順に、プロジェクトを超えたつながり、自分の意見とは異なる良い意見、学年を超えたつながり、悩みなどを共有できる時間、他のプロジェクトの活動を具体的に知ることができたといった回答がありました。





 更に、自由記述では次のような感想がありました。

●他プロジェクトの人も同じような悩みを持っていることがわかり、引き続き、実習活動を頑張ろうと思えました
●自分たちの悩みが他のプロジェクトと協力することによって解決できそうだと感じたので、ぜひ協力したいと思いました
●他の活動について知ることができてとても刺激を受けました
●所属プロジェクトの内容を他者に紹介することで自分の中で理解が深まったように思いました
●他プロジェクトの受講生からアドバイスなどもいただけてとても参考になりました
●他プロジェクトの悩みを知ることができてより多角的に物事を考えることができました
●楽しそうに見えるプロジェクトでも大変な事があったり、接点がなさそうなお互いのプロジェクトでも意外とつながりがあって、初めて話す相手だという事もあって新鮮な体験ができました
●それぞれ違う現場で得た学びがあり、それらを共有できたことが私自身の成長につながったと感じました
●他プロジェクトの活動はどれも面白そうで、他プロジェクトの受講生ともっと交流したいと思いました





 今年度はじめて、プロジェクトを横断して横のつながりを広げる取り組みとして開催した本共有会でしたが、受講生たちそれぞれが新たな発見や新鮮な体験、自身の成長などといったさまざまな学びを得て、新しい仲間を見つけてくれる良い機会となりました。
 今回得た経験を通年開講のプロジェクトは後期に向けて、前期開講のプロジェクトはまとめに向けて、遺憾なく発揮してくれることを期待し、引き続き、各プロジェクトの活動を追っていきたいと思います。


終了後、坂本清彦准教授が担当するプロジェクトが淹れた麦茶と黒豆茶が振る舞われました


ロビーには麦茶と黒豆茶のいい香りが漂いました

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。