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2023.11.16

経営学部専攻科目「現代社会と企業」において、「労働問題・労働条件に関する啓発授業」を行いました【経営学部】

 2014年6月に「過労死等防止対策推進法」が議員立法で成立し、11月から施行されました。厚生労働省は、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取り組みが行われています。
 経営学部の開講科目「現代社会と企業」では例年この時期に合わせて、「労働問題・労働条件に関する啓発授業」を行っています。この「授業」は、「過労死等防止対策等労働条件に関する啓発事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04730.html )の一環でのものです。

 11月6日に西垣廸世さん(兵庫過労死を考える家族の会)、11月13日には古川拓弁護士(過労死弁護団)にご講演いただきました。
 西垣さんはご子息を過労死で亡くした経験を踏まえ、「息子の過労死から過労死ゼロを願う - 大手電機メーカーIT関連子会社システムエンジニア過労死事件 -」のテーマでお話ししてくださいました。古川さんは「過労死防止啓発講義 - 働くこと・日本の過労死・ワークルール - 」のテーマで、過労死や働き方をめぐる法律や実態、そして課題について解説してくださいました。講演を聴いた受講生の感想を紹介します。

【西垣さんの講演について】
1週間の労働時間が60時間を超える人々が約298万人もいることに非常に驚きました。実際はそれ以上の人がいるのではないかと思いました。
また、会社が社員を人間として扱っていなかったというお話を聞いて、非常に心が痛かったです。普段はそのような現場をみることがないので、今後はもっと知っていこうと思いました。人権意識を高めることで日本の真の働き方につながるというお言葉を聞いて本当にそうであるなと思いました。貴重なお話をありがとうございました。
【古川さんの講演について】
不動産販売会社の営業担当の人が上司から嫌がらせのような賞状をもらった事件は、私もニュースで見て知っていました。古川さんがこの事件を担当された弁護士と知り、驚きました。私も百貨店の地下でのアルバイトがどうしても合わず、ストレスで辞めました。過労死などとは程遠い話ですが、アルバイト中ずっとお客さんからクレームや怒りを直接受ける仕事なので、ストレスで過労死する人の気持ちが少しだけわかる気がします。私はアルバイトなので簡単にやめることができますが、その仕事で働いている人が辞めにくい現状も理解できます。過労死は辛いですが、周りの人に迷惑がとてもかかることを具体的に知ることができる機会を得たことはありがたかったです。ワークルールを知ることは大切だと思いました。

 受講生たちにとっては、ショッキングな現実を突きつけられた講義だったと思います。また、働く親の姿を脳裏に浮かべながら、これまで当たり前だと思っていた長時間労働が実は労働関係法規に抵触していることを認識できる機会になったはずです。過労死弁護団全国連絡会議編『過労死―過重労働・ハラスメントによる人間破壊―』(旬報社、2022年)を事前に予習したうえでの受講でしたが、活字だけではよくわからなかったことが深く理解できたのではないかと思います。
 本講義では、2017年度から本科目に「啓発授業」を取り入れています。例年、200~300人の学生が過労死・過労自殺問題について学ぶ機会を得て、ワークルールの重要性や権利を行使することの大切さを実感することができているように思います。今後もこのような機会を積極的に設けていきたいと思います。(文責:小西豊)